施工計画書とは?書き方・記載項目・提出の流れを公共工事の実務で解説


公共工事を受注すると、契約後に施工計画書という書類の提出を求められます。名前は聞いたことがあっても、何を目的に作成する書類で、どこまで詳しく書けばよいのかが分かりにくいという声も少なくありません。
この記事では、施工計画書の定義と作成する目的、記載すべき項目と書き方の基本、提出先・提出タイミング、内容に変更が生じた場合の対応までを、公共工事の実務に沿って整理します。
公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。
- 施工計画書は工事着手前に監督職員へ提出する書類で、手順・工法など工事目的物を完成させるための計画を記載する
- 土木工事の施工計画書には工事概要・計画工程表・現場組織表など決められた項目を記載する
- 提出先は監督職員で、提出後に指示を受けた事項はさらに詳細な施工計画書を提出する
- 施工方法や施工順序に重要な変更が生じた場合は、その都度変更施工計画書を作成する
施工計画書とは?作成する目的は何か?
施工計画書とは、受注者が工事着手前又は施工方法が確定した時期に、工事目的物を完成させるために必要な手順や工法などを詳細に記載し、監督職員に提出する書面です。
「監督職員」とは、発注者(国・都道府県・市町村などの発注担当課)が指名する現場担当者のことで、受注者はこの監督職員に対して施工計画書を提出します。
施工計画書の内容には、発注者が設計図書で指定した部分(工期・出来形・品質・施工方法など、設計図書に拘束される部分)と、施工方法などの選択を受注者に委ねる任意の部分があります。発注者が施工方法の選択に注文をつけるためのものではなく、受注者と監督職員が施工前に打ち合わせる際の資料として活用される点が、施工計画書の実質的な役割です。
工事目的物を完成させるための手段は、契約図書に特別の定めがない限り、受注者が自己の責任において定めるものとされています。監督職員が施工計画書の提出時に指示した事項については、受注者はさらに詳細な施工計画書を提出しなければなりません。
- 施工計画書は工事着手前又は施工方法が確定した時期に提出する
- 発注者が指定した部分と受注者の任意の部分が混在する書類である
- 受注者と監督職員が施工前の打ち合わせを行うための資料として使われる
- 指示を受けた事項はさらに詳細な施工計画書として提出し直す必要がある
総合評価方式で契約した工事については、受注者が入札時に行った技術提案の内容を、すべて施工計画書の当該項目に記載しなければなりません。提案書をそのまま添付するのではなく、工種ごとに提案内容を踏まえて詳細に記載する形になります。契約書の附則に記載のない提案がある場合は、施工計画書を作成する前に監督職員と施工の可否を協議します。
公共工事に初めて参入する会社にとっては、こうした施工計画書の作成が負担に感じられることもあります。
ただし、施工計画書は工事の進め方を事前に整理し、監督職員との認識のずれを防ぐための書類でもあり、契約後の実務を滞りなく進めるための土台になります。
施工計画書に記載すべき項目は何か?
土木工事の施工計画書には、次の項目を記載し、工事着手前に速やかに監督職員へ提出します。維持工事など簡易な工事では、監督職員の承諾を得て記載内容の一部を省略できるとされています(執筆時点の共通仕様書による)。
- 工事概要・計画工程表・現場組織表・指定機械・主要資材
- 施工方法(主要機械、仮設備計画、工事用地などを含む)
- 施工管理計画・安全管理・緊急時の体制及び対応
- 交通管理・環境対策・現場作業環境の整備
- 再生資源の利用の促進と建設副産物の適正処理方法、その他
建築工事(営繕工事)の場合は「総合施工計画書」という形で、一般事項・工事概要・施工一般・安全衛生管理・環境保全対策・仮設計画・主要資機材計画・工程管理計画・施工図管理計画・品質管理計画・写真撮影計画・官公署への届け出等・保全に関する資料・その他の章立てで構成されます。
塗膜防水改修や外壁改修、電気設備、機械設備配管など工種別の個別施工計画書も、同様の枠組みで作成します。
| 工事種別 | 書類の名称 | 主な記載項目 |
|---|---|---|
| 土木工事 | 施工計画書 | 工事概要、計画工程表、現場組織表、施工方法、安全管理など |
| 建築工事(営繕工事) | 総合施工計画書 | 一般事項、施工一般、安全衛生管理、仮設計画、品質管理計画など |
| 工種別(塗装・電気設備等) | 工種別施工計画書 | 総合施工計画書と同様の枠組みで工種固有の内容を記載 |
記載する際には、いくつか整合させておくべきポイントがあります。工事概要や数量は設計図書の数量総括表と一致させ、計画工程表は契約工期に整合させたうえで工事のクリティカルパスを把握して作成することが基本です。
現場組織表には配置技術者の氏名や体制を記載し、体制に変更が生じた場合はそのつど再提出します。
施工方法の項目では、工事全体の作業フローや使用機械、仮設備の構造・配置計画などを記載し、共通仕様書上「承諾を要する事項」「施工計画書に記載すべき事項」に該当するものは条番号を明示して記載します。
施工計画書はいつ誰に提出するのか?
施工計画書の提出先は、発注者が指名する監督職員です。提出のタイミングは「工事着手前又は施工方法が確定した時期」とされており(執筆時点の要領による)、具体的な提出日数の基準は共通仕様書の本文には明記されていません。発注機関によって運用が異なる場合があるため、提出期限の具体的な日数は打ち合わせ簿や特記仕様書などで確認する必要があります。
- 工事着手前又は施工方法が確定した時期に、監督職員へ施工計画書を提出する
- 監督職員から指示を受けた事項について、さらに詳細な施工計画書を提出する
- 共通仕様書上「段階確認」の対象とされた工種・時期については、監督職員の確認を受けてから次の作業に進む
施工計画書に記載した内容のうち、共通仕様書で「段階確認」の対象と定められた工種・時期(床掘りにおける支持地盤の確認、鉄筋組立完了時の使用材料の確認など)については、受注者は監督職員の確認を得なければ、その工種以降の作業に進むことができません。
「材料確認」「立会確認」「品質証明」についても同様に、施工計画書内で計画を示し、監督職員との事前協議を経て運用する形が取られています。
段階確認・材料確認・立会確認・品質証明は、施工計画書の提出そのものとは別の手続きですが、施工計画書内に計画表として記載し、監督職員との事前協議を経て運用する点で提出実務と密接に関わります。提出した施工計画書を単発の書類として扱うのではなく、その後の現場確認までを見据えて記載しておくことが実務上のポイントです。
提出のタイミングが工事着手前又は施工方法が確定した時期とされている以上、施工計画書は契約後すぐに着手すべき書類だといえます。工事の規模が大きく記載項目が多岐にわたる場合は、社内の担当者間で記載内容を分担し、監督職員への提出前に内容を確認する体制を整えておくと、記載漏れや整合性の確認に時間を取られにくくなります。
施工計画書の内容に変更が生じたときはどうするか?
施工計画の内容に変更が生じた場合は、その工事に着手する前に、変更に関する事項についてそのつど「変更施工計画書」を作成します。
どこまでの変更で変更施工計画書が必要になるかの線引きは、発注機関の作成要領によって案内されています。例えば京都市の施工計画書作成要領では、工期のみの変更(大幅な工期変更を除く)や、施工計画に大きく影響しない軽微な数量の増減については、新たに変更施工計画書を提出する必要はないとされています(執筆時点の同要領による)。
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 変更施工計画書が必要 | 新規工種の追加、施工方法の変更、施工管理方法の変更、施工順序(クリティカルパス)の大幅な変更、現場組織など施工体制の変更 |
| 変更施工計画書が不要 | 施工方法・施工順序に変更を伴わない場合、施工数量の増減や工期のみの変更(大幅な工期変更を除く)、工期末の精算変更 |
同要領では、現場組織など施工体制の変更のうち、下請契約に伴う施工体制の変更については、施工体制台帳によって別途提出するため、変更施工計画書の提出対象からは外れるとされています。どちらの書類で対応すべきかを、変更の内容ごとに区別しておく必要があります。
変更が生じるたびに個別対応するのではなく、契約締結後の施工計画書作成から、変更が生じた際の変更施工計画書の作成・提出までを、あらかじめ社内の手順として整えておくと、案件ごとの判断に迷いにくくなります。
施工中に「創意工夫」の提案が生じた場合も、追加案件があればそのつど変更施工計画書に反映させます。施工計画書は工事着手前に一度作成すれば終わりというものではなく、工事の進行に応じて更新していく前提の書類だと捉えておくと、現場での対応がスムーズになります。
ここまで見てきた施工計画書の作成・提出・変更対応は、公共工事を受注した後に発生する実務です。公共工事への参入を検討する段階では、こうした受注後の書類対応まで含めて全体像を把握しておくと、参入後の負担を見誤らずに準備を進めやすくなります。
公共工事は、実績のある大手企業だけが対応できるものと受け止められることがあります。
ただし施工計画書のような書類対応は、要件を満たせば会社の規模にかかわらず求められる、制度上定められた仕組みです。書類対応の内容を事前に把握しておくことは、参入を判断するうえでの材料になります。
よくある質問
- 施工計画書は自社で作成しなければならないのか?
-
施工計画書は受注者の責任において作成するものであり、発注者側が代行して作成する書類ではありません。受注者自身が工事内容に応じて記載する必要があります。
社内に施工計画書の作成経験が少ない場合は、国土交通省や地方整備局が公開している記載項目の参考例を確認しながら準備を進める方法があります。工事の内容によって記載すべき詳細さも変わるため、類似工事の過去の施工計画書を社内で参照できる状態にしておくと、作成にかかる時間を短縮しやすくなります。
- 施工計画書と施工体制台帳はどう違うのか?
-
施工計画書は工事の手順や工法など施工方法そのものを計画する書類で、施工体制台帳は下請契約を含めた現場の体制を管理する書類です。目的も提出のタイミングも異なるため、別の書類として扱います。下請契約に伴う施工体制の変更は、変更施工計画書ではなく施工体制台帳の側で対応する点も、この違いに関わります。
- 施工計画書の記載を簡略化できる工事はあるのか?
-
維持工事など簡易な工事については、監督職員の承諾を得たうえで記載内容の一部を省略できるとされています(執筆時点の共通仕様書による)。
ただし省略できるかどうかは監督職員の承諾が前提となるため、自社の判断だけで記載を省くことはできません。工事の内容に応じて、事前に監督職員へ確認しておくことが実務上の対応になります。
- 施工計画書の様式は発注機関によって異なるのか?
-
施工計画書に記載すべき項目は土木工事共通仕様書に基づいて共通していますが、具体的な様式や提出方法の細部は発注機関ごとの要領や特記仕様書で案内されていることがあります。初めて受注する発注機関の工事に取り組む場合は、その発注機関が公開している作成要領や参考例を確認しておくと、記載内容の齟齬を防ぎやすくなります。
まとめ
施工計画書は、受注者が工事着手前又は施工方法が確定した時期に、工事目的物を完成させるための手順や工法を記載し、監督職員へ提出する書類です。土木工事と建築工事とで記載項目の構成は異なりますが、いずれも決められた項目に沿って作成する点は共通しています。
提出後も、監督職員からの指示や段階確認への対応、内容変更が生じた場合の変更施工計画書の作成など、工事の進行に応じて対応が続く書類でもあります。工事着手前に一度作成して終わりにするのではなく、現場の進行に合わせて更新していく前提で準備しておくことが実務上の備えになります。
公共工事への参入を検討している段階であれば、こうした施工計画書の作成・提出・変更対応まで含めて実務の全体像を把握しておくことが、参入後の負担を見誤らないための準備になります。
- 施工計画書は工事着手前又は施工方法が確定した時期に、監督職員へ提出する書類である
- 土木工事と建築工事とで記載項目の構成は異なるが、いずれも決められた項目に沿って作成する
- 監督職員からの指示や段階確認など、提出後も対応が続く書類である
- 施工方法や施工順序に重要な変更が生じた場合は、変更施工計画書を作成する
より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。
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