作業員名簿の書き方と記入例|全建統一様式の記入項目を解説


作業員名簿は、建設工事に従事する人の氏名や職種、社会保険の加入状況などを記載し、元請へ提出する書類です。令和2年の省令改正により、施工体制台帳の一部として作成することとされました。
この記事では、作業員名簿の位置づけ、様式の選び方、欄ごとの書き方と記入時の注意点を、2026年10月執筆時点で確認できた国土交通省の資料と自治体の記載例をもとに整理します。あわせて、公共工事の現場運営との関わりにも触れます。
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- 作業員名簿は施工体制台帳の一部で、法令は記載事項を定めているが、特定の様式は指定していない
- 様式は国土交通省の作成例、全建統一様式、発注者や元請の指定様式があり、実際には提出先の指定に従う
- 社会保険の欄は名称と被保険者番号の下4けたで書くなど、欄ごとの記入ルールが山口県の記載例で確認できる
- 建設キャリアアップシステム未登録の場合のID欄の扱いや、各社別に作成する原則など、記入時の注意点がある
作業員名簿とは?施工体制台帳との関係
作業員名簿は、現場で働く人を元請が把握するための書類です。まず、法令上の位置づけと、様式に含まれる本人同意の文言を確認します。
令和2年の省令改正で施工体制台帳の一部になった
国土交通省の通知「施工体制台帳の作成等について」は、令和2年国土交通省令第69号により、いわゆる「作業員名簿」を施工体制台帳の一部として作成することとされた、と説明しています。法令上の根拠は、建設業法施行規則第14条の2に定める「建設工事に従事する者に関する事項」です。
条文に「作業員名簿」という名称はなく、記載すべき事項が定められているだけです。書類の見た目を決める様式は、法令では指定されていません。
様式には本人同意の文言が含まれている
国土交通省通知の様式例には、記載した内容を安全衛生管理や労働災害発生時の緊急連絡・対応のために元請へ示すことについて、記載者本人が同意している旨の文言があります。山口県の記載例にも、同じ趣旨の文言があります。
作業員名簿は、個人の情報を元請へ示す書類です。作業員に書類の目的を伝えたうえで、記入してもらう流れになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法令上の根拠 | 建設業法施行規則第14条の2第1項(建設工事に従事する者に関する事項) |
| 位置づけ | 施工体制台帳の一部(令和2年国土交通省令第69号による改正) |
| 提出先 | 元請(様式の同意文言は「元請負業者に提示する」としている) |
| 様式 | 法令の指定はない。国土交通省が作成例を公開している |
作業員名簿の様式は何を使うのか?
作業員名簿の様式には、国土交通省の作成例、全建統一様式、発注者や元請が指定する様式があります。どれを使うかは、提出先の指定で決まります。
国土交通省は作成例を公開している
国土交通省の「施工体制台帳、施工体系図等」のページには、作業員名簿のほか、施工体制台帳と再下請負通知書の作成例、チェックリストが掲載されています。作成例は、令和2年10月1日以降に契約する建設工事で使用するものとされ、令和6年8月1日に外国人建設就労者受入事業の終了に合わせて変更されています。
同ページには、法令上記載しなければならない事項が網羅されていれば、作成例以外の様式を利用することも可能と注記されています。
全建統一様式は業界で使われてきた様式
建設業法は施工体制台帳などの記載事項を定めていますが、様式までは定めていません。そのため業界では、一般社団法人全国建設業協会(全建)が整えた「全建統一様式」が使われてきたとされています。
全建統一様式の作業員名簿について、様式番号や記入欄、最新の版は、本記事では公的な資料で確認できていません。元請から全建統一様式の指定を受けた場合は、指定された版の様式に従って記入してください。
発注者や元請が様式を指定することがある
自治体などの発注者は、独自の様式や記載例を公表していることがあります。山口県は、令和3年12月に施工体制に関する様式等を一部変更し、令和4年1月1日から適用しました。
| 様式の種類 | 位置づけ |
|---|---|
| 国土交通省の作成例 | 国が公開している作成例。法令上の記載事項を網羅すれば他の様式も使える |
| 全建統一様式 | 業界で使われてきた様式。法令上の使用義務はない |
| 発注者の指定様式 | 自治体などが工事ごとの提出書類として指定する様式や記載例 |
| 元請の指定様式 | 元請が現場の提出書類として指定する様式 |
作業員名簿の書き方は?欄ごとの記入ルール
ここでは、国土交通省通知の様式例と、山口県の記載例(令和3年12月付け)で確認できた記入ルールを整理します。山口県の記載例は同県の様式に関するもので、ほかの発注者では扱いが異なる場合があります。
氏名・生年月日・職種などの基本欄
国土交通省通知の様式例には、氏名(フリガナ)、技能者ID、職種、生年月日と年齢などの基本欄があります。法令の記載事項(氏名、生年月日および年齢、職種など)に加えて、次のような欄も設けられています。
- 雇入年月日と経験年数
- 現住所と家族連絡先
- 最近の健康診断日と特殊健康診断日
- 技能レベルと在留資格
- 入場年月日と受入教育実施年月日
これらの欄は様式例に見られる項目で、すべてを法令が求めているわけではありません。通知の様式例は令和4年12月に最終改正された通知に付いていたものです。令和6年8月1日に変更された作成例とは異なる可能性があるため、最新の作成例は国土交通省のページで確認してください。
社会保険の欄は名称と番号の下4けたで書く
山口県の記載例では、社会保険の欄に番号をすべて書くのではなく、制度の名称を書くことが基本です。保険者番号や基礎年金番号は記載しないとされています。
| 欄 | 書き方 | 特例の書き方 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 名称を書く(健康保険組合、協会けんぽ、建設国保、国民健康保険)。保険者番号と記号・番号は書かない | 後期高齢者などで国民健康保険の適用除外の場合は「適用除外」 |
| 年金保険 | 名称を書く(厚生年金、国民年金)。基礎年金番号は書かない | 各年金の受給者は「受給者」 |
| 雇用保険 | 左欄に「雇用保険」、右欄に被保険者番号の下4けたを書く | 日雇労働被保険者は「日雇保険」、事業主などで適用除外の場合は「適用除外」 |
退職金共済・教育・資格の欄の書き方
退職金共済の欄は、建設業退職金共済制度と中小企業退職金共済制度のそれぞれについて、加入の有無を「有」または「無」で書きます。法令上も、中小企業退職金共済法の被共済者であるか否かの別が記載事項に含まれています。
教育と資格は、山口県の記載例では次のように書き分けます。資格・免許等の写しの添付も求められています。
- 安全衛生に関する教育の内容(雇入時教育、職長教育、建設用リフトの運転の業務に係る特別教育など)は、教育の欄に書く
- 建設工事に係る知識および技術または技能に関する資格(登録基幹技能者、施工管理技士など)は、免許の欄に書く
- 資格に関する事項は、従事者が希望しない場合は記載しない
建設キャリアアップシステムのIDは未登録なら空欄
様式例には、事業者ID、現場ID、技能者IDの欄があります。山口県の記載例では、建設キャリアアップシステムに登録していない場合は、これらの欄を「空欄(記載不要)」とすると明記されています。
登録していない場合の扱いは、発注者によって異なる可能性があります。提出先の記載例や指示を確認してください。
作業員名簿の記入で押さえておきたい注意点
欄の書き方のほかに、作成の単位、添付書類、様式の版についても、提出前に確認しておく点があります。
作業員名簿は各社別に作成するのが原則
山口県の記載例では、作業員名簿は各社別に作成するのが原則とされています。リース機械等の運転者は、一緒に記載してもよいとされています。
複数の下請が入る現場では、会社ごとに名簿が作成され、元請がそれを取りまとめることになります。
別紙の利用や資格の写しの添付は提出先の指定による
山口県の記載例では、記載事項の一部を別紙に書いてもよいとされています。また、作成例の様式は、必要に応じて加工して使用してよいとされています。
資格・免許等の写しの添付も求められています。どの範囲を別紙や添付にするかは、発注者や元請の指示に従ってください。
- 指定された様式とその版(作成例の変更や自治体の改定に注意)
- 社会保険の欄の書き方(番号の桁数、適用除外の場合の記載)
- 建設キャリアアップシステムのIDが未登録の場合の扱い
- 資格の写しの添付や別紙の利用の可否
上の4点は、提出前に発注者や元請へ確認しておきたい項目です。
記載事項の変更は遅滞なく反映する
施行規則第14条の5第4項は、施工体制台帳の記載事項に変更があったときは、遅滞なく、変更があった年月日を付記して変更後の事項を記載するよう求めています。作業員の入れ替わりや保険の加入状況の変更があれば、名簿にも反映します。
作業員名簿の整備は公共工事の現場運営にどうつながるのか?
作業員名簿は施工体制台帳の一部です。公共工事では、発注者から直接請け負った工事について下請契約を締結したときは、下請金額にかかわらず、施工体制台帳の作成が必要になります。
- 元請の立場では、各社の作業員名簿を取りまとめ、施工体制台帳に反映する
- 下請の立場では、元請の指定に沿って、自社の作業員名簿を作成して提出する
- 公共工事では、施工体制台帳の写しの発注者への提出が求められる
作業員名簿の書き方を押さえておくことは、公共工事の現場で求められる書類の流れをイメージする助けになります。
公共工事は大手や実績のある会社のもの、と受け止められることがあります。ただ、入札参加の要件は制度として明確に定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる仕組みです。
公共工事への参入に向けた全体像は、下記で詳しく確認できます。
よくある質問
- 作業員名簿のテンプレートはどこで入手できるのか?
-
国土交通省の「施工体制台帳、施工体系図等」のページに、作業員名簿の作成例が掲載されています。発注者や元請が様式を指定している場合は、そちらを使います。
- 建設キャリアアップシステムに登録していない場合、技能者IDの欄はどう書くのか?
-
山口県の記載例では、事業者ID、現場ID、技能者IDは、未登録の場合は「空欄(記載不要)」とされています。国や他の発注者の扱いは本記事では確認できていないため、提出先の指示に従ってください。
- 一人親方は作業員名簿にどう記入するのか?
-
山口県の記載例には、一人親方や日雇労働者などの場合の記入例が追加されています。一人親方の場合、元請は下請に再下請負通知書と請負契約書の提出を求める旨が記載例に示されています。
事業主が労働者として現場に入る場合の雇用保険の扱いは、記載例でも、最寄りのハローワークへの確認が案内されています。
まとめ
作業員名簿は、令和2年の省令改正により施工体制台帳の一部として作成することとされた書類です。法令は記載事項を定めていますが、特定の様式は指定しておらず、国土交通省の作成例、全建統一様式、発注者や元請の指定様式のうち、提出先が指定するものを使います。
山口県の記載例では、社会保険の欄は名称と被保険者番号の下4けたで書き、建設キャリアアップシステム未登録の場合のID欄は空欄とされています。作成は各社別が原則で、変更があれば遅滞なく反映します。
本記事の内容は2026年10月執筆時点の情報のため、実際の記入にあたっては、発注者や元請が指定する最新の様式と記載例を確認してください。
- 作業員名簿は施工体制台帳の一部で、様式は法令では指定されていない
- 様式は提出先の指定に従い、版や自治体の記載例の違いを確認する
- 社会保険の欄は名称と番号の下4けたなど、提出先の記載例のルールに沿って書く
- 公共工事では下請契約を結べば施工体制台帳の作成が必要になるため、名簿の流れを把握しておく
より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。
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