建設業許可の取得条件とは?必ず満たすべき5つの要件を徹底解説

監修情報

水嶋 拓

フロンティアマーケティング株式会社代表取締役。2009年から公共工事コンサルタントとして活動し、450社以上の中小建設会社の経営を支援。2017年に同社を設立し、現在は公共工事研究会も主宰している。著書に『日本一ハードルの低い公共工事の始め方』。

建設業許可を取得するには、建設業法で定められた5つの基準をすべて満たす必要があります。この5つは「経営業務の管理責任者等」「専任技術者」「誠実性」「財産的基礎・金銭的信用」「欠格要件に該当しないこと」であり、いずれか一つでも欠けると許可を受けることはできません。

この記事では、5つの要件それぞれの内容と、判断の基準となる数値・条文を解説します。特定建設業と一般建設業で基準が異なる部分もあるため、御社が目指す許可の種類に応じて確認しておくことが重要です。

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この記事で分かること
  • 建設業許可の取得条件は、経営業務の管理責任者等・専任技術者・誠実性・財産的基礎・欠格要件の5つで構成される
  • 経営業務の管理責任者等の要件は、個人の経験だけでなく組織体制でも満たせるようになっている
  • 専任技術者・財産的基礎の要件は、一般建設業と特定建設業で求められる基準が異なる
  • 欠格要件は法人だけでなく個人事業主にも準用され、数値基準は法改正で変わることがあるため執筆時点の情報として確認する必要がある
目次

建設業許可の取得条件を構成する5つの基準とは?

建設業許可の取得条件は、建設業法第7条(一般建設業)・第15条(特定建設業)を根拠とする5つの基準に整理されます。この章では、5つの基準の全体像を確認します。

5つの基準はいずれも欠けると許可を受けられない

5つの基準とは、①経営業務の管理を適正に行う能力(経営業務の管理責任者等)、②営業所ごとの専任技術者、③誠実性、④財産的基礎又は金銭的信用、⑤欠格要件に該当しないこと、です。①②④は建設業法第7条・第15条、③は同条の各号、⑤は第8条(個人事業主には第17条で準用)が根拠となっており、いずれか一つを満たさない場合は許可を受けることができません。

5つの基準根拠となる条文
経営業務の管理を適正に行う能力(経営業務の管理責任者等)建設業法第7条・第15条
営業所ごとの専任技術者建設業法第7条・第15条
誠実性建設業法第7条・第15条の各号
財産的基礎又は金銭的信用建設業法第7条・第15条
欠格要件に該当しないこと建設業法第8条(個人事業主には第17条で準用)

経営業務の管理責任者等の要件とは何を求められるのか?

1つ目の基準は、建設業の経営を適正に行う能力に関するものです。この要件は令和2年の法改正で内容が変わっています。

令和2年の改正で個人の経験一辺倒ではなくなった

以前は「許可を受けようとする建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者」を1人置くことが求められていましたが、令和2年10月1日施行の建設業法改正により、建設業法第7条第1号は「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること」という表現に改められました。

個人の経験だけでなく、組織としての体制を整えることでも要件を満たせるようになった点が、この改正の要点です。

常勤役員等1人が満たすべき経路は複数用意されている

改正後の建設業法施行規則第7条第1号では、常勤役員等(個人事業主の場合は本人又は支配人)のうち1人が、以下のいずれかに該当することが求められています。

  • 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
  • 経営業務の管理責任者に準ずる地位での5年以上の経営業務管理経験を有する者
  • 建設業に関し2年以上役員等の経験があり、財務管理・労務管理・業務運営を担当する補佐者を置く体制を整えた者

建設業の種類(業種)ごとの経験の区別は廃止されており、業種を問わず建設業に関する経験として評価される点も、以前との違いです。

適正な社会保険への加入・届出も要件の一部になっている

建設業法施行規則第7条第2号では、適正な社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)の適用事業所への加入・届出も、経営業務の管理責任者等の要件の一部として整理されています。許可取得後に該当者が退職して後任が不在になった場合は、要件の欠如として建設業法第29条第1項第1号に基づく許可取消しの対象になるため、許可後も継続的な確認が必要です。

専任技術者の要件とは何を求められるのか?

2つ目の基準は、営業所ごとに配置する技術者に関するものです。一般建設業と特定建設業で求められる資格が異なります。

営業所ごとに専任の技術者を配置する必要がある

建設業法第7条第2号・第15条第2号では、建設業を営む全ての営業所ごとに、許可を受けようとする建設業に関する一定の資格又は経験を有する技術者(営業所技術者等、いわゆる専任技術者)を専任で配置することが求められています。「専任」とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事することを指し、他の営業所や他の法令で専任を要する業務との兼務は原則として認められません。

一般建設業では国家資格か実務経験のいずれかで満たす

一般建設業の営業所技術者になり得る資格要件は、一定の国家資格等を有する者、または許可を受けようとする建設業に係る実務経験(指定学科卒業後、大学・高専は3年以上・高校等は5年以上の実務経験、あるいは10年以上の実務経験など)を有する者のいずれかです。ここでいう実務経験は建設工事の施工に関する技術上の職務経験全般を指し、単なる雑務のみの経験は対象になりません。

特定建設業では指導監督的実務経験が必要になる場合がある

特定建設業の特定営業所技術者になり得る資格要件の一つに、一般建設業の資格要件を満たし、かつ発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験を有する、というものがあります。

この4,500万円は指導監督的実務経験の対象工事の基準(建設業法施行令第5条の3)であり、監理技術者等の専任が必要な請負代金の基準(同施行令第27条)や、特定建設業許可・監理技術者配置を要する下請代金の基準(同施行令第2条)とは別の条文・別の制度です。

数値が近い部分があるため、取り違えないよう注意が必要です。なお、土木一式・建築一式など指定建設業7業種では、この指導監督的実務経験による資格要件は使えず、国家資格等が必要になります。

区分専任技術者になり得る者
一般建設業一定の国家資格等を有する者、または指定学科卒業後に大学・高専で3年以上・高校等で5年以上の実務経験、あるいは10年以上の実務経験を有する者
特定建設業一般建設業の資格要件を満たし、かつ発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験を有する者など
指定建設業7業種(土木一式・建築一式など)指導監督的実務経験による資格要件は使えず、国家資格等が必要

誠実性の要件とは何を求められるのか?

3つ目の基準は、請負契約に関する不正・不誠実な行為のおそれがないかを問うものです。

不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことが必要

建設業法第7条第3号・第15条では、許可を受けようとする者(法人はその法人・役員等・一定の使用人、個人事業主は本人・支配人・一定の使用人)が、請負契約の締結又は履行に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが求められています。

「不正な行為」は詐欺・脅迫・横領等法律に違反する行為、「不誠実な行為」は工期や損害負担等について請負契約に違反する行為を指します。

  • 法人の場合は、その法人・役員等・一定の使用人が対象になる
  • 個人事業主の場合は、本人・支配人・一定の使用人が対象になる
  • 「不正な行為」は詐欺・脅迫・横領等、法律に違反する行為を指す
  • 「不誠実な行為」は工期や損害負担等について請負契約に違反する行為を指す

建設業以外の分野での免許取消しも判断対象になり得る

誠実性を満たさない例として、建築士法や宅地建物取引業法などの規定により不正又は不誠実な行為を理由に免許等の取消処分を受け、その最終処分から5年を経過していない場合が挙げられています。建設業以外の分野での処分履歴も判断対象になり得る点は、見落とされやすいポイントです。

財産的基礎・金銭的信用の要件とは何を求められるのか?

4つ目の基準は、請負契約を履行できるだけの財産的な裏付けがあるかを問うものです。一般建設業と特定建設業では基準が異なります。

一般建設業は自己資本500万円などいずれか1つを満たせばよい

一般建設業の許可を受ける場合、自己資本の額が500万円以上であること、500万円以上の資金を調達する能力を有すること、許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること、のいずれか1つに該当すれば要件を満たします。

「資金を調達する能力」は、担保とすべき不動産等を有することなどにより金融機関から融資を受けられる能力を指し、融資証明書や預金残高証明書等で確認します。

特定建設業はすべての基準を満たす必要がある

特定建設業の許可では、欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと、流動比率が75%以上であること、資本金の額が2,000万円以上でかつ自己資本の額が4,000万円以上であること、という3つの基準をすべて満たす必要があります。一般建設業がいずれか1つでよいのに対し、特定建設業はすべてを満たす必要がある点が大きな違いです。

区分求められる基準満たし方
一般建設業自己資本500万円以上、500万円以上の資金調達能力、許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績いずれか1つを満たせばよい
特定建設業欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと、流動比率75%以上、資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上すべてを満たす必要がある

基準は許可時点で判断され事後の変動は直ちに影響しない

財産的基礎・金銭的信用の基準は、既存の企業は直前の決算期における財務諸表、新規設立の企業は創業時の財務諸表で判断されます。この基準は許可を行う際に判断されるものであり、許可後にこの基準を下回っても、直ちに許可の効力に影響するわけではありません。

欠格要件に該当しないことの確認とは何を指すのか?

5つ目の基準は、これまでの4つとは異なり「該当しないこと」が求められる基準です。

申請書類の虚偽記載・記載漏れも欠格要件に該当する

許可申請書やその添付書類に重要な事項の虚偽記載や記載漏れがある場合、または建設業法第8条各号に定める事由のいずれかに該当する場合、許可を受けることができません。役員等・支配人又は営業所の長に該当者がいる場合も同様に扱われます。

建設業法第8条には主な欠格事由が定められている

建設業法第8条が定める主な欠格事由には、以下のようなものがあります。

  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 不正の手段により許可を受けたこと等でその許可を取り消されて5年を経過しない者
  • 拘禁刑以上の刑や建設業法等の罰金の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員、又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

ここで挙げた事由は建設業法第8条に列挙された主な例であり、心身の故障により建設業を適正に営むことができない者など、ほかにも複数の事由が定められています。

個人事業主にも欠格要件は準用される

これらの欠格事由は法人だけでなく、建設業法第17条により個人事業主にも準用されます。法人化しているかどうかにかかわらず、経営者本人がこれらの事由に該当していないことの確認が必要です。

5つの要件を満たすことは、公共工事参入にどうつながるのか?

ここまで見た5つの要件は、建設業許可そのものを取得するための基準です。公共工事の入札に参加するには、この許可を前提として経営事項審査(経審)を受けることが必要になり、5つの要件を整理する作業は、その最初のステップという位置づけになります。

特に、経営業務の管理責任者等・専任技術者は経審の評価項目にも関わり、財産的基礎に関する自己資本や資本金の状況も経審の評点に反映されます。5つの要件を満たしているかどうかを個別に確認していく過程は、許可取得だけでなく、その後の経審や入札参加の準備にもつながる作業といえます。

  • 公共工事の入札に参加するには、建設業許可を前提として経営事項審査を受ける必要がある
  • 経営業務の管理責任者等と専任技術者は、経営事項審査の評価項目にも関わる
  • 財産的基礎に関する自己資本や資本金の状況は、経営事項審査の評点に反映される

公共工事は大手や実績のある会社が受注するものだと受け止められることがあります。ただ、入札参加の要件は制度として明確に定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる仕組みです。5つの要件を一つずつ確認し、不足している部分があれば整えていくことが、公共工事参入という選択肢を持つための現実的な出発点になります。

よくある質問

建設業許可の5つの要件は、どれか一つを満たせば許可を受けられますか?

いいえ、経営業務の管理責任者等・専任技術者・誠実性・財産的基礎又は金銭的信用・欠格要件に該当しないことの5つは、いずれも満たす必要がある基準です。1つでも欠けると許可を受けることはできません。

経営業務の管理責任者等の要件は、経験がない社長でも満たせますか?

令和2年10月1日施行の改正により、5年以上の経営経験を有する者を置く方法だけでなく、役員等と補佐者による体制を整える方法でも要件を満たせるようになっています。個別の経路によって求められる経験年数が異なるため、自社の体制がどの経路に該当するかを確認する必要があります。

専任技術者は本社に1人配置すれば全営業所をカバーできますか?

専任技術者は営業所ごとに専任で配置する必要があり、その営業所に常勤して専らその職務に従事することが求められます。本社に1人配置しただけで他の営業所をカバーすることはできません。

財産的基礎の基準は、許可を受けた後に下回ると許可が取り消されますか?

財産的基礎・金銭的信用の基準は許可を行う際に判断されるものであり、許可後にこの基準に適合しなくなったとしても、直ちに許可の効力に影響を及ぼすものではないとされています。

まとめ

建設業許可の取得条件は、経営業務の管理責任者等・専任技術者・誠実性・財産的基礎又は金銭的信用・欠格要件に該当しないことの5つで構成されます。いずれも建設業法第7条・第15条・第8条を根拠とする基準であり、1つでも欠けると許可を受けることはできません。

経営業務の管理責任者等は令和2年の改正で組織体制でも満たせるようになり、専任技術者・財産的基礎の基準は一般建設業と特定建設業で内容が異なります。欠格要件は法人だけでなく個人事業主にも準用される点にも注意が必要です。数値基準は法改正で変わることがあるため、いずれも執筆時点の情報として確認し、申請時には最新の制度を確認することが重要です。

5つの要件を一つずつ確認していく作業は、許可取得のためだけでなく、その先にある経営事項審査や公共工事の入札参加に向けた準備の第一歩でもあります。御社の現状を要件ごとに整理し、不足があれば早めに対応を検討することが、次のステップにつながります。

この記事のまとめ
  • 建設業許可の取得条件は、経営業務の管理責任者等・専任技術者・誠実性・財産的基礎・欠格要件の5つすべてを満たす必要がある
  • 経営業務の管理責任者等の要件は、令和2年の改正で個人の経験だけでなく組織体制でも満たせるようになった
  • 専任技術者・財産的基礎の基準は、一般建設業と特定建設業で求められる内容が異なる
  • 欠格要件は個人事業主にも準用され、数値基準は制度改正で変わることがあるため最新情報の確認が必要

より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。

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