工事成績評定で90点を取るには?評価基準と対策を解説

監修情報

水嶋 拓

フロンティアマーケティング株式会社代表取締役。2009年から公共工事コンサルタントとして活動し、450社以上の中小建設会社の経営を支援。2017年に同社を設立し、現在は公共工事研究会も主宰している。著書に『日本一ハードルの低い公共工事の始め方』。

工事成績評定の点数が高いほど、入札参加資格審査や総合評価で有利になることは、公共工事を受注している会社であれば気になるところです。中でも90点という数字は、一つの到達目標として意識されている水準です。

この記事では、工事成績評定の評価基準と加点・減点の仕組み、90点を目指すうえで取り組むべき対策を整理します。評価項目を理解して、次の工事から実践できる内容をまとめました。

公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。

この記事で分かること
  • 工事成績評定で90点がどのような位置づけの評価なのか
  • 評価項目と加点・減点の仕組み(直轄工事の考査項目と配点の例)
  • 自主的な取り組みが評価につながる理由と具体的な対策
  • 減点を避けるために押さえておくべき注意点
目次

工事成績評定で90点を取るとはどういうことか

工事成績評定の評定点は、直轄工事の例では「65点+加減点+加点」で算出され、通常の施工で65点となります。90点は基準点を大きく上回る水準であり、加点項目で多くの評価を得た場合に到達する点数です。

ただし、評価は発注者の監督員や検査員の判断によるものです。あらかじめ決まった答えがあるわけではなく、「この対策をすれば90点になる」という保証はありません。

また、評価項目や配点は発注機関ごとの評定要領で異なります。90点を目指す第一歩は、自社が受注している発注者の評定要領を確認し、何が評価されるのかを把握することです。

  • 評価項目と配点は発注者ごとに異なるため、対象の発注者の評定要領を確認する
  • 評価は発注者の監督員・検査員の判断によるため、点数を保証する方法はない
  • 通常の施工で65点。90点は加点の積み重ねで到達する水準

この前提を踏まえたうえで、次に評価項目と加減点の仕組みを確認します。何が加点・減点の対象になるのかを理解することが、対策の土台になります。

90点を目指すにあたっては、何から取り組むかの優先順位も重要です。入札の仕組みが整っていない段階で、評定点の対策だけを進めても効果は限定的です。

参入1年目は評定点より、定期的に入札できる仕組みづくりが先だと考えています。

評価項目と加点・減点の仕組みを理解する

直轄工事の評定要領では、施工体制・施工状況・出来形及び出来ばえ・工事特性・創意工夫・社会性等・法令遵守等の考査項目が設けられています。このうち加点評価のみの項目と、減点評価のみの項目に分かれています。

考査項目加減点の性格配点の例(直轄工事)
施工体制加減点施工体制台帳の整備や配置技術者の体制で評価
施工状況加減点施工管理・工程管理・安全対策の実施状況で評価
出来形及び出来ばえ加減点規格値に対する出来形・品質のばらつきで評価
工事特性加点のみ最大20点
創意工夫加点のみ最大7点(新技術活用は最大3点)
社会性等加点のみ地域貢献などの取り組みで加点
法令遵守等減点のみ指名停止3ヶ月以上で20点減点

加減点の対象となる細目は工種ごとに運用表で定められており、工事の内容によって評価対象項目が変わります。自社の工種に合った評価項目を確認しておくことが必要です。

評価項目の仕組みを理解したうえで、自社の弱点を把握することが次のステップになります。同じ対策でも、項目によって効果の出方は異なります。

評価の弱点と伸ばしやすい項目を分析し、そこから点数を上げていくのが2年目以降の基本だと考えています。

加点評価の対象となる取り組み

直轄工事では、創意工夫の考査項目で施工方法の工夫や新技術の活用が加点されます。情報化施工技術の活用は2点、NETISに登録された技術の活用は1〜3点、安全衛生教育への取り組みは2点など、項目ごとに加点が定められています。

社会性等の考査項目では、地域への貢献や社会貢献が加点対象です。工事特性は、工事の難易度に応じた対応が評価され、最大20点の加点とされています。

減点評価の対象となる事象

法令遵守等の考査項目は減点評価のみです。工事関係者が指名停止や文書注意・口頭注意などの処分を受けた場合に減点され、指名停止3ヶ月以上では20点が減点されます。

また、監督職員から文書による改善指示が出された場合や、検査で修補指示が出された場合も、考査項目の評価が下がります。加点の取り組み以上に、減点を避けることが成績維持の前提になります。

  • 入札前に提出した調査資料への虚偽の記載
  • 一括下請や技術者の専任違反など建設業法違反
  • 下請代金の支払遅延など下請代金支払遅延等防止法(現・中小受託取引適正化法)の遵守事項違反
  • 安全管理の不適切による工事関係者事故・公衆損害事故
  • 贈収賄や談合などによる逮捕・公訴

90点を目指すための実務的な対策

施工管理と書類の充実が評価の土台になる

出来形および品質の評価は、設計図書に示された規格値を満たすことが前提です。出来形管理基準や品質管理基準に基づく測定・試験を、必要な測定項目について適切に記録することが評価の土台になります。

施工体制の考査項目では、施工体制台帳や施工体系図の整備、配置技術者の体制が評価されます。書類は発注者の監督に必要なものというだけでなく、成績評価の対象でもあります。

監督員の指導を受ける前に自主的に取り組む

評価のポイントは、監督員の指導や助言を受けることなく、自主的かつ的確に業務を遂行することです。指導や助言の結果として達成した場合は減点されませんが、加点もされません。

さらに、指導に従わず文書による改善指示が出された場合は減点の対象になります。自主的に取り組む姿勢そのものが、加点と減点の分かれ目になります。

対策の第一歩は、自社の現状を数字で把握することです。

数字がなければ問題解決の糸口がつかめません。入札公告を見るなど、データ集めが先だと考えています。

  • まず自社の過去の評定点と考査項目別の評価を整理する
  • 加点対象の取り組み(創意工夫・新技術活用など)を工事計画に組み込む
  • 施工体制台帳や施工計画書など書類の整備を工程表に位置づける
  • 減点要因(法令違反・事故・改善指示)を防ぐ社内ルールを確認する

減点を避けて評価を安定させるための注意点

高得点を狙う前に、減点を避けることが先です。法令遵守等の考査項目は減点評価のみであり、一度の処分で評定点が大きく下がります。

安全管理の不適切による事故は、法令遵守等の減点だけでなく、指名停止の措置につながることもあります。成績の維持は、法令・契約の遵守と安全対策の積み重ねです。

減点を避ける取り組みを進める一方で、評価を理由に入札を諦めてしまう会社もあります。評定点は対策の対象であり、受注を断念する理由にはなりません。

評定点が低いことを入札できない理由にするのは言い訳で、課題として整理して対策するのが正しい進め方だと考えています。

  • 法令違反(建設業法・中小受託取引適正化法など)を起こさない
  • 安全管理を徹底し、工事関係者事故・公衆災害を防ぐ
  • 監督職員の指示には速やかに対応し、文書による改善指示を受けない

90点は、一つの工事の取り組みで到達できるものではなく、工事ごとの評価の積み重ねで近づく水準です。評価項目を理解し、継続的に改善していくことが、成績向上の近道になります。

工事成績評定の評価基準を理解し、対策を積み重ねることは、公共工事の受注を継続するための土台になります。次の工事から実践できる取り組みを、一つずつ増やしていくことが大切です。

公共工事は大手や実績のある会社のもの、と受け止められることがあります。ただ、受注後の評価も制度として明確に定められており、評価項目に沿って取り組めば、会社の規模にかかわらず成績を積み上げられる仕組みです。

よくある質問

工事成績評定で90点以上を取ることは可能ですか?

評価は発注者の監督員・検査員の判断によるため、点数を保証する方法はありません。ただし、加点項目への自主的な取り組みと減点要因の回避を積み重ねることで、高得点を目指すことは可能です。

加点されやすい取り組みにはどのようなものがありますか?

直轄工事の例では、施工方法の工夫や新技術の活用、安全衛生教育、地域貢献などの取り組みが加点対象です。加点の内容と点数は発注機関の評定要領で確認できます。

工事成績評定で減点されるのはどんな場合ですか?

工事関係者が指名停止や文書注意・口頭注意などの処分を受けた場合のほか、監督職員から文書による改善指示が出された場合などが減点対象です。

まとめ

工事成績評定の評定点は、直轄工事の例では65点を基準に加減点で算出されます。90点は加点の積み重ねで到達する水準であり、点数を保証する方法はありません。

評価項目は施工体制・施工状況・出来形及び出来ばえ・工事特性・創意工夫・社会性等・法令遵守等で構成され、加点対象と減点対象が分かれています。まず対象の発注者の評定要領で評価基準を確認することが出発点です。

対策の基本は、監督員の指導を受ける前に自主的かつ的確に業務を遂行することです。自社の過去の評価をデータとして整理し、加点の取り組みと減点の回避を積み重ねることが、成績向上の近道になります。

この記事のまとめ
  • 90点は加点の積み重ねで到達する水準で、点数を保証する方法はない
  • 評価項目と配点は発注者ごとに異なるため、対象発注者の評定要領を確認する
  • 自主的な取り組みが加点につながり、文書による改善指示は減点対象になる
  • 減点要因(法令違反・事故・改善指示)の回避を優先し、評価の積み重ねで成績を上げる

より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。

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