建設業の人手不足の解決策まとめ!企業が今すぐ取り組むべき対策

監修情報

水嶋 拓

フロンティアマーケティング株式会社代表取締役。2009年から公共工事コンサルタントとして活動し、450社以上の中小建設会社の経営を支援。2017年に同社を設立し、現在は公共工事研究会も主宰している。著書に『日本一ハードルの低い公共工事の始め方』。

建設業の人手不足は、採用の苦労という形で日々実感される一方、どこから手をつければよいのか分からないという経営者の方も多いのではないでしょうか。就業者の減少と高齢化が進む中で、職人を増やすことだけが答えではありません。

この記事では、建設業の人手不足の解決策を、採用・定着の強化、生産性の向上、働き方の見直しという3つの柱に分けて整理します。今すぐ取り組める対策から順に解説します。

2024年問題、人手不足、資金繰り…建設業界が直面する課題は山積みです。こうした環境だからこそ、経営の安定化には新たな収入源の確保が重要。この動画では、民間工事とは異なる公共工事という選択肢の実務的なポイントをおさえています。動画で基礎を理解した上で、記事の詳しい解説をご覧ください。

この記事で分かること
  • 採用・定着を強化する施策(処遇改善・CCUS・社会保険加入)
  • ICT活用による生産性向上と省人化の進め方
  • 週休2日や時間外労働の上限規制への対応
  • 職人以外の働き手を活用する発想の転換
目次

人手不足対策はどのような順番で進めるべきか?

人手不足の解決策は、大きく3つの柱に分けられます。人を増やす、一人当たりの仕事量を減らす、仕事の取り方を変えるという視点です。

  • 採用・定着の強化(処遇改善、働く環境の整備)
  • 生産性の向上(ICT・DX活用による省人化)
  • 働き方の見直し(週休2日、時間外労働の削減)

いずれも単独で効果が出るものではなく、組み合わせて進めることが重要です。まずは、比較的着手しやすい取り組みから順に解説します。

採用・定着を強化する対策

人手不足の解消には、まず人を集め、辞めさせない仕組みが必要です。処遇や働く環境の見直しが採用・定着の土台になります。

処遇改善と建設キャリアアップシステムの活用

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の資格や就業履歴を業界横断的に登録・蓄積する仕組みです(国土交通省)。技能や経験にふさわしい処遇を実現するための能力評価制度として、賃金の透明化にもつながります。

処遇改善の土台となるのが社会保険への加入です。社会保険未加入の建設企業には建設業の許可・更新を認めない仕組みが構築されており、加入は法令対応であると同時に、安心して働ける会社というアピール材料になります。

  • CCUSによる技能者の資格・就業履歴の登録と能力評価
  • 社会保険への加入(未加入は許可・更新に影響)
  • 賃金・手当の見直しによる他業種との条件差の縮小

女性やパートなど多様な働き手の活用

採用対象を職人に限定すると、採用市場はどうしても狭くなります。事務作業や現場管理の補助など、職種を切り分けて担い手を広げることで、人手不足への対応余地は大きく広がります。

建設業で成長している会社は女性が多いですね。女性というのはどういうことかというと、パートの方が多かったりします。人件費はものすごく安いですし、人材もたくさんいます。不足していません。募集をかければすぐに応募が来ます。

パートや在宅ワーカーは、時給制の仕事として設計すれば働き手のすそ野が広がります。子育て中の女性やシニア層など、フルタイム職人を前提としない採用を検討する価値があります。

生産性を高める省人化対策

限られた人員で仕事を回すには、一人当たりの生産性を高めることが欠かせません。国は建設現場のICT活用を後押しする制度を整えています。

ICT・DX活用による業務の効率化

国土交通省は「i-Construction」の取り組みとして、測量・設計・施工・管理の各工程でICTを活用した自動化・省人化を推進しています。改正建設業法・入契法でも、効率的な現場管理のためのICT活用が努力義務として位置づけられました。

現場のICT施工だけでなく、工事書類の作成・提出の電子化や、見積り・入札業務のデジタル化も省人化の対象です。小規模な会社ほど、事務作業の効率化が人員不足の緩和に直結します。

  • 測量・設計・施工・管理へのICT活用による省人化
  • 工事書類作成の電子化・効率化
  • 事務業務の外部化(業務請負・在宅ワーカー)

事務業務は職人でなくても回せる仕組みづくり

入札や見積り、書類作成といった事務業務は、必ずしも建設の現場経験者でなくても担当できます。業務を切り出して外部の力を活用する方法も、人手不足への現実的な対応です。

人手不足が指摘される中で、在宅ワーカーでも入札段階まで対応可能な仕組みを構築しており、この点が組織構築としての大きな力になると考えています。

在宅ワーカーに任せられる業務を切り出せれば、常勤の人員を増やさずに入札数を維持することができます。対応できる業務の範囲を整理し、標準化することが成功のポイントです。

働き方そのものを見直す対策

人を増やし効率を上げても、働き方の実態が変わらなければ定着は進みません。2024年4月からは時間外労働の上限規制が建設業に適用され、働き方の見直しは法令上の必須事項になっています。

  • 週休2日を前提にした工期設定と見積もり
  • 上限規制に対応した勤怠管理と工程管理
  • 外国人材の受け入れなど、人材確保の選択肢の拡大

週休2日工事への対応と適正な工期設定

4週8休(週休2日)以上が確保されている建設技術者・建設技能労働者の割合は、公共工事で約3〜4割、民間工事では約1割強にとどまります(国土交通白書)。国土交通省は週休2日工事の対象拡大と、実施に伴う労務費・共通仮設費等の補正を積算基準に反映する取り組みを進めています。

休日を確保した工事は、その分の費用が積算に反映されるため、受注者側も週休2日を前提にした見積りがしやすくなっています。工期のダンピングを避け、適正な工期で受注することも、働き手の負担を抑えることにつながります。

外国人材の受け入れという選択肢

国内の労働力だけでは不足する分野を補うため、外国人材を受け入れる制度も整備されています。建設分野は特定技能制度の対象分野の一つであり、在留資格に基づいて技能を有する外国人材を受け入れられます。

技能実習制度に代わる「育成就労」制度の創設も決まっており、受け入れの枠組みは今後も変化します。外国人材の受け入れを検討する場合は、入管関係の法令や受け入れ手続きの最新情報を確認することが大切です。

人手不足時代の受注機会として公共工事を捉える

人手不足への対策を進めても、受注できる工事量が社内の人員に制約される状況は残ります。限られた人員で効率的に受注につなげるには、市場の選び方も重要です。

公共工事は大手や実績のある会社のもの、と受け止められることがあります。ただ、入札参加の要件は制度として明確に定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる仕組みです。

  • 週休2日を前提にした制度整備が民間工事より先行している
  • 入札・書類業務を職人以外の働き手で構成できる
  • 要件を満たせば規模にかかわらず参加できる

人手不足への対応と受注機会の確保は、切り離して考える必要はありません。働き方の改善や事務業務の省人化を進める中で、公共工事への参入という選択肢を検討してみてください。

よくある質問

人手不足対策で最も効果が高いのは何ですか?

単独で効果が高い施策はありません。処遇改善による採用・定着の強化と、ICT活用による省人化を組み合わせて進めるのが基本です。まずは自社の状況に合うものから着手し、効果を見ながら広げていくとよいでしょう。

小さな会社でもCCUSに登録できますか?

会社の規模を問わず登録できます。CCUSは技能者の資格・就業履歴を登録する仕組みで、小規模な会社でも活用しやすい制度です。処遇改善の根拠となるデータとしても活用できます。

外国人材の受け入れは自社でもできますか?

特定技能制度などに基づいて受け入れは可能ですが、在留資格の種類や受け入れ条件を満たす必要があります。入管関係の法令は改正が続いているため、最新の情報を確認したうえで検討することが大切です。

事務業務を外に任せても問題ありませんか?

業務を切り出して外部に委ねることは、建設業以外でも一般的な対応です。依頼する業務の範囲や成果物を明確にし、品質を確認できる体制を整えれば、常勤人員を増やさずに業務を回せます。

まとめ

建設業の人手不足への対応は、採用・定着の強化、生産性の向上、働き方の見直しという3つの柱で進めます。処遇改善やCCUSの活用、ICTによる省人化、週休2日への対応など、着手しやすい取り組みから始められます。

職人だけに頼らない発想も重要です。パートや在宅ワーカーなど、業務を切り分けて担い手を広げることで、人手不足の影響を和らげられます。

あわせて、限られた人員で受注につなげられる市場として、公共工事という選択肢も視野に入れてみてください。働き方改革と制度整備が進む公共工事は、人手不足時代の受注機会の一つです。

この記事のまとめ
  • 採用・定着は処遇改善とCCUS・社会保険加入で進める
  • ICT活用と事務業務の効率化で省人化を進める
  • 週休2日と適正工期が働き方改革の中心になる
  • 職人以外の働き手と公共工事を選択肢に加える

より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。

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