公共工事の工期が間に合わないときの対処法は?遅延時のペナルティ

監修情報

水嶋 拓

フロンティアマーケティング株式会社代表取締役。2009年から公共工事コンサルタントとして活動し、450社以上の中小建設会社の経営を支援。2017年に同社を設立し、現在は公共工事研究会も主宰している。著書に『日本一ハードルの低い公共工事の始め方』。

公共工事を請け負ったものの、工期が間に合わなくなりそうな局面は、どの建設会社にも起こり得ます。公共工事では、遅延の原因が受注者の責めに帰すべき事由かどうかで、取り得る手段とペナルティが変わります。

本記事では、公共工事の工期が間に合わないときの対処法を、工期変更の手続きと遅延時のペナルティを軸に解説します。

公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。

この記事で分かること
  • 遅延の原因が誰の責めに帰すかで、対応とペナルティが変わること
  • 受注者の責めに帰すべき事由による遅延には、損害金が請求されること
  • 責めに帰すことができない事由では、書面で工期延長を請求できること
  • 契約解除になると、違約金が発生する場合があること
目次

工期が間に合わない原因はどのように分類されるのか

受注者の責めに帰すべき事由

工期が間に合わない原因は、大きく2つに分けられます。一つは、人員や資材の手配不足、施工計画の見誤りなど、受注者の責めに帰すべき事由です。

受注者の責めに帰すことができない事由

もう一つは、天候の不良や関連工事の調整への協力など、受注者の責めに帰すことができない事由です。この区分が、その後の対応とペナルティの有無を左右します。

区分 例
受注者の責めに帰すべき事由 人員・資材の手配不足、施工計画の見誤り、協力会社の手配の遅れ
受注者の責めに帰すことができない事由 天候の不良、関連工事の調整への協力、発注者の指示による設計変更

遅延するとどのようなペナルティがあるのか

損害金の仕組み

受注者の責めに帰すべき事由により工期内に工事を完成できない場合、発注者は損害金の支払いを受注者に請求できます。損害金の額は、請負代金額から出来形部分に相応する金額を控除した額に、遅延日数と契約書で定める年率を掛けて計算します。

契約解除と違約金

遅延が長引くと、契約が解除される場合があります。工事目的物の完成前に契約が解除されたときは、請負代金額の十分の○(契約書で定める割合。例えば10分の1)に相当する額を違約金として支払うことが約款で定められています。

ペナルティ 発生する場面 金額の考え方
損害金 工期内に完成できないとき 請負代金額から出来形部分を控除した額×遅延日数×契約書で定める年率
違約金 完成前に契約が解除されたとき 請負代金額の十分の○(契約書で定める割合)
契約保証金の充当 契約保証が付されているとき 契約保証金または担保を違約金に充当できる

間に合わないときの対処法

責めに帰すことができない事由の場合は工期延長を請求する

受注者の責めに帰すことができない事由で工期内に完成できないときは、その理由を明示した書面により、発注者に工期の延長を請求できます。発注者は、必要があると認められるときは工期を延長しなければなりません。

手続きの進め方

工期の変更は、発注者と受注者の協議で定められます。協議が整わない場合は発注者が定めて通知する仕組みです。遅延が見込まれる時点で、早めに協議を始めることが重要です。

  • 遅延の見通しを把握する
  • 原因を整理し、気象記録や納入記録などの証拠を残す
  • 理由を明示した書面で発注者に工期の延長を請求する
  • 工期と必要な費用について発注者と協議する

自社の責めに帰すべき事由の場合は

自社の責めに帰すべき事由で遅延している場合は、工期延長の請求はできません。残りの工期で完成できるよう、作業計画の見直しや人員の増強などの対応を早急に進めることが必要です。

  • 発注者への報告と協議は早めに行う
  • 原因を示す記録(気象記録・資材納入の記録など)を残す
  • 書面による手続きを怠らない

工期リスクを見極めて入札に臨む

工期が間に合わないリスクは、入札段階で見極めることができます。資材の供給状況や自社の施工体制、他案件との重複を確認してから入札に臨むことで、受注後の遅延リスクを下げられます。

  • 資材の供給状況と納期
  • 自社の施工体制と他案件との重複
  • 工期の長さと施工時期のリスク

資材の供給が不安定な時期だからこそ、入札のチャンスと捉える考え方もあります。

他社は物が入ってこないから入札しない。工期に間に合わないから入札しない。利益率が取れないから入札しない、となります。

入札に参加できる体制を整えている会社にとって、競争相手が減る局面はチャンスになります。工期リスクを正しく見極めたうえで、参加する案件を選ぶことが重要です。

公共工事は大手や実績のある会社のもの、と受け止められることがあります。ただ、入札参加の要件は制度として明確に定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる仕組みです。

よくある質問

天候不良で遅延した場合、工期は延びますか?

天候の不良は受注者の責めに帰すことができない事由に当たるため、理由を明示した書面で工期の延長を請求できます。発注者が必要と認めれば工期が延長されます。

遅延した場合の損害金はいくらですか?

損害金の額は、請負代金額から出来形部分に相応する金額を控除した額に、遅延日数と契約書で定める年率を掛けて計算します。率は契約書に定められています。

工期変更の請求はいつまでにすべきですか?

遅延が予想される時点で早めに行うことが基本です。請求は書面で行い、遅延の原因と理由を明示することが必要です。

違約金はどのような場合に発生しますか?

工事目的物の完成前に契約が解除された場合などに、損害賠償に代えて請負代金額の一定割合の違約金が発生します。契約書で定められた割合に従います。

まとめ

公共工事の工期が間に合わないときは、遅延の原因が受注者の責めに帰すべき事由かどうかで対応が変わります。責めに帰すことができない事由では書面で工期延長を請求でき、自社の責めに帰すべき事由での遅延には損害金が請求されます。

遅延が見込まれる時点で発注者への報告と協議を早めに始め、書面による手続きを丁寧に進めることが、ペナルティを抑えるための基本です。

この記事のまとめ
  • 遅延の原因が受注者の責めに帰すべき事由かどうかで、対応とペナルティが変わる
  • 責めに帰すべき事由による遅延には損害金、契約解除時には違約金が発生する
  • 責めに帰すことができない事由では、理由を明示した書面で工期延長を請求する
  • 入札段階で工期リスクを見極め、資材供給や施工体制を確認して臨む

より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。

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