公共工事の点数とは?経営事項審査(経審)との関係や仕組みを解説
との関係や仕組みを解説_with-title_1787205769982.png)

公共工事の入札には、建設会社の能力を数値で評価する「点数」の仕組みがあります。入札情報を調べ始めた経営者から、この点数が何を意味し、自社の受注にどう関係するのか分からないという声は少なくありません。
この記事では、公共工事の点数として最も重要な経営事項審査(経審)の評点を取り上げ、入札参加資格の審査でどのように使われるのか、受注にどう影響するのかを解説します。
公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。
- 公共工事の点数とは、経営事項審査が算出する総合評定値のこと
- 点数をどの等級に当てはめるかは、各発注機関の資格審査で決まる
- 点数は参加できる案件の規模や指名、総合評価の加点に影響する
- 点数が低くても、自社の等級で参加できる案件から受注を積む進め方がある
公共工事の点数とは何か?
公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、経営事項審査(経審)を受け、経営状況や技術力を数値で評価されます。この審査で算出される評点が、いわゆる公共工事の点数です。
経審の評点の仕組み
経審の結果として通知される点数は、経営規模を表すX1・X2、経営状況を表すY、技術力を表すZ、その他の審査項目(社会性等)を表すWという5つの評点を重み付けして合計した総合評定値Pです。国土交通省の公表資料によると、総合評定値は制度上163点から2,159点までの範囲に収まります。
また、総合評定値は許可を受けた建設業の種類ごとに算出されるため、1つの会社に1つの点数がつくわけではありません。土木工事と建築工事で別々の点数が通知されることもあります。
経審の有効期間は審査基準日から1年7か月とされています。審査基準日は原則として直前の決算日となるため、決算後に申請するのが一般的です。
審査の流れと申請先
経審の申請先は、都道府県知事許可の会社は許可を受けた都道府県知事、国土交通大臣許可の会社は本店所在地を管轄する地方整備局長等です。都道府県を経由する事務は令和2年4月1日に廃止され、現在は直接提出します。審査のうち経営状況の分析は、国土交通大臣が登録した経営状況分析機関が行います。
なお、経審の受審は建設業法第27条の23第1項で義務とされており、公共性のある施設・工作物に関する建設工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が対象です。任意なのは総合評定値の請求(同法第27条の29)で、請求があったときに通知される仕組みです。
経審は点数を出すところまでを担う
注意したいのは、経審が出すのは点数までであり、等級を決めるのは発注機関だという点です。国土交通省は、公共工事の発注機関が競争入札参加者の資格審査を行い、客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化して順位付け・格付けを行うと説明しています。
このうち客観的事項の審査にあたるのが経審です。つまり、経審の点数は等級を決める材料の一部であり、発注機関が工事成績や地域貢献など独自の主観的事項を加えたうえで、最終的な評価が決まります。
- 経審は総合評定値Pを算出するが、等級(ランク)自体は決めない
- 等級は各発注機関が主観的事項を加えて決める
- 点数は業種ごとに算出され、有効期間は審査基準日から1年7か月
点数は受注にどう影響するのか?
経審の点数は、単なる会社の評価ではなく、受注プロセスのさまざまな場面で実際に使われます。主な使われ方を整理すると、次のとおりです。
| 場面 | 点数の使われ方 |
|---|---|
| 入札参加資格審査 | 客観的事項として、発注機関ごとの資格審査の材料になる |
| 等級(ランク)の決定 | 点数と主観的事項の合計で等級が決まり、参加できる案件の規模が変わる |
| 指名競争入札の指名 | 指名の候補者を選ぶ際の判断材料として使われることがある |
| 総合評価落札方式 | 技術提案などとあわせて、価格以外の評価要素の一部になる |
客観的事項と主観的事項の合計で評価が決まる
発注機関の資格審査では、経審の評点(客観的事項)に加えて、発注機関が独自に定める主観的事項が評価されます。主観的事項の例としては、工事成績評定や地域への貢献活動などが挙げられます。
| 評価の区分 | 内容 | 担い手 |
|---|---|---|
| 客観的事項 | 経営状況・経営規模・技術力などの数値評価 | 経営事項審査(経審) |
| 主観的事項 | 工事成績、地域貢献などの評価 | 各発注機関 |
この合計で順位付け・格付けが行われるため、同じ経審の点数でも、主観的事項の扱いによって発注機関ごとの等級が変わることがあります。
等級が変わると参加できる案件の規模が変わる
発注機関が定める等級は、参加できる工事の金額帯と結びついていることが一般的です。等級が高くなれば、より大規模・高額な案件に参加できるようになります。
等級の区分や境目の点数は発注機関ごとに異なるため、同じ点数でも機関によって等級が違うことがあります。参加を検討している発注機関が公表している入札参加資格審査の要領で、等級の基準と発注標準を確認することが必要です。
点数が低いと入札に参加できないのか?
点数が低いからといって、公共工事の入札そのものに参加できないわけではありません。等級ごとに発注される工事の金額帯が設定されているため、自社の等級で参加できる案件は存在します。
公共工事は税金を原資とする事業のため、入札参加のルールが文章と数値で明確に定義されているのが特徴です。数値で示されたルールに合わせて行動できるという面があります。
公共事業は税金で賄われていますので、ルールによって定められています。文章によってルールが定義され、さらにA、B、C、Dランクという数値によっても定義されている。ビジネスとしては非常にコントロールしやすいものです。
点数や等級という数値で受注環境が定義されているからこそ、自社の現在地を把握して次に何をすべきかを計画的に決められるというのが、公共工事の特徴といえます。
点数を活かして受注につなげるには?
点数を単に「評価された数字」と見るのではなく、受注を増やすための道具として使う視点が必要です。実務上は次のような進め方が考えられます。
自社の等級で参加できる案件から実績を積む
点数が低い時期は、上位の等級の案件を狙うのではなく、自社の等級で参加できる案件から受注実績を積むことが先決です。実績は経審の技術力評価や発注機関の主観評価にも反映されるため、受注→実績→評価のサイクルが回り始めます。
受注した工事の成績を次につなげる
公共工事では、完成した工事が発注者から工事成績評定として評価され、この成績が次回の指名や評価に反映される仕組みがあります。1件の受注を丁寧に施工して良い成績を取ることは、次の受注の点数につながります。
点数を活かす3つのステップ
点数を活かした受注づくりは、次の3つのステップで進めるのが分かりやすい進め方です。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 現状把握 | 結果通知書で自社の点数と各区分の評点を確認する |
| 2 土俵選び | 参加したい発注機関の資格審査要領で、等級と発注標準を確認する |
| 3 実績づくり | 自社の等級で参加できる案件に入札し、受注と施工成績を積む |
点数を伸ばすことだけを目的にするのではなく、現状の点数で参加できる案件から着実に実績を積むことが、結果として次の点数アップにもつながります。
実績が少ない会社でも、経審の点数は経営状況や技術力など実績以外の区分でも評価されるため、参加できる案件はあります。実績ゼロから始める場合は、まず小規模な案件から入札し、落札実績と施工成績を作っていく進め方が現実的です。
- 自社の等級で参加できる案件を、発注機関の資料で確認する
- 参加できる案件から受注実績を積み、評価のサイクルを回す
- 受注後の施工で良い工事成績を取り、次の評価につなげる
点数と向き合うための実務のポイント
点数を経営に組み込むうえで、押さえておきたい実務のポイントを整理します。
決算から逆算して受審時期を管理する
経審の結果は審査基準日から1年7か月有効なため、狙っている案件の公告時期から逆算して受審スケジュールを管理する必要があります。決算後すぐに申請すれば、次年度の資格審査に最新の点数を反映させやすくなります。
例えば決算が3月期の会社であれば、決算後に経審を申請し、通知された点数を基に各発注機関の入札参加資格審査に申請します。発注機関ごとに資格の有効期間や更新時期が異なるため、更新のタイミングに最新の点数が反映されるように管理しておくことが実務のポイントです。
- 決算後は速やかに経審を申請し、結果通知書で点数を確認する
- 参加する発注機関ごとに、資格審査の申請時期と更新時期を管理する
- 点数や等級は決算の内容と実績の積み上げで変わることを前提に計画する
点数そのものより狙う発注機関を先に決める
等級の基準は発注機関ごとに異なるため、「何点取ればよいか」を先に考えても目標は定まりません。参加したい発注機関と狙いたい等級を先に決め、その等級に必要な点数を確認する順序のほうが現実的です。
点数が思ったより低くても、それが参入できないことを意味するわけではありません。まずは自社の点数で参加できる案件に入札し、実績と評価を積み上げながら、点数と等級の向上を次のステップとして計画する進め方が有効です。
また、決算内容の悪化などで点数が下がることもあります。点数が下がっても、等級は毎回の資格審査で見直されるため、翌年以降の申請で点数を戻せば等級も見直されます。どの区分が下がったのかを結果通知書で確認し、原因に対処することが実務的です。
公共工事の受注を増やすための進め方
公共工事の点数は、経営事項審査が算出する客観的な評点であり、受注の世界では参加資格や等級を通じて自社の土俵を決める役割を担っています。点数が低くても、自社の等級で参加できる案件から実績を積むことで、受注と評価のサイクルを回せます。
公共工事は大手企業や実績のある会社でなければ参入できない事業だと受け止められることがあります。ただ、入札参加の要件は制度として明確に定められており、経営事項審査の結果や参加資格を満たせば、会社の規模にかかわらず参加できる仕組みです。
自社の点数と等級を確認し、どの発注機関のどの案件から始めるかを整理することが、公共工事での受注拡大の出発点になります。
- 経審の結果通知書で自社の点数と各区分の評点を確認する
- 参加する発注機関の資格審査要領で、等級と発注標準を把握する
- 自社の等級で参加できる案件から受注実績を積み始める
よくある質問
- 公共工事の点数はどこで確認できるのか?
-
経審の結果は、受審した都道府県知事または国土交通大臣から結果通知書として送付されます。通知書には総合評定値Pと各区分の評点が記載されます。等級は、各発注機関の入札参加資格審査の結果として通知されます。
- 点数とランク(等級)は同じものか?
-
同じではありません。経審が算出するのは点数であり、等級はその点数を各発注機関が自らの基準で当てはめて決めます。同じ点数でも、発注機関によって等級が異なることがあります。
- 点数が低いと入札に参加できないのか?
-
点数が低くても、自社の等級で参加できる案件に入札することはできます。等級ごとに参加できる工事の金額帯が設定されているため、まずは自分の等級で参加できる案件から実績を積む進め方が一般的です。
- 経審の点数はいつまで有効なのか?
-
経審の有効期間は審査基準日から1年7か月とされています。審査基準日は原則として申請日の直前の事業年度終了日、つまり直前の決算日です。決算後は速やかに申請することが目安とされています。
まとめ
公共工事の点数とは、経営事項審査が算出する総合評定値Pのことです。経審は点数を出すところまでを担い、それをどの等級に当てはめるかは各発注機関の資格審査で決まります。点数は参加できる案件の規模や指名、総合評価の加点など、受注のさまざまな場面に影響します。
点数が低くても参加できる案件はあります。自社の等級で参加できる案件から受注実績を積み、施工成績を次の評価につなげるサイクルを回すことが、点数を活かして受注を増やす考え方になります。
- 公共工事の点数は経審の総合評定値Pであり、等級を決めるのは発注機関
- 点数は参加資格・等級・指名・総合評価など受注の各場面で使われる
- 点数が低くても、自社の等級で参加できる案件から実績を積める
- 受注と施工成績のサイクルを回して、次の評価につなげる


コメント
コメント一覧 (1件)
[…] あわせて読みたい 429 Too Many Requests 公共工事受注の手引き […]