建設業の倒産はなぜ増えている?最新の動向と倒産を防ぐための対策


建設業の倒産は、全産業の中でも件数が多く、増加傾向が続いています。身近に倒産事例を聞く機会が増え、自社の経営に不安を感じている経営者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、建設業の倒産の最新動向をデータで確認し、なぜ増えているのかという理由を整理します。あわせて、黒字なのに資金が回らず倒産する「黒字倒産」の仕組みと、倒産を防ぐための具体的な対策を解説します。
2024年問題、人手不足、資金繰り…建設業界が直面する課題は山積みです。こうした環境だからこそ、経営の安定化には新たな収入源の確保が重要。この動画では、民間工事とは異なる公共工事という選択肢の実務的なポイントをおさえています。動画で基礎を理解した上で、記事の詳しい解説をご覧ください。
- 2025年の建設業の倒産件数と増加の背景
- 資材高騰・人手不足・後継者難という3つの要因
- 売上が伸びても倒産する「黒字倒産」の仕組み
- 資金繰りと受注管理の面から見た倒産防止策
建設業の倒産の最新動向はどうなっているか?
まず、建設業の倒産の件数と推移をデータで確認します。2025年の倒産は、建設業を含む全産業で増加が続いています。
2025年の建設業の倒産は2,021件にのぼる
帝国データバンクの集計によると、2025年の建設業の倒産件数は2,021件でした。前年(1,890件)から6.9%増加し、2013年以来、12年ぶりに年間2,000件を超えています。
2025年の全産業の倒産は1万261件で、建設業はその約2割を占めます。業種別ではサービス業2,648件、小売業2,193件に次ぐ3番目で、上位業種の一角です。
| 項目 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 建設業の倒産件数 | 1,890件 | 2,021件 |
| 全産業の倒産件数 | 9,901件 | 1万261件 |
| 建設業の構成比 | 約19% | 約20% |
2026年に入っても増加の勢いは続いています。木造建築工事業の倒産は2026年1〜7月で159件と、過去10年で最多のペースになっています(帝国データバンク)。
倒産の原因別に見た建設業の特徴
倒産の原因を類型別に見ると、建設業は複数の項目で全業種の中で最多または上位となっています。特徴的な3つの類型を確認します。
- 物価高倒産 240件(全業種で最多)
- 後継者難倒産 120件(全業種で最多)
- 人手不足倒産 113件(全業種で2番目)
資材価格の上昇、後継者の不在、人手不足という3つの要因が、建設業の倒産を押し上げています。それぞれの要因が単独ではなく、重なり合って資金繰りを圧迫している点が特徴です。
建設業の倒産はなぜ増えているのか?
倒産の増加には、コストの上昇と価格転嫁の遅れ、人手不足による工期の長期化、後継者不在という構造的な要因があります。それぞれの実態を確認します。
| 要因 | 倒産につながる経路 |
|---|---|
| 資材価格・人件費の上昇 | コスト上昇が価格転嫁に追いつかず、利益率が低下する |
| 人手不足 | 工期が延びてコストが増え、資金繰りが悪化する |
| 後継者不在 | 事業の継続が断念され、後継者難倒産に至る |
資材高騰と人件費上昇が利益を圧迫している
鋼材や木材などの資材価格と人件費の上昇が続く一方、請負単価への転嫁が追いついていない現状があります。コストの上昇を価格に反映できなければ、増収でも利益が圧迫されます。
特に木造建築工事では、建築基準法の改正による確認申請の厳格化で工期が延び、資金繰りが悪化するケースも報告されています。コスト上昇と工期延長が同時に発生しやすい構造です。
民間工事の代金回収リスクが倒産につながる
民間工事では、発注者の経営状況によって代金が回収できなくなるリスクがあります。契約先の資金繰り悪化や計画的な倒産により、請負代金が未回収になる「取りっぱぐれ」が生じる事例も存在します。

建設業において取りっぱぐれは最悪の問題です。ほぼ倒産と同義だと考えます。
黒字であっても、代金が回収できない状態は会社を倒産させる原因になります。発注者の与信確認や契約条件の確認が、受注判断の重要な要素です。
黒字なのに倒産する「黒字倒産」の仕組み
建設業の倒産の特徴は、赤字ではなく黒字の状態で資金が回らなくなる「黒字倒産」が多いことです。売上の拡大が、かえって資金繰りを悪化させる仕組みを確認します。
- 材料・外注・下請への支払いが入金より先行する
- 受注が増えるほど、運転資金の必要額が膨らむ
- 売上拡大と資金計画のバランスが崩れると資金ショートする
売上が伸びるほど資金は不足する
工事は、下請けや材料への支払いが先行し、元請けからの入金が後になる構造です。受注が増えるほど、支払いに必要な運転資金が膨らみます。



1億円規模の会社が、資金の手当てをしないまま5億円の受注を獲得するということは、倒産のリスクを極めて大きく高めているということでもあります。
受注の拡大は、同時に資金負担の拡大を意味します。売上規模に合わない受注の急拡大は、手元資金の不足を招くリスクがあると理解しておく必要があります。
支払いのタイミングを制御できるかが分かれ目になる
下請けへの支払いと元請けからの入金のタイムラグは、建設業の資金繰りの宿命的な課題です。黒字でも支払いのタイミングを制御できなければ、資金ショートに陥ります。
倒産を防ぐための具体的な対策
倒産を防ぐためには、利益の管理と資金の管理を分けて考えることが重要です。売上の拡大と並行して、手元資金の状況を把握する仕組みが必要になります。
- 資金繰り表を作成し、入金と支払いの時期を把握する
- 受注前に発注者の信用状況と契約条件を確認する
- 採算を無視した実績目的の受注をしない
- 金融機関との関係を構築し、必要な時期に融資を受けられる体制を整える
支払いのタイミングも、管理の対象です。入金の見込みと整合しない先行支払いは、倒産リスクを自ら高めているという認識を持つことが大切です。
支払いの先後は利益の問題ではなく、資金繰りの問題です。入金と整合しない支払いをしないという管理が、倒産を防ぐ実務の基本になります。
ただし、これは下請けへの支払いを遅らせてよいという意味ではありません。下請代金は、建設業法第24条の3により、注文者から支払いを受けた日から1月以内に支払う必要があります。契約の段階で、入金時期と支払時期を合わせておくことが前提です。
売上拡大のタイミングは、借入の増加が必要になるタイミングでもあります。既存借入の返済と工事資金の支出が重なる場合は、返済額に見合う資金の手当てを計画に組み込むことが大切です。
代金回収が確実な市場で経営を安定させる
倒産防止の観点から見ると、受注する市場の選び方も重要です。代金回収の仕組みが整った市場ほど、資金繰りの安定につながります。
公共工事は大手や実績のある会社のもの、と受け止められることがあります。ただ、入札参加の要件は制度として明確に定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる仕組みです。
- 公共工事は発注者の信用力が高く、代金回収の仕組みが整っている
- 実績作りと利益確保のバランスを計画的に設計できる
- 要件を満たせば規模にかかわらず参加できる
倒産を防ぐ経営の土台として、安定した代金回収の仕組みを持つ市場に受注の軸足を置くことを検討してみてください。
よくある質問
- 建設業の倒産はなぜ多いのですか?
-
資材価格や人件費の上昇に価格転嫁が追いつかないこと、人手不足による工期延長、後継者の不在といった複数の要因が重なるためです。いずれも資金繰りを圧迫する方向に働くため、件数が多くなっています。
- 黒字なのに倒産するのはなぜですか?
-
利益は帳簿上で発生していても、現金の入金が後になるため、支払いのための手元資金が不足するからです。工事は下請けへの支払いが先行しやすい構造で、受注が増えるほど運転資金が必要になります。
- 倒産を防ぐために最初にすべきことは何ですか?
-
自社の入金と支払いの時期を書き出し、資金繰り表を作成することから始めるのが有効です。現金の動きを可視化することで、資金不足が発生する時期を事前に把握できます。
- 公共工事に切り替えれば倒産リスクは減りますか?
-
公共工事は発注者の信用力が高く、代金回収の仕組みが整っているため、民間工事に比べて回収リスクは低いといえます。ただし、受注量の変動や工期の長さに応じた資金計画は、民間工事と同じように必要です。
まとめ
建設業の倒産は、2025年に2,021件と12年ぶりに2,000件を超え、増加傾向が続いています。資材高騰と価格転嫁の遅れ、人手不足による工期延長、後継者不在という要因が重なり、資金繰りを圧迫しています。
売上が伸びても倒産する「黒字倒産」は、入金と支払いのタイムラグから生じます。受注の拡大と資金負担の拡大をセットで捉え、資金繰り表による管理が欠かせません。
倒産を防ぐ土台は、代金回収の安定です。発注者の信用力が高く、回収の仕組みが整った公共工事という市場も、経営の選択肢の一つとして検討してみてください。
- 2025年の建設業の倒産は2,021件と12年ぶりに2,000件を超えた
- 物価高・後継者難・人手不足が主な倒産要因になっている
- 黒字倒産は入金と支払いのタイムラグから生じる
- 資金繰り表の作成と受注前の与信確認が防止策の第一歩
より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。
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