建設業許可の29業種一覧!自社の該当業種の判定方法を徹底解説

監修情報

水嶋 拓

フロンティアマーケティング株式会社代表取締役。2009年から公共工事コンサルタントとして活動し、450社以上の中小建設会社の経営を支援。2017年に同社を設立し、現在は公共工事研究会も主宰している。著書に『日本一ハードルの低い公共工事の始め方』。

建設業許可は業種ごとに区分して与えられるため、申請の前に自社が請け負う工事がどの業種に当たるのかを決める必要があります。しかし、実際の工事は複数の作業が組み合わさっており、どの業種で申請すればよいか迷う場面も少なくありません。

この記事では、建設業許可の29業種を一覧で整理したうえで、自社の該当業種を判定する手順、区分を間違えやすい工事の例、一般建設業と特定建設業の違いまでをまとめ、公共工事参入への接続点にも触れます。

公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。

この記事で分かること
  • 建設業許可の29業種は、2つの一式工事と27の専門工事に分かれている
  • 該当業種は、告示の工事内容とガイドラインの例示・区分の考え方を順に照らして判定する
  • 型枠工事やガードレール設置工事など、名称からは想像しにくい区分になっている工事がある
  • 一式工事の許可があっても、附帯工事に該当しない専門工事は別途その業種の許可が必要になる
目次

建設業許可の29業種はどのように区分されているか?

建設業の許可は、建設業法別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに、それぞれ同表の下欄に掲げる建設業に分けて与えられます(法第3条第2項)。まず、29業種の全体像を確認します。

一式工事と専門工事はどのように分かれるか

29業種は、土木一式工事と建築一式工事という2つの一式工事と、27の専門工事に分かれています。一式工事は、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物または建築物を建設する工事であり、元請として工事全体をまとめる立場を想定した区分です。

ガイドラインでは、一式工事について必ずしも2以上の専門工事の組み合わせは要件ではなく、工事の規模や複雑性等からみて個別の専門工事として施工することが困難なものも含まれるとされています。

29業種の一覧はどのようになっているか

建設工事の種類と建設業の種類、および建設業許可事務ガイドラインに示された主な例示は次のとおりです。工事の種類と業種の名称が一部異なる点にも注意が必要です。

建設工事の種類建設業の種類主な工事の例
土木一式工事土木工事業総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事
建築一式工事建築工事業総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事
大工工事大工工事業大工工事、型枠工事、造作工事
左官工事左官工事業左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事
とび・土工・コンクリート工事とび・土工工事業とび工事、足場等仮設工事、くい工事、土工事、コンクリート工事、地盤改良工事、法面保護工事、外構工事
石工事石工事業石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事
屋根工事屋根工事業屋根ふき工事
電気工事電気工事業発電設備工事、送配電線工事、構内電気設備工事、照明設備工事
管工事管工事業冷暖房設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、浄化槽工事、ダクト工事
タイル・れんが・ブロツク工事タイル・れんが・ブロツク工事業タイル張り工事、レンガ積み(張り)工事、築炉工事、サイディング工事
鋼構造物工事鋼構造物工事業鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、屋外広告工事
鉄筋工事鉄筋工事業鉄筋加工組立て工事、鉄筋継手工事
舗装工事舗装工事業アスファルト舗装工事、コンクリート舗装工事、ブロック舗装工事、路盤築造工事
しゆんせつ工事しゆんせつ工事業しゆんせつ工事
板金工事板金工事業板金加工取付け工事、建築板金工事
ガラス工事ガラス工事業ガラス加工取付け工事、ガラスフィルム工事
塗装工事塗装工事業塗装工事、溶射工事、ライニング工事、鋼構造物塗装工事、路面標示工事
防水工事防水工事業アスファルト防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事
内装仕上工事内装仕上工事業インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、床仕上工事、たたみ工事、家具工事
機械器具設置工事機械器具設置工事業プラント設備工事、運搬機器設置工事、給排気機器設置工事、立体駐車設備工事
熱絶縁工事熱絶縁工事業冷暖房設備や動力設備等の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事
電気通信工事電気通信工事業有線・無線電気通信設備工事、データ通信設備工事、情報処理設備工事
造園工事造園工事業植栽工事、公園設備工事、園路工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事
さく井工事さく井工事業さく井工事、観測井工事、温泉掘削工事、揚水設備工事
建具工事建具工事業金属製建具取付け工事、サッシ取付け工事、シャッター取付け工事、木製建具取付け工事
水道施設工事水道施設工事業取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事、下水処理設備工事
消防施設工事消防施設工事業屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、火災報知設備工事
清掃施設工事清掃施設工事業ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事
解体工事解体工事業工作物解体工事

解体工事業はいつ追加された業種か

解体工事業は、平成26年の建設業法改正により業種区分が見直され、平成28年6月1日に施行されて追加された業種です。それまでは、とび・土工・コンクリート工事の一部として扱われていました。

この経緯から、平成28年5月31日までにとび・土工工事業の許可を受けて請け負った解体工事の実務経験については、平成28年6月1日以降、とび・土工工事業と解体工事業の双方の実務経験として二重に計算できる取扱いが設けられています。

自社が該当する業種はどのように判定すればよいか?

業種の判定は、感覚や社内での呼び方ではなく、公表されている資料を順に照らし合わせて行います。判断の材料は3つあり、それぞれ役割が異なります。

判定はどのような手順で進めるか

まず告示に定められた建設工事の内容に当てはまるかを確認し、次にガイドラインの例示、さらに区分の考え方の順に確認していく流れが基本になります。

  • 昭和47年建設省告示第350号に定められた「建設工事の内容」に、自社の工事が当てはまるかを確認する
  • 建設業許可事務ガイドラインの別表に示された「建設工事の例示」に、同じ工事名があるかを確認する
  • ガイドラインの「許可業種区分の考え方」に、類似する工事との区分についての記載がないかを確認する
  • 判断がつかない場合は、契約の範囲と工事内容を整理したうえで許可行政庁に確認する

ガイドラインには、建設工事の内容および例示は現実の施工の実態を前提に整理・分類したものであり、各工事の内容はそれぞれ他の工事の内容と重複する場合があることに留意するよう示されています。1つの工事が必ず1つの業種にきれいに収まるとは限らない点を前提にしておくと判断しやすくなります。

区分を間違えやすい工事にはどのようなものがあるか

ガイドラインの区分の考え方には、名称からは想像しにくい区分が示されています。実務で迷いやすい例を整理すると次のとおりです。

工事の内容該当する業種
型枠工事大工工事業(大工工事の例示に含まれる)
舗装と併せて施工するガードレール設置工事とび・土工工事業
トンネル防水工事等の土木系の防水工事とび・土工工事業
防水モルタルを用いた防水工事左官工事業と防水工事業のいずれでも施工可能
板金による屋根ふき工事屋根工事業(板金工事業ではない)
建築物の中に設置する通常の空調機器の設置工事管工事業
トンネル・地下道等の給排気用に設置する機械器具の工事機械器具設置工事業
ビルの外壁に固定された避難階段の設置工事建築工事業または鋼構造物工事業(消防施設工事業ではない)

一式工事の許可があれば専門工事も請け負えるのか?

業種を検討する際に多いのが、一式工事の許可を取れば専門工事も含めて幅広く請け負えるという受け止め方です。この点には制度上の制約があります。

附帯工事はどこまで認められるか

建設業法第4条では、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合、その工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができると定められています。これが附帯工事の例外です。

逆に言えば、附帯工事に該当しない独立した専門工事を軽微な工事の範囲を超えて請け負う場合は、その専門工事業の許可が別途必要になります。

許可がなくても請け負える工事の範囲はどこまでか

建設業許可が不要な軽微な建設工事は、工事1件の請負代金の額が500万円に満たない工事とされています(建設業法施行令第1条の2)。建築一式工事の場合は1,500万円に満たない工事、または延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事です。

  • 許可を受けた工事に附帯する他業種の工事は、その業種の許可がなくても請け負える
  • 建築一式工事以外の工事は、請負代金500万円未満であれば軽微な建設工事として許可が不要である
  • 建築一式工事は、請負代金1,500万円未満または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事が軽微な建設工事にあたる
  • 請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を2以上の契約に分割して請け負うときは合計額で判断する

業種を決めるときに併せて確認しておきたい区分は何か?

業種が決まったら、次に確認するのが許可の区分です。同じ業種でも、一般建設業と特定建設業では要件が異なります。

一般建設業と特定建設業はどこで分かれるか

発注者から直接請け負った1件の工事について、下請代金の総額が5,000万円以上となる下請契約を締結する場合は特定建設業の許可が必要です。建築一式工事の場合は8,000万円以上が基準になります(建設業法施行令第2条)。

特定建設業では財産的基礎の要件も厳しくなり、欠損の額が資本金の20%を超えていないこと、流動比率が75%以上であること、資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上であることをすべて満たす必要があります。

指定建設業に該当する業種はどれか

29業種のうち7業種は、施工技術の総合性、施工技術の普及状況その他の事情を考慮して政令で定める指定建設業とされています。指定建設業について特定建設業の許可を受ける場合、営業所ごとに置く特定営業所技術者は国土交通大臣が定める試験の合格者等または大臣認定者に限られ、指導監督的実務経験による代替が認められません。

  • 土木工事業・建築工事業
  • 電気工事業・管工事業
  • 鋼構造物工事業・舗装工事業
  • 造園工事業

該当業種の判定は公共工事参入にどうつながるか?

業種の判定は申請書類を整えるためだけの作業ではありません。公共工事の入札参加資格審査では、希望する工事の種類を登録する仕組みが一般的であり、どの業種で許可を持っているかが参加できる案件の範囲に関わってきます。

建設業許可を取得した後は、経営状況や技術力を点数化する経営事項審査を受け、発注機関の入札参加資格審査を経て名簿に登載されるという流れになります。この一連の手続きにかかる期間の目安については、次のような見方もあります。

年末から翌年5月ごろで、おそらく経審が出せるという流れです。スピード感としては、やはり自分で対応すればそのくらいで建設業許可から経審まで到達できます。あの方は3月スタートの会社ですが、きちんと5月ごろには経審が出るようにスケジュールを整えているわけです。

標準処理期間は申請先の都道府県や地方整備局によって異なるため、具体的な日数は各窓口の手引きで確認する必要があります。公共工事は大手や実績のある会社のもの、と受け止められることがありますが、入札参加の要件は制度として明確に定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる仕組みです。

  • 入札参加資格は工種単位で登録するため、取得している業種が参加できる案件の範囲につながる
  • 許可取得後は、経営事項審査と入札参加資格審査を経て名簿に登載される流れになる
  • 標準処理期間は申請先の都道府県や地方整備局によって異なる
  • 入札参加の要件は制度として定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる

よくある質問

建設業許可は複数の業種を同時に取得できますか?

取得できます。許可は業種ごとに区分して与えられるため、複数の業種について要件を満たしていれば同時に申請することも、後から業種を追加することも可能です。ただし業種ごとに営業所技術者等の要件を満たす必要があります。

請け負う工事が複数の業種にまたがる場合はどうすればよいですか?

主たる工事と附帯工事の関係にあるかどうかで判断が変わります。附帯工事に該当しない専門工事を軽微な工事の範囲を超えて請け負う場合は、その業種の許可が別途必要です。契約の分け方によっても判断が変わるため、許可行政庁への確認をおすすめします。

業種の判断を誤って許可を取得した場合、どうなりますか?

許可を受けていない業種の工事を軽微な建設工事の範囲を超えて請け負うと、無許可営業として建設業法違反になります。実際に請け負っている工事の内容と許可業種が一致しているかを確認し、必要に応じて業種追加の申請を検討することになります。

建設業の業種は今後も増える可能性がありますか?

業種区分は建設業法別表第一に定められており、改正によって見直される可能性はあります。直近では平成28年6月1日に解体工事業が追加され、28業種から29業種になりました。最新の区分は国土交通省の公表資料で確認することをおすすめします。

まとめ

建設業許可の29業種は、土木一式工事と建築一式工事という2つの一式工事と、27の専門工事に分かれています。許可は建設業法別表第一に掲げる建設工事の種類ごとに区分して与えられるため、まず自社の工事がどの区分に当たるかを決める必要があります。

判定は、告示に定められた建設工事の内容、ガイドラインの例示、区分の考え方の順に確認する流れが基本です。型枠工事が大工工事に、ガードレール設置工事がとび・土工・コンクリート工事に区分されるなど、名称からは想像しにくい整理もあるため、思い込みで判断しないことが大切です。

一式工事の許可があっても、附帯工事に該当しない専門工事は別途その業種の許可が必要になります。取得している業種は公共工事の入札参加資格の範囲にも直結するため、事業の方向性を踏まえて業種を選ぶことが参入後の受注機会につながります。

この記事のまとめ
  • 29業種は2つの一式工事と27の専門工事に分かれ、許可は業種ごとに区分して与えられる
  • 該当業種は告示の工事内容・ガイドラインの例示・区分の考え方を順に照らして判定する
  • 附帯工事に該当しない専門工事は、軽微な工事の範囲を超えると別途その業種の許可が必要になる
  • 取得している業種は、公共工事の入札参加資格として登録できる工種の範囲につながる

より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。

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