建設業資金繰り表の作り方!


建設業の経営で欠かせないのが資金繰りの管理です。入金と支払いの時期がずれやすい業界だからこそ、先の資金の流れを見通せる仕組みが必要になります。
この記事では、建設業の資金繰り表の作り方を、エクセルで自作できる形で解説します。基本構造と項目、作成手順、運用のポイントまで順を追って紹介します。
2024年問題、人手不足、資金繰り…建設業界が直面する課題は山積みです。こうした環境だからこそ、経営の安定化には新たな収入源の確保が重要。この動画では、民間工事とは異なる公共工事という選択肢の実務的なポイントをおさえています。動画で基礎を理解した上で、記事の詳しい解説をご覧ください。
- 資金繰り表の基本構造(前月繰越+入金−支払い=月末残高)
- 建設業の入金・支払い項目の一覧
- エクセルでの作成手順と月次更新の方法
- 資金不足を事前に把握して対応する運用のポイント
資金繰り表とは何か?建設業で必要な理由
資金繰り表は、一定期間の入金と支払いを月単位で予測し、手元の現金残高がどう推移するかを管理する表です。決算書が過去の実績を記録するのに対し、資金繰り表は将来の現金の動きを予測します。
建設業は、材料費や外注費の支払いが先行し、工事代金の入金が後になる構造のため、現金の残高が一時的に大きく減る時期が生じます。資金繰り表があれば、その時期を事前に把握できます。
- 将来の入金・支払いを月単位で予測できる
- 資金が不足する時期と不足額を事前に把握できる
- 融資や支払い時期の調整を計画的に検討できる
なお、資金繰り表は作ることが目的ではなく、経営判断に使うことが目的です。手元資金の水準と照らし合わせることで、表の価値が発揮されます。

まあ、リテラシーの問題ですね。資金繰り表を見ていなくても、固定費の9ヶ月分のキャッシュがあれば基本的に倒産しません。決算は12ヶ月で組むわけですから、そのうち9ヶ月分は安泰だという状態であれば、よほど常軌を逸したような大きな仕事を残りの3ヶ月で入れでもしない限り、まず問題は起きません。
資金繰り表は、手元資金が水準を下回る時期を予測するためのツールです。残高の目安を持つことで、表の数字の意味が分かるようになります。
資金繰り表の基本構造と項目
資金繰り表は、シンプルな計算式で成り立っています。縦に入金・支払いの項目を並べ、横に月を取った表を作ります。
基本の計算式は「前月繰越+入金−支払い=月末残高」です。この繰り返しで、1年先までの現金残高の推移が分かります。
| 区分 | 主な項目 |
|---|---|
| 入金 | 工事代金(前払金・中間払金・完成払金)、営業外収入 |
| 支払い | 材料費、外注費、労務費、下請代金 |
| 支払い(固定) | 人件費、賃料、保険料、リース料 |
| その他支払い | 借入金の返済、税金、社会保険料 |
工事代金の入金時期は、工事の進捗と検収のタイミングによって変わります。工事ごとに入金予定日を確認し、表に反映することが正確な資金繰り表の条件です。
エクセルで資金繰り表を作る手順
資金繰り表は、特別なツールがなくてもエクセルで作れます。基本的な関数だけで足りるため、以下の手順で自作してみましょう。
- 入金予定を工事ごと・取引先ごとに洗い出す
- 支払い予定を固定費と変動費に分けて洗い出す
- 月別の表に、入金・支払いの各項目を割り当てる
- 前月繰越・入金・支払い・月末残高の計算式を組み込む
手順1 入金予定を洗い出す
最初に、受注済みの工事ごとに入金予定を書き出します。工事の工期、検収時期、前払金や中間払金の受け取り時期を確認し、該当する月に金額を割り当てます。
受注見込みの工事は、確度に応じて「見込み」として別に記録しておくと、予測の精度を確認できます。
手順2 支払い予定を洗い出す
支払いは、毎月ほぼ一定の固定費と、工事に応じて変わる変動費に分けて整理します。人件費や賃料などの固定費から先に埋めると、表が作りやすくなります。
借入金の返済日や税金・社会保険料の納付時期も、忘れがちな項目です。年間の支払い予定を一覧にしておくと、月別の表への転記がスムーズになります。
手順3 月別の表に項目を割り当てる
エクセルのシートに、縦軸に入金・支払いの項目、横軸に月を取ります。1月から12月までと、翌年度の最初の数か月分を用意しておくと、年度をまたぐ工事にも対応できます。
工事ごとに入金を管理したい場合は、工事名を行に追加して小計を取ると、どの工事の入金が遅れているのかも分かるようになります。
手順4 残高の計算式を組み込む
月末残高は「前月繰越+入金の合計−支払いの合計」で計算します。エクセルのSUM関数を使えば、項目が増えても計算式の修正は不要です。
各行の合計と残高を自動計算できるようにしておくと、予定の変更があっても表を更新するだけで再計算されます。
資金繰り表を運用するポイントと注意点
資金繰り表の効果は、作った後の運用で決まります。月次の更新と、実績と予測の差の確認を習慣にすることが重要です。
- 毎月、実績を反映して予測を更新する
- 予測と実績の差が大きい項目は、原因を確認する
- 残高が目安を下回る月は、融資や支払い調整を早めに検討する
資金不足が予想される月が見つかった場合の対応も、あらかじめ考えておきます。金融機関との関係を日頃から築いておけば、必要な時期に融資の相談がしやすくなります。



「借りないとやばい」と思った方は、銀行との付き合いをせざるを得ません。しかも1行ではなく2行、2行ではなく3行4行と付き合わなければいけないのです。
金融機関は複数との取引を検討することが大切です。資金繰り表を根拠にした相談は、金融機関にも経営の実態を伝えやすくなります。
資金繰り表を活かして受注機会を確保する
資金繰り表は、リスクを減らすだけの道具ではありません。受注判断や投資判断の基準としても使えます。
公共工事は大手や実績のある会社のもの、と受け止められることがあります。ただ、入札参加の要件は制度として明確に定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる仕組みです。
- 受注拡大に伴う資金負担を、資金繰り表で事前に試算する
- 公共工事は前払金や部分払いなど、期間中の資金受け取りの制度がある
- 資金計画とあわせて、受注の軸足を選ぶことができる
資金繰り表を経営判断に使いこなすことは、受注拡大と安定経営の両立につながります。
よくある質問
- 資金繰り表はどのくらい先まで作るべきですか?
-
最低でも1年先まで見通せる表を作るのが目安です。年度をまたぐ工事がある場合は、翌年度の数か月分まで作っておくと、年度末の資金不足を事前に把握できます。
- エクセルが得意でなくても作れますか?
-
SUM関数など基本的な関数だけで作れるため、エクセルに詳しくなくても問題ありません。入金と支払いの金額を月ごとに書き込むこと自体が、資金繰り管理の中心です。
- 資金繰り表と損益計算書は何が違うのですか?
-
損益計算書は過去の一定期間の収益と費用を記録するのに対し、資金繰り表は将来の入金と支払いを予測します。利益が出ていても現金が不足する時期はあり得るため、両方を併用することが大切です。
- 資金不足が予想されたらどうすればよいですか?
-
支払い時期の調整や、金融機関への融資相談を早めに検討します。複数の金融機関と日頃から関係を築いておくと、いざというときの選択肢が広がります。
まとめ
資金繰り表は、入金と支払いを月単位で予測し、手元資金の推移を管理する表です。エクセルの基本的な関数だけで自作でき、工事ごとの入金予定と支払い予定を月別の表に割り当てていきます。
運用のポイントは、毎月の更新と予測との差の確認です。残高が目安を下回る時期を事前に把握できれば、融資や支払い調整の準備ができます。
資金繰り表を経営判断に使いこなすことが、受注拡大と安定経営の両立につながります。受注機会の検討とあわせて、資金計画の仕組みを整えてみてください。
- 資金繰り表は前月繰越+入金−支払い=月末残高で構成する
- 入金・支払いの項目を洗い出し、月別の表に割り当てる
- 毎月の更新と予測との差の確認が運用の中心になる
- 資金計画を根拠に、受注判断と資金調達を進める
より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。
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