建設業許可とは?取得条件や必要書類・費用・期間を分かりやすく解説


建設業を営むうえで、多くの会社が最初に検討することになるのが建設業許可です。一定金額以上の工事を請け負うには許可が必要になる一方、取得条件や必要書類、費用・期間の目安は制度が細かく、どこから確認すればよいか分かりにくい部分もあります。
この記事では、建設業許可が必要になる工事の範囲から、取得条件、申請の流れ、費用や期間の目安、取得後に見据えるステップまでを順に整理します。制度の全体像をつかみ、自社の状況に合わせて検討を進める材料としてご確認ください。
公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。
- 建設業許可が必要になる工事の範囲と軽微な建設工事の基準
- 建設業許可の取得条件(人的要件・財産的基礎等)
- 申請に必要な書類と申請から許可までの流れ
- 取得費用・期間の目安と、取得後に見据えるべき次のステップ
建設業許可はどんな工事で必要になるのか?
建設工事の完成を請け負う営業を行う場合、公共工事・民間工事のいずれであっても、原則として建設業の許可を受ける必要があります。ただし、この原則には例外があり、一定規模以下の「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は許可を受けずに営業できます。
まず押さえておきたいのは、この「軽微な建設工事」の範囲がどこまでかという点です。以下で基準を具体的に確認します。
建設業許可なしで請け負える「軽微な建設工事」の基準
軽微な建設工事に該当するかどうかは、工事の種類によって基準が分かれます。建築一式工事以外の工事であれば、1件の請負代金の額が500万円に満たない工事が軽微な建設工事にあたります。
この基準を超える工事を請け負う場合は、建設業許可を受けていることが前提になります。自社が普段請け負っている工事の規模感と照らし合わせて確認しておく必要があります。
軽微な工事にあたるかどうかの請負代金の算定方法
請負代金の算定にはいくつかの注意点があります。軽微な工事に該当するかどうかの判定は、消費税及び地方消費税を含んだ金額(税込)で行います。金額のボーダーライン付近の工事を検討する際は、税込か税抜かで判定結果が変わる可能性がある点に注意が必要です。
また、同一の建設業を営む者が1件の工事を2以上の契約に分割して請け負う場合、原則として各契約の請負代金の額を合算した金額で判定します。ただし、正当な理由に基づいて契約を分割した場合はこの限りではありません。恣意的な分割によって基準額を下回るよう見せかける行為は、制度上想定されていない対応であり、正規の許可取得を前提に検討することが基本です。
加えて、注文者が材料を提供する場合は、その材料の市場価格(運送費が必要なときは運送費を加えた額)を請負代金の額に加えた額で判定します。元請から材料の提供を受ける工事では、この点も見落とさないようにしたい部分です。
- 判定は消費税及び地方消費税を含んだ金額(税込)で行う
- 1件の工事を2以上の契約に分割して請け負う場合は、原則として各契約の請負代金の額を合算して判定する
- 注文者が材料を提供する場合は、その材料の市場価格(運送費が必要なときは運送費を加えた額)を請負代金の額に加えて判定する
建築一式工事における金額基準以外の例外
建築一式工事については、他の工事種別とは異なる基準が設けられています。建築一式工事の場合、1件の請負代金の額が1,500万円に満たない工事であれば、軽微な建設工事として許可なしで請け負うことができます。
さらに、延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事であれば、請負代金の額にかかわらず軽微な建設工事に該当します。この延べ面積による基準は建築一式工事に限定された規定であり、建築一式工事以外の工事種別には適用されない点に注意が必要です。
基準を超えて無許可で工事を請け負った場合のリスク
軽微な建設工事の範囲を超えて、許可を受けずに建設業を営んだ場合は、建設業法上の罰則の対象になります。罰則の内容は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金とされており、両方が併科される場合もあります。なお、2025年6月施行の刑法改正により、従来「懲役」とされていた表記は「拘禁刑」に一本化されています。
また、無許可営業を行った場合、実際に違反行為をした本人だけでなく、両罰規定により法人にも罰金刑が科され得ます。さらに、罰金の刑に処せられてから一定期間を経過しない者は、建設業許可の欠格要件に該当し、許可を受けられなくなる点も踏まえておく必要があります。
建設業許可の取得条件とは?
建設業許可を取得するには、いくつかの要件をすべて満たす必要があります。大きく分けると、経営業務の管理責任者等の設置、専任技術者の設置、財産的基礎、欠格要件に該当しないこと、社会保険への加入という要素で構成されています。
経営業務の管理責任者等に求められる経験
経営業務の管理責任者等(常勤役員等)については、経験年数に関する要件があります。建設業に関し5年以上の管理責任者としての経験、5年以上の管理責任者に準ずる地位での経営管理経験、6年以上の補佐経験、または2年以上の役員経験に加えて5年以上の財務・労務・運営業務経験(補佐者の配置が必須)などの組み合わせで満たすことができます。
令和2年10月の建設業法改正により要件が緩和され、複数の経験パターンが認められるようになりました。役員としての経験年数が5年に満たない場合でも、他の組み合わせで要件を満たせる可能性があります。
専任技術者になるために必要な実務経験
専任技術者(営業所技術者等)についても、営業所ごとに配置が必要です。一般建設業では、指定学科修了後に高卒で5年以上または大卒で3年以上の実務経験を持つ者、実務経験10年以上の者、国家資格者のいずれかが該当します。
特定建設業では、国家資格者、または請負代金4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験を有する者などが該当します。
この4,500万円という基準は、指導監督的実務経験の対象工事に関する基準(建設業法施行令第5条の3)であり、特定建設業許可そのものが必要になる下請代金の基準(同施行令第2条、建築一式工事以外で5,000万円以上・建築一式工事で8,000万円以上)とは別の条文・別の基準です。両者を混同しないよう注意してください。
財産的基礎に関する要件
財産的基礎の要件は、一般建設業と特定建設業で内容が異なります。それぞれの要件は次のとおりです。
- 一般建設業:自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力(預金残高証明書等で判断)、あるいは過去5年間継続して営業した実績のいずれかを満たすこと
- 特定建設業:資本金2,000万円以上であること
- 特定建設業:自己資本4,000万円以上であること
- 特定建設業:欠損の額が資本金の20%を超えないこと、かつ流動比率75%以上であること
特定建設業の場合は、上記の要件をすべて満たす必要があります。一般建設業に比べて求められる財産的基礎の水準が高く設定されている点が特徴です。
欠格要件に該当しないことが求められる理由
建設業法上の欠格要件に該当しないことも、許可取得の前提条件です。加えて、健康保険・厚生年金保険・雇用保険といった社会保険への加入も許可基準の一つに位置づけられており、適用事業所となるすべての営業所での加入・届出が求められます。
建設業許可の申請にはどんな書類が必要か?
建設業許可の申請区分には、新規、許可換え新規、般・特新規、業種追加、更新の5区分があります。どの区分に該当するかによって、準備すべき書類の一部が変わってきます。
新規申請で準備すべき主な書類
新規申請の場合、法定の様式に加えて複数の添付書類を用意する必要があります。主な書類は次のとおりです。
- 許可申請書、役員等一覧表(法人のみ)、営業所一覧表、営業所技術者等一覧表などの法定様式
- 工事経歴書、直前3年の工事施工金額、使用人数を示す様式
- 誓約書、常勤役員等証明書、営業所技術者等証明書、実務経験証明書
- 財務諸表、登記事項証明書、定款の写し、身分証明書、登記されていないことの証明書、納税証明書などの添付書類
これらの様式は国土交通省の公式サイトで公開されており、記載要領も併せて確認できます。ただし、都道府県によって営業所写真の枚数など独自のルールを求める場合があるため、申請先行政庁の最新の手引きで確認することが前提になります。
申請から許可までにかかる期間の目安
審査にかかる期間は、知事許可と大臣許可で異なります。知事許可はおおむね30日程度、大臣許可はおおむね90日から120日程度が目安とされていますが、これは書類に不備がない場合の目安であり、補正対応が必要になった場合は実務上さらに時間がかかることがあります。申請前に、この目安を踏まえたスケジュールを組んでおくことが大切です。
建設業許可の取得はどのくらいの費用で、どれくらいの期間がかかるのか?
取得にあたって発生する費用と、実際にかかる期間の目安を確認します。いずれも申請区分によって内容が変わります。
許可申請の手数料
許可手数料は、許可の種類によって次のように定められています。
| 申請区分 | 知事許可 | 大臣許可 |
|---|---|---|
| 新規申請 | 9万円 | 登録免許税15万円 |
| 更新・同一区分追加 | 5万円 | 5万円 |
| 納付方法 | 都道府県により収入証紙または現金 | 収入印紙(登録免許税は税務署に納付) |
知事許可・大臣許可のいずれも、区分によって手数料の額が異なります。申請前に、自社が該当する区分の手数料を確認しておくとよいでしょう。
取得までにかかる期間の実務上の目安
審査そのものの標準処理期間に加えて、書類準備の期間も考慮する必要があります。実務上は、知事許可で申請準備を含めて1〜2ヶ月程度、大臣許可で3〜4ヶ月程度が目安とされています。

許可取得には時間がかかる、と思われがちですが、知事許可であれば自分で手続きを進めて2ヶ月程度で取得できます。大臣許可や書類の状況によって期間は変わりますが、申請自体は自分で進められる手続きです。
この目安はあくまで書類に不備がない場合を前提としたものです。準備を始める時期や書類の整い方によって、実際にかかる期間は変わってきます。
建設業許可を取得した後に見据えるべき次のステップとは?
建設業許可を取得した後、公共工事の受注を目指す場合は、次に経営事項審査という手続きが関わってきます。ここでは、経営事項審査の位置づけと、入札参加資格とのつながりを確認します。
経営事項審査とはどのような制度か
経営事項審査は、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が原則として受けなければならない審査です。民間工事のみを行う業者には不要な手続きですが、公共工事を検討する場合は避けて通れない制度です。対象は500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の公共工事の受注を希望する建設業許可業者です。
経審の結果は入札参加資格にどうつながるのか
公共工事の発注機関は、競争入札参加希望者について資格審査を行います。欠格要件の有無を確認したうえで、経営事項審査の結果である客観的事項と、発注者別評価などの主観的事項を点数化し、順位付け・格付けを行う仕組みです。経営事項審査は、この客観的事項の審査に相当し、入札参加資格審査の基礎データとなります。



経審の点数が低いと入札に参加できない、と思われがちですが、そんなことはありません。点数が高いか低いかに関係なく、入札に参加できますし、落札もできます。点数で変わるのは、元請けとして狙える案件の規模です。
経営事項審査の有効期間はどのくらいか
経営事項審査の有効期間は、結果通知書を受領した後、審査基準日から1年7ヶ月です。継続して公共工事を受注するには、毎年決算終了後4ヶ月以内を目安に次回申請を行うことが推奨されています。費用については、経営状況分析が概算1万円台、経営規模等評価申請手数料が数千円から1万円台程度とされており、総合評定値請求まで含めると合計で2万円以上になる目安が紹介されています。
- 有効期間は結果通知書を受領した後、審査基準日から1年7ヶ月
- 継続して受注するには毎年決算終了後4ヶ月以内を目安に次回申請を行うことが推奨されている
- 経営状況分析の費用は概算1万円台、経営規模等評価申請手数料は数千円から1万円台程度
- 総合評定値請求まで含めると合計で2万円以上になるのが目安
これらの金額は執筆時点の情報であり、最新の料率は申請先の窓口で確認することをおすすめします。
建設業許可の取得は公共工事参入のどの段階にあたるのか?
ここまで確認してきた建設業許可は、公共工事参入という大きな流れの中では、いわば入口にあたる手続きです。許可を取得し、経営事項審査を経て初めて、公共工事の入札に参加できる状態になります。つまり、建設業許可の取得条件や必要書類を整えることは、単なる法令対応にとどまらず、公共工事という事業機会に近づくための最初のステップと位置づけられます。
取得条件や必要書類を一つずつ確認していく中で、自社の体制や実務経験が要件にどう当てはまるかを整理しておくと、その後の経営事項審査や入札参加資格の準備にもつながりやすくなります。
- 建設業許可の取得が、公共工事参入という流れの入口にあたる手続きになる
- 許可を取得し、経営事項審査を経て初めて公共工事の入札に参加できる状態になる
- 取得条件や必要書類を整える作業は、その後の経営事項審査や入札参加資格の準備にもつながる
公共工事は大手や実績のある会社のもの、と受け止められることがあります。ただ、入札参加の要件は制度として明確に定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる仕組みです。建設業許可の取得条件を一つずつ確認していくことは、その仕組みに近づくための具体的な一歩といえます。
よくある質問
- 建設業許可を取らずに工事を請け負うことはできますか?
-
建築一式工事以外で1件の請負代金が500万円未満、建築一式工事で1,500万円未満または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事であれば、軽微な建設工事として許可なしで請け負うことができます。これらの基準を超える工事を請け負う場合は、建設業許可が必要です。
- 建設業許可の取得条件を満たしていない場合はどうすればよいですか?
-
経営業務の管理責任者等や専任技術者の要件は複数の経験パターンが認められています。役員経験が5年に満たない場合でも、補佐経験や財務・労務・運営業務での経験と組み合わせて満たせる可能性があるため、自社の状況と要件を照らし合わせて確認することが大切です。
- 建設業許可は一度取得すれば更新は不要ですか?
-
建設業許可の有効期間は5年間であり、5年ごとに更新を受けなければ許可は失効します。更新の申請は、有効期間の満了日の30日前までに行う必要があります。更新を忘れると軽微な建設工事以外を請け負えない状態に戻ってしまうため、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。
- 建設業許可を取得した後、公共工事の入札に参加するには何が必要ですか?
-
公共工事を発注者から直接請け負うには、経営事項審査を受ける必要があります。経営事項審査の結果が入札参加資格審査の客観的事項として使われ、格付けの基礎データとなります。有効期間は審査基準日から1年7ヶ月のため、継続して受注するには定期的な申請が必要です。
まとめ
建設業許可は、軽微な建設工事の基準を超える工事を請け負ううえで必要になる許可です。経営業務の管理責任者等や専任技術者、財産的基礎といった取得条件を満たし、必要書類を整えて申請することで取得できます。費用や期間は申請区分によって異なり、いずれも書類の準備状況によって前後する点を踏まえておく必要があります。
取得後は、公共工事の受注を目指す場合に経営事項審査という次の手続きが控えています。建設業許可の取得は、それ自体が目的ではなく、公共工事参入という事業機会に近づくための土台となる手続きです。自社の状況を一つずつ確認しながら、必要な準備を進めていくことをおすすめします。
- 軽微な建設工事は建築一式工事以外500万円未満、建築一式工事1,500万円未満または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事
- 取得条件は経営業務の管理責任者等・専任技術者・財産的基礎・欠格要件非該当・社会保険加入で構成される
- 費用・期間は申請区分(知事許可・大臣許可、新規・更新等)によって異なる
- 公共工事の受注には、許可取得後に経営事項審査を受ける必要がある
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