再下請負通知書とは?書き方と提出の流れ・施工体制台帳との関係を解説


下請契約を締結した建設業者が、請け負った工事をさらに他社に請け負わせる場合、元請への「再下請負通知」が必要になります。どの場面で通知が必要になり、どのような書式で提出すればよいのか、実務担当者でも整理しづらい書類です。
この記事では、再下請負通知書の提出義務が生じる場面と記載事項、提出の流れ、施工体制台帳との関係を整理して解説します。書類の位置づけを理解しておくことは、公共工事の下請構造を管理する実務の土台になります。
公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。
- 再下請負通知書は、下請負人が再下請けをさせたときに元請へ提出する通知書類である
- 記載する内容は、再下請負通知人・注文者・再下請け先に関する情報の3群に分かれる
- 提出は再下請けの都度、元請が指定した場所へ遅滞なく行う
- 施工体制台帳は元請が作成する台帳、再下請負通知書は二次下請以降がその情報を伝える手段という役割分担になっている
再下請負通知書とは?提出義務が生じるのはどのような場面か
発注者から直接工事を請け負った特定建設業者(元請)は、締結した下請契約の請負代金額が政令で定める金額以上になるとき、施工体制台帳を作成する義務を負います。
このとき、下請負人がさらに他の建設業者に工事を請け負わせた場合(再下請け)、その下請負人は元請に対して再下請け先の商号・名称、工事内容・工期などを通知しなければなりません。この通知が「再下請負通知」であり、記載した書面が「再下請負通知書」です。
施工体制台帳の作成義務が生じる下請代金の基準額は、民間工事で5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上、執筆時点)です。この基準額は、特定建設業許可が必要となる下請代金の基準と同じ水準で定められています。
施工体制台帳の作成義務が生じる基準額そのものは別記事で詳しく解説していますが、公共工事を元請として受注し下請契約を締結した場合は、下請代金の金額にかかわらず作成義務が生じるとされています。
再下請負通知の義務は、この基準に達した工事、または公共工事のように金額にかかわらず台帳作成義務が生じる工事において、再下請けが発生したときに付随して生じます。
再下請負通知書の提出が実際に必要になる場面には、次のようなケースがあります。
- 元請が特定建設業許可を持ち、下請契約の請負代金合計が基準額以上になる場合
- 公共工事を元請として受注し、下請契約を締結した場合(金額にかかわらず)
- 下請負人がさらに再下請けをさせた場合(何次下請けであっても、再下請けが発生する都度)
再下請負通知書は、下請構造を元請に見えるようにするための手続きです。誰がどの範囲の工事を担うのかを都度通知することで、施工体制の全体像が施工体制台帳に反映される仕組みになっています。
再下請負通知を行う義務を負うのは、再下請けをさせた下請負人自身です。元請が直接把握できるのは一次下請の情報までであり、二次下請以降の商号や配置技術者といった情報は、当事者である下請負人からの通知がなければ元請に伝わりません。この通知の連鎖が機能することで、何次下請けまで関わっているかにかかわらず、元請が施工体制の全体像を把握できる仕組みになっています。
反対に、この通知を行わずに工事の大部分を他社へ請け負わせてしまうと、元請が施工体制を正確に把握できなくなります。建設業法は、発注者から直接請け負った建設工事を、実質的に施工に関与しないまま他社に一括して請け負わせる行為(一括下請負)を禁止しており、公共工事では発注者の承諾による例外も認められていません。再下請負通知が形だけの手続きにならないようにする点も、この規定の背景にあります。
丸投げが実際に指名停止につながった例もあります。

知っている会社が指名停止になったケースもあります。おそらく工事を全部丸投げしたのだと思います。丸投げはやはり良くない方法だと考えています。
再下請負通知書の記載項目と書き方の基本
再下請負通知書に記載すべき事項は、建設業法施行規則によって次の3群に整理されています。
| 区分 | 記載内容 |
|---|---|
| 再下請負通知人(自社)に関する事項 | 商号・名称・住所、建設業者であればその許可番号 |
| 請け負った工事に関する事項 | 工事の名称、注文者の商号又は名称、注文者と下請契約を締結した年月日 |
| 再下請け先に関する事項 | 再下請け先の商号・名称・住所・許可番号、工事名称・内容・工期、契約締結年月日、配置技術者の氏名など |
再下請け先に関する事項には、工事名称・内容・工期に加えて、監督員や現場代理人、主任技術者の氏名といった配置状況も含まれます。記載する範囲は、施工体制台帳における下請負人の記載事項とほぼ共通しています。従事者に関する事項として、健康保険等の加入状況を記載する項目が含まれる点も、施工体制台帳と同様です。
工事名称や工期、配置技術者といった情報が正確に伝わっていない場合、元請が施工体制台帳を更新する際に、記載内容を後から修正する手間が生じやすくなります。再下請負通知書の記載内容を最新の状態に保つことが、台帳の正確性を保つうえでも重要になります。
実務上は、1枚目に自社(再下請負通知人)の工事名・工期・契約日・建設業許可情報・配置技術者・社会保険加入状況などを、2枚目に再下請け先(協力会社)の同種の情報を記載する形で運用される例が見られます。
工事名は「元の工事名に係る、自社が担う施工内容」という形で記入する例が案内されており、どこまでの範囲を自社が担うのかを明確にする役割を持っています。ただし様式は元請や自社の運用によって異なることがあるため、あくまで記入イメージの一例として捉えておくとよいでしょう。
再下請負通知書には、再下請け先と締結した下請契約書の写しを添付する必要があります。公共工事の場合は請負代金の額に係る部分を含めて添付が必要ですが、公共工事以外の工事では、この金額部分を除いて添付すればよいとされています。
様式については、法令が定めているのは記載すべき事項の内容であり、書式そのものを指定しているわけではありません。国土交通省が公開している標準様式(作成例)を使うのが一般的ですが、法令上必要な記載事項を満たしていれば、この様式以外の書式を用いることも可能です。
再下請負通知書の提出の流れ・提出先
再下請負通知書の提出先(書類を提出すべき場所)は、元請があらかじめ下請負人に対して通知します。この提出先の情報は、再下請けの連鎖のなかで下位の事業者にも伝達される仕組みになっています。
提出のタイミングについて、施行規則は「再下請けをさせる都度、遅滞なく」通知を行うことを求めています。まとめて事後提出することは想定されておらず、再下請け契約が発生するたびに手続きが必要になります。工期の途中で新たな再下請け契約が生じた場合も、その都度の対応が必要になる点に注意が必要です。
再下請負通知人に該当することとなった建設業者は、通知書の提出とあわせて、自らが再下請けをさせる相手にも、元請の商号や再下請負通知を行うべき提出先といった事項を書面で伝える義務を負います。つまり、元請から一次下請、一次下請から二次下請へと、同じ内容の通知が連鎖的に伝わっていく構造になっています。
実務上は、二次下請以降の企業が一次下請企業に提出し、一次下請企業がこれらを「下請負業者編成表」などの形に取りまとめて元請に提出する、という段階的な流れで運用される場合もあります。提出経路の細部は元請の運用によって異なることがあるため、契約時に確認しておくと安心です。
再下請負通知書の提出までの流れを整理すると、次のようになります。
- 再下請け契約を締結したら、遅滞なく再下請負通知書を作成する
- 再下請け先と締結した下請契約書の写しを添付する(公共工事は金額部分も含める)
- 元請があらかじめ指定した提出先へ提出する
- さらに再下請けが発生した場合は、その都度同じ手続きを行う
再下請負通知書と施工体制台帳の関係・役割分担
施工体制台帳の作成義務を負うのは、発注者から直接工事を請け負った元請業者だけです。二次下請や三次下請といった下位の事業者に、台帳そのものを作成する義務が生じるわけではなく、これらの事業者は再下請負通知書によって必要事項を元請に伝える形で関与します。
施工体制台帳の記載事項には、元請自身に関する事項、元請が請け負った工事に関する事項に加えて、下請負人に関する事項(商号・許可番号・健康保険等の加入状況)や、下請負人が請け負った工事に関する事項(工事名称・内容・工期、配置技術者の氏名など)が含まれます。再下請負通知書は、このうち二次下請以降に関する情報を元請へ伝達する機能を担っている書類です。
台帳に添付する下請契約書の写しと、再下請負通知書に添付する下請契約書の写しも、公共工事以外では請負代金額の部分を除外できる点で扱いが共通しています。
| 項目 | 施工体制台帳 | 再下請負通知書 |
|---|---|---|
| 作成・提出する立場 | 元請業者(作成建設業者) | 再下請けをさせた下請負人 |
| 対象範囲 | 元請・下請全体の施工体制 | 自社と再下請け先に関する情報 |
| 提出・備置先 | 工事現場に備え置く(公共工事は発注者へも提出) | 元請が指定した提出先 |
再下請負通知書や施工体制台帳のような書類対応は、下請構造が生じる工事に共通する実務です。公共工事を元請として受注する場面では、金額の大小にかかわらずこうした手続きが必要になるため、参入を検討する段階からあらかじめ流れを把握しておくと、実際に受注した後の対応がスムーズになります。
特に二次下請け以降の再下請けが発生しやすい工事では、通知の連鎖が正しく機能するかどうかが、施工体制の管理精度に直接影響します。
公共工事は、実績のある大手企業だけが対応できるものと受け止められることもあります。ただし、再下請負通知書や施工体制台帳のような手続きは、建設業許可などの要件を満たせば会社の規模にかかわらず対応が求められる仕組みとして制度上定められているものです。書類対応の手順を事前に整えておくことは、公共工事に参入した後の実務を安定させるための準備の一つになります。
よくある質問
- 再下請負通知書は一次下請にも提出が必要か?
-
再下請負通知は「再下請け」が発生した場合に生じる手続きなので、一次下請止まりで再下請けがない工事では、この通知自体は発生しません。ただし施工体制台帳の作成義務がある工事では、元請が一次下請の情報を台帳に記載する必要があるため、一次下請から必要事項を確認する対応は別途生じます。
- 再下請負通知書と下請契約書の写しはどう違うか?
-
再下請負通知書は、再下請け先の商号・工事内容・配置技術者といった情報を元請に伝えるための通知書面そのものです。下請契約書の写しは、その通知内容が実際の契約と一致していることを元請が確認できるようにするための添付資料であり、通知書と契約書の写しはセットで提出する必要があります。
- 再下請負通知書の提出が遅れた場合はどうなるか?
-
施行規則では「再下請けの都度、遅滞なく」通知を行うことが求められています。提出のタイミングが定まっていないと現場ごとの対応が遅れやすくなるため、再下請け契約を締結した時点で、提出までの手順をあらかじめ決めておくことが実務上の対策になります。
- 再下請負通知書は決まった様式を使わないといけないか?
-
法令が定めているのは記載すべき事項の内容であり、様式そのものではありません。国土交通省が公開している標準様式を使うのが一般的ですが、法令上必要な記載事項を満たしていれば、この様式以外の書式を用いることも可能です。
まとめ
再下請負通知書は、下請負人がさらに再下請けをさせた場合に元請へ提出する通知書類で、記載事項・添付書類には施行規則で定められた型があります。
提出先やタイミングは、元請の指定・再下請けの都度という原則に沿って進め、施工体制台帳とは作成者・役割が異なる点を踏まえて扱うことが大切です。この違いを理解しておくと、案件ごとの担当区分を判断しやすくなります。
自社の下請構造を整理し、再下請けが発生する場面をあらかじめ想定しておくことが、公共工事参入後の実務対応につながります。契約段階から流れを把握しておくことで、案件ごとの対応の負担を抑えやすくなります。
- 再下請負通知書は、下請負人が再下請けをさせたときに元請へ提出する通知書類
- 記載事項は、再下請負通知人・注文者・再下請け先に関する情報の3群に分かれる
- 提出は再下請けの都度、元請が指定した場所へ遅滞なく行う
- 自社の下請構造を整理し、再下請けが発生する場面をあらかじめ想定しておく
より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。
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