出面表とは?書き方と記載項目・労務費管理での使い方を解説

監修情報

水嶋 拓

フロンティアマーケティング株式会社代表取締役。2009年から公共工事コンサルタントとして活動し、450社以上の中小建設会社の経営を支援。2017年に同社を設立し、現在は公共工事研究会も主宰している。著書に『日本一ハードルの低い公共工事の始め方』。

出面表は、建設現場で働く作業員の出勤日や作業時間を日次で記録する管理表です。名称は聞いたことがあっても、記載すべき項目や、決まった様式があるのかどうかまで把握できているとは限りません。

この記事では、出面表の役割と記載項目、作成・保存の考え方、労務費管理での使い方までを整理して解説します。賃金台帳など法定三帳簿との違いも含め、日々の記録を労務費の管理にどう結びつけるかまで、順番に確認していきましょう。

公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。

この記事で分かること
  • 出面表は建設現場で誰が・いつ・何時間働いたかを記録する管理表で、労務費の原価計算や賃金支払いの基礎資料になる
  • 記載項目は現場名・日付・現場責任者・作業員氏名・所属区分・作業時間区分の6点が基本になる
  • 出面表そのものの作成・保存を義務付ける法令上の規定は確認されておらず、様式は形式を問わない
  • 出面表の集計データは、労務費の実績把握や見積りの精度向上の基礎資料として使える
目次

出面表とは?建設現場で使う労務管理表の役割

出面表(でづらひょう)は、建設現場ごとに作業員の出勤日・作業時間・工種などを日次で記録する管理表です。勤怠簿に近い役割を持ちますが、建設業では現場単位・工種単位で集計する点に特徴があります。

出面表そのものの作成・保存を義務付ける法令上の規定は確認されていません。労働基準法上、作成・保存が求められるのは「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」のいわゆる法定三帳簿であり、出面表はこれらへ転記・集計する前段の現場資料という位置づけです。

出面表を作成する目的は、大きく3つに整理できます。

  • 労務費(人件費)の原価計算に必要な実績データを残す
  • 作業員への賃金を正確に支払うための基礎資料にする
  • 現場の労働時間を把握し、残業や休日出勤など労働災害防止につながる管理に使う

出面表自体には作成義務がなくても、集計元となる賃金台帳には保存義務があるため、両者を区別して扱う必要があります。この違いは次の項目以降でも重要になるため、まず押さえておきましょう。

建設現場では、同じ時期に複数の工事が並行して進むことも珍しくありません。作業員がどの現場でどの工種を担当したかを日次で記録しておくことで、現場ごとの労務費を工事単位で切り分けられるようになります。工事が完了したあとにまとめて記録しようとすると、担当した現場や作業時間の記憶があいまいになりやすいため、日次での記録が実務上の基本になります。

時間外労働や休日出勤の状況を日次で把握できることも、出面表を活用する利点のひとつです。特定の現場や作業員に負荷が集中していないかを早い段階で確認できれば、人員配置の見直しや工程調整といった対応にもつなげやすくなります。

出面表に記載する項目とは?基本の書き方を確認

出面表の記載項目は、現場や会社によって多少の違いはありますが、一般的には次の6点で構成されます。

  • 現場名(工事名)
  • 年月・日付
  • 現場責任者名
  • 作業員の氏名(フルネーム)
  • 所属・職種(自社・下請け・孫請けの区分)
  • 作業時間(通常労働・時間外・深夜・休日労働の区分)

氏名は名字だけでなく、フルネームで記載するのが基本です。同一現場に同じ名字の作業員が複数いる場合、名字だけでは判別できなくなるためです。

所属・職種の区分を明確にしておく理由は、労務費を発注区分ごとに集計するためです。自社作業員と下請け・孫請けの作業員を分けて記録しておくと、あとから工種別・発注区分別の労務費を把握しやすくなります。

時間外・深夜・休日労働の区分記載も欠かせません。労働基準法第108条に基づく賃金台帳には、労働日数・労働時間数・時間外や休日、深夜労働の時間数などを記載する必要があり、出面表の記載項目はこの賃金台帳の記載事項と重なる部分が多くあります。同じ区分であらかじめ記録しておくと、賃金台帳への転記の手間を減らせます。

出勤簿との違いも押さえておきたいポイントです。出勤簿は従業員個人の出退勤時刻を管理する社内資料であるのに対し、出面表は現場・工事単位で複数の作業員の稼働をまとめて記録します。同じ作業員でも、日によって担当する現場が変わる場合は、出勤簿ではなく出面表側で現場ごとの実績を記録しておく必要があります。

出面表に決まった様式はある?作成・保存の考え方

出面表には、労働基準法や建設業法が定める統一の法定様式はありません。記録すべき項目を満たしていれば、紙・エクセル・システムのいずれで作成しても構わないというのが制度上の位置づけです。会社によっては、複数現場を並行して管理しやすいよう、クラウド型の勤怠システムに出面表機能を組み込んで運用している例もあります。

ただし、出面表を元データとして作成する賃金台帳・労働者名簿・出勤簿(法定三帳簿)には、労働基準法第109条による保存義務があります。原則の保存期間は5年間ですが、附則の経過措置により当分の間は3年間とされています。

この保存義務は法定三帳簿にかかるものであり、出面表そのものの保存期間を直接定めた規定ではありません。出面表は法定三帳簿の元データとなるため、賃金台帳と同程度の期間保存しておくと、あとから労務費を確認する際に安心です。

項目出面表法定三帳簿(賃金台帳等)
作成・保存の義務直接定めた法令上の規定は確認できない労働基準法第108条・第109条により義務がある
様式統一の法定様式はなく形式は問わない記載事項は法令で定められている
役割現場での日次記録・集計資料労務費・賃金支払いの正式な記録

建設業では、技能者の資格や現場ごとの就業履歴を電子的に登録・蓄積する「建設キャリアアップシステム(CCUS)」も運用されています。出面表の代わりとなる制度ではありませんが、就業履歴を電子的に記録する公式の取組として、あわせて把握しておくとよいでしょう。

出面表の保存・活用にあたって、実務上のポイントを整理しておきます。日々の記録が正しく積み重なっているかどうかは、あとから労務費を確認する場面で差が出やすい部分です。

  • 出面表は月次で集計し、賃金台帳と同程度の期間保管しておく
  • 賃金台帳への転記内容と定期的に照合し、記録の食い違いを防ぐ
  • 電子データで管理する場合は、バックアップを取っておく

出面表は労務費管理にどう使うか?見積りや原価管理との関係

令和6年法律第49号による建設業法等の改正を踏まえ、中央建設業審議会は令和7年12月2日に「労務費に関する基準」を策定・勧告しました(執筆時点の情報)。技能者の処遇改善や働き方改革、生産性向上を目的に、通常必要と認められる労務費の考え方を示すものです。

この基準を受けて、国土交通省は令和8年3月26日、労務費等を内訳明示した見積書様式例の運用ガイドを公表しました(執筆時点の情報)。見積書には次の内訳の明示が求められ、対象は元請・下請間、下請・下請間、発注者・元請間のいずれの契約も含みます。

内訳項目内容
労務費作業員の人件費
材料費資材などの費用
法定福利費(事業主負担分)社会保険料等の事業主負担分
建設業退職金共済制度の掛金建退共への負担分
安全衛生経費現場の安全対策にかかる費用

受注者側の見積書作成は求められる対応で、発注者側にはその内容を考慮・尊重することが求められています。義務の強さは立場によって異なるため、原則として内訳明示への対応を進めておく形になります。取引先から内訳の明示を求められた際に慌てないためにも、日頃から労務費を区分して記録しておくことが実務上の備えになります。

見積り時に労務費の内訳を示すには、現場ごとの実際の作業時間・人員配置の実績データが土台になります。出面表で日次集計した労務費実績は、次の工事の見積りや実行予算を作成する際に、実際にかかった人時数や工種別の稼働状況を把握する基礎資料として使えます。

出面表の記録が積み重なっていくと、工種別・現場規模別に、どの程度の人員と時間がかかるかという傾向も見えてきます。次の見積りを作成する際、過去の実績と大きく異なる想定をしていないかを確認する目安として使うこともできます。感覚だけで見積りを作成するよりも、実績データに基づいて内訳を組み立てる方が、見積りの精度を上げやすくなります。

複数の現場を同時に抱える会社では、現場ごとの出面表を突き合わせることで、どの現場の労務費が想定より膨らんでいるかを比較できます。特定の現場だけ人員配置が偏っていないか、稼働時間が想定を超えていないかといった点を、日次の記録から確認できるようになります。こうした比較は、経営上の判断材料としても役立てられます。

出面表による労務費の実績管理は、民間工事・公共工事のどちらでも役立ちますが、公共工事では見積り内訳の明示への対応や、施工体制の記録がより重視される傾向があります。日々の出面表の集計を積み重ねておくことは、公共工事に参入したあとの実務対応の土台にもなります。

公共工事は、実績のある大手企業だけが対応できるものと受け止められることがあります。ただし、公共工事への参加資格は、経営事項審査などの要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる仕組みとして制度上定められています。日々の出面表による労務費管理は、こうした要件を満たしていく過程でも役立つ実務上の土台になります。

よくある質問

出面表と勤怠簿はどう違うのか?

出面表は建設現場ごとに作業員の出勤・作業時間を工種単位で記録する点が特徴です。一般的な勤怠簿は従業員個人の出退勤時刻を管理する資料であるのに対し、出面表は現場・工事単位で複数の作業員の稼働をまとめて記録する点で使われ方が異なります。

同じ作業員が複数の現場を担当する場合、勤怠簿だけでは現場ごとの労務費を切り分けられないため、出面表による現場単位の記録が別途必要になります。出面表の記載項目を賃金台帳に転記する運用も一般的で、両者を連動させて管理する会社も少なくありません。

出面表は誰が作成するのか?

出面表は、現場責任者や事務担当者が日次で記録するのが一般的です。自社の作業員だけでなく、下請け・孫請けの作業員についても所属区分を分けて記載しておくと、あとから発注区分別の労務費を確認しやすくなります。

作成を誰が担うかは会社ごとの体制に応じて決めます。複数の現場を並行して抱える会社では、現場ごとに記録の担当者をあらかじめ決めておくと、記録の遅れや漏れを防ぎやすくなります。

出面表はどのくらいの期間保存しておくとよいか?

出面表そのものの保存期間を直接定めた法令上の規定は確認できません。出面表は法定三帳簿の元データとなるため、賃金台帳の保存義務(原則5年間、当分の間は3年間)と同程度の期間保存しておくと、あとから労務費を確認する際に安心です。

出面表はエクセルで作成しても問題ないか?

出面表には統一の法定様式がなく、記録すべき項目を満たしていれば紙・エクセル・システムのいずれで作成しても構いません。社内で使いやすい形式を選び、記載項目や記録の粒度をあらかじめ統一しておくと、労務費の集計や見積りへの活用がしやすくなります。

まとめ

出面表は、建設現場で作業員の出勤日・作業時間・工種などを日次で記録する管理表で、労務費の原価計算や賃金支払いの基礎資料になります。記載項目は現場名・日付・現場責任者・作業員氏名・所属区分・作業時間区分の6点が基本です。

出面表そのものの作成・保存を義務付ける法令上の規定はなく、様式も形式を問いません。ただし元データとなる賃金台帳等の法定三帳簿には保存義務があるため、同程度の期間は保存しておくと安心です。

出面表の集計データは、労務費の実績を把握し、見積りの精度を上げるための基礎資料として使えます。日々の記録を積み重ねておくことが、公共工事を含めた今後の受注対応にもつながります。まずは自社で使っている記録方法が、この6つの記載項目をきちんと満たしているかを確認するところから始めるとよいでしょう。

この記事のまとめ
  • 出面表は建設現場で作業員の出勤日・作業時間を記録する管理表で、労務費の原価計算や賃金支払いの基礎資料になる
  • 記載項目は現場名・日付・現場責任者・作業員氏名・所属区分・作業時間区分の6点が基本
  • 出面表そのものの作成・保存を義務付ける法令上の規定はなく、様式は形式を問わない
  • 出面表の集計データは見積りの精度向上や次工事の実行予算作成に役立つ

より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。

あわせて読みたい

目次