解体工事業で建設業許可を取るには?必要な要件と技術者資格解説

監修情報

水嶋 拓

フロンティアマーケティング株式会社代表取締役。2009年から公共工事コンサルタントとして活動し、450社以上の中小建設会社の経営を支援。2017年に同社を設立し、現在は公共工事研究会も主宰している。著書に『日本一ハードルの低い公共工事の始め方』。

解体工事業は、建築物や工作物を取り壊す工事を扱う専門工事業種です。平成26年の建設業法改正(平成28年6月1日施行)で独立した業種として新設され、現在は請負金額500万円以上の解体工事を請け負うには解体工事業の許可が必要になっています。

この記事では、解体工事業に該当する工事内容から、とび土工工事業との区分、建設リサイクル法との関係、許可の取得要件、営業所技術者になれる資格までを整理します。許可取得は公共工事という受注機会に参入するための入り口の一つであり、記事の後半ではその接続点にも触れます。

公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。

この記事で分かること
  • 解体工事業は平成28年にとび土工工事業から独立した業種で、工作物の解体を対象とする
  • 一定規模以上の解体工事には建設リサイクル法に基づく届出と分別解体の義務が関わる
  • 営業所技術者は指定学科修了と実務経験、実務経験10年、または国家資格の保有によって要件を満たせる
  • 解体工事業は指定建設業ではないため、特定営業所技術者は指導監督的実務経験でも要件を満たせる
目次

解体工事業とはどのような工事を行う建設業許可なのか?

建設業法では建設工事を29の業種に区分しており、解体工事業は平成28年6月に新設された専門工事業種です。まず、解体工事業の成り立ちと対象工事を確認します。

  • 対象は建築物その他の工作物の解体工事
  • 平成26年の建設業法改正で新設され、平成28年6月1日に施行された
  • 500万円以上の解体工事を請け負うには解体工事業の許可が必要
  • 他の主たる工事に附帯する軽微な解体は、主たる業種の許可で対応できる場合がある

解体工事業はとび土工工事業から独立した業種

平成26年の建設業法改正(平成28年6月1日施行)以前は、工作物の解体工事はとび・土工・コンクリート工事業に含まれていました。しかし法改正により解体工事業が独立業種として新設され、現在は500万円以上の解体工事を請け負う場合、とび土工工事業の許可だけでは対応できず、解体工事業の許可が必要です。

旧とび土工工事業の許可を持つ事業者には経過措置が設けられていましたが、令和3年までに終了しています。現在は解体工事業の営業所技術者の要件を満たすことが、許可取得の前提になります。

解体工事業の対象工事と附帯的な解体の扱い

解体工事業の対象は、建築物その他の工作物の解体工事です。一方、とび工事や土工事など他の主たる工事に附帯する軽微な解体作業は、主たる業種の許可で対応できる場合があります。主たる工事と一体不可分の解体なのか、独立した解体工事なのかが判断の分かれ目になるため、請け負う工事の内容を業種ごとに切り分けて確認しておくことが申請の手戻りを防ぐ助けになります。

建設リサイクル法とはどう関係するのか?

解体工事は、建設業許可に加えて、廃棄物の処理に関する別の法律との関係も確認が必要な業種です。ここでは建設リサイクル法との関係を整理します。

  • 特定建設資材はコンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4種類
  • 解体工事は床面積の合計80平方メートル以上が対象建設工事になる
  • 受注者には分別解体等と再資源化等の義務、発注者への書面交付の義務がある
  • 発注者は工事着手の7日前までに都道府県知事等へ届け出る

特定建設資材の分別解体と再資源化が義務になる

建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)は、建設廃棄物の再資源化を進めるための法律です。対象となるのは、コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートという4つの「特定建設資材」です。

一定規模以上の対象建設工事では、受注者に特定建設資材の分別解体と再資源化が義務付けられます。解体工事は、床面積の合計が80平方メートル以上の場合が対象です。解体工事を請け負う事業者は、分別解体等の方法を記載した書面を発注者に交付する義務も生じます。

発注者には届出義務が生じる

対象建設工事では、発注者が工事着手の7日前までに都道府県知事等への届出を行うことが必要です。届出は発注者の義務ですが、対象かどうかの判断や書類の準備には受注者の協力が欠かせないため、解体工事業者として内容を理解しておくことが実務上重要です。80平方メートル未満の小規模な解体であっても、廃棄物処理法に基づく適正処理の義務は別途適用されます。

解体工事業の建設業許可を取得するにはどの要件を満たす必要があるか?

建設業許可を受けるには、建設業法第7条に定める要件を満たし、第8条の欠格要件に該当しないことが必要です。解体工事業も他の業種と同じ枠組みで、ここでは主要な要件を確認します。

  • 経営業務の管理体制として、常勤役員1名または個人事業主本人が経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すると認められること
  • 各営業所に営業所技術者等を専任で配置すること
  • 財産的基礎として、自己資本500万円以上・500万円以上の資金調達能力・過去5年間の継続営業実績のいずれか1つを満たすこと
  • 請負契約の締結や履行にあたって不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと(誠実性)
  • 法第8条の欠格要件に該当しないこと

経営業務の管理体制と財産的基礎の要件はどうなっているか

経営業務の管理体制については、法人であれば常勤役員1名、個人事業主であれば本人または支配人1名が、建設業に関し5年以上の経営業務管理責任者としての経験を持つこと、またはこれに準ずる地位での経験を持つことのいずれかに該当する必要があります。令和2年の改正により、複数名の体制で要件を満たすパターンも認められています。適正な社会保険への加入も要件の一つです。

財産的基礎の要件は、一般建設業の場合、自己資本500万円以上、500万円以上の資金調達能力、過去5年間の継続営業実績のいずれか1つを満たせば足ります。誠実性の要件は、請負契約の締結や履行において不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないことを求めるもので、法人の役員等にも適用されます。

一般建設業と特定建設業で要件はどう変わるか

下請契約の総額が一定額以上になる場合は、一般建設業ではなく特定建設業の許可が必要になります。解体工事業を含む建築一式工事以外の業種では、発注者から直接請け負った1件の工事について下請契約の総額が5,000万円以上となる場合が特定建設業の対象です(建築一式工事は8,000万円以上・施行令第2条)。

特定建設業では、財産的基礎の要件も一般建設業より厳しく、資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上であることなど複数の基準をすべて満たす必要があります。この金額基準は執筆時点(令和7年2月1日施行の改正後)のものです。

欠格要件に該当するのはどのような場合か

欠格要件には、破産者で復権を得ていない者、許可取消しから5年を経過していない者、暴力団員またはその離脱後5年を経過していない者などが含まれ、役員や使用人がこれに該当する場合は法人・個人事業主とも許可を受けられません。

解体工事業の営業所技術者になれる資格や実務経験にはどのようなものがあるか?

営業所技術者は各営業所に専任で配置する必要があり、資格・実務経験のいずれかで要件を満たします。解体工事業で認められる主なルートを確認します。

各営業所に専任で配置する技術者は、令和6年12月13日施行の改正により「専任技術者」から「営業所技術者等」に呼称が変更されました。一般建設業は営業所技術者、特定建設業は特定営業所技術者と呼ばれますが、要件そのものに変更はありません。

  • 指定学科を修了し、高校卒業後5年以上または大学・高専・短大卒業後3年以上の実務経験を積む
  • 指定学科の修了がない場合は、10年以上の実務経験を積む
  • 国土交通大臣が同等以上と認定した者(国家資格者等を含む)に該当する

指定学科と実務経験で営業所技術者になるにはどうすればよいか

一般建設業の営業所技術者は、指定学科を修了した上で一定年数の実務経験を積む方法で要件を満たせます。解体工事業の指定学科は「土木工学又は建築学に関する学科」で、高校卒業後は5年以上、大学・高専・短大卒業後は3年以上の実務経験が求められます。指定学科の修了がない場合でも、実務経験のみで10年以上積んでいれば要件を満たせます。

なお、解体工事業の実務経験として認められるのは、解体工事に係る経験に限られます。旧とび土工工事業の経験は、解体工事に係る部分のみが解体工事業の経験として扱われるため、経歴の整理には注意が必要です。

国家資格で営業所技術者になるにはどの資格が対象になるか

一定の国家資格を保有していれば、実務経験の年数を積まずに営業所技術者の要件を満たせます。ただし資格によっては、合格後に一定の実務経験が必要です。

解体工事業では、1級・2級土木施工管理技士(土木)、1級・2級建築施工管理技士(躯体)、とび技能士、解体工事施工技士などが対象です。とび技能士2級を保有する場合は、合格後3年以上の解体工事の実務経験が別途必要とされています。

特定建設業では指導監督的実務経験でも要件を満たせる

特定営業所技術者は、国家資格の保有、指導監督的実務経験、または国土交通大臣の特別認定のいずれかで要件を満たします。解体工事業は指定建設業ではないため、指導監督的実務経験のみで要件を満たせる業種です。

具体的には、一般建設業の営業所技術者の要件を満たした上で、請負代金額4,500万円以上の工事(施行令第5条の3)について、元請として2年以上の指導監督的実務経験があることが必要です。

国家資格で要件を満たす場合は、1級土木施工管理技士や1級建設機械施工技士などが対象です。指定建設業ではない業種では、実務経験のルートが特定建設業でも使える点が、電気・管など指定建設業との違いです。

解体工事業の許可を取得した後、公共工事の入札にどう進むか?

建設業許可は取得して終わりではなく、公共工事の入札に参加するには、その後の手続きも関わってきます。許可取得後の流れを確認します。

  • 建設業許可を取得する
  • 決算後に経営事項審査(経審)を受審する
  • 参加したい発注機関の入札参加資格審査を申請し、有資格者名簿に登載される
  • 入札公告を確認し、自社の等級で参加できる案件から入札する

許可取得から経営事項審査までどのような流れで進むか

公共工事の入札に参加するには、建設業許可の取得に加えて、経営状況や技術力を点数化する「経営事項審査」(経審)を受ける必要があります。経審は許可取得後の手続きで、受審後は発注機関ごとの入札参加資格審査を経て、名簿に登載されることで入札に参加できます。

標準処理期間は申請先の都道府県・地方整備局によって異なるため、具体的な日数は各窓口の手引きで確認する必要があります。

自分で手続きを進めた場合の期間の目安には、次のような見方があります。

2ヶ月程度で取得できます。自分で手続きを進めた場合の話ですが。

許可取得前でも参加できる入札はあるか

建設業許可を取得していない、あるいは経審を受けていない段階でも、入札の単価や種別によっては参加できる案件が存在します。請負代金500万円未満の軽微な工事であれば、そもそも許可自体が不要です。

解体工事業の許可は公共工事参入にどうつながるか?

ここまで見てきた解体工事業の許可要件や営業所技術者の資格は、単体で完結する手続きではなく、公共工事という受注機会に参入するための土台という位置づけで捉えることができます。老朽化した公共施設の建替えや除却、インフラの更新に伴う撤去など、公共の分野でも解体工事の需要は継続的に存在しており、許可は公共工事の様々な分野に関わる資格です。

  • 老朽化した公共施設の建替えに伴う除却工事
  • インフラの更新に伴う構造物の撤去工事
  • 災害復旧に伴う倒壊建築物の解体・撤去

公共工事は、大手や実績のある会社だけが対応できるもの、と受け止められることがあります。ただ、入札参加の要件は制度として明確に定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる仕組みです。

よくある質問

解体工事業の許可なしで請け負える工事の金額上限はどのくらいですか?

建築一式工事以外の建設工事は、請負代金500万円未満(消費税込み)であれば建設業許可なしで請け負えます。解体工事業もこの「その他工事」の基準が適用されるため、500万円以上を請け負う場合に許可が必要になります。

とび土工工事業の許可を持っていれば解体工事も請け負えますか?

原則として請け負えません。解体工事は平成26年の法改正(平成28年6月1日施行)でとび土工工事業から独立した業種で、旧許可事業者向けの経過措置も終了しています。500万円以上の解体工事を請け負う場合は解体工事業の許可が必要です。

解体工事に建設リサイクル法の届出は必要ですか?

床面積の合計が80平方メートル以上の解体工事では、発注者が工事着手の7日前までに都道府県知事等へ届出を行う必要があります。80平方メートル未満は届出の対象外ですが、廃棄物処理法に基づく適正処理の義務は適用されます。

特定営業所技術者は実務経験のみでも要件を満たせますか?

満たせます。解体工事業は指定建設業ではないため、一般建設業の営業所技術者の要件を満たした上で、請負代金額4,500万円以上の工事について元請として2年以上の指導監督的実務経験があれば、特定営業所技術者になれます。

「専任技術者」という呼び方は現在も使われていますか?

令和6年12月13日施行の改正により、法令上の名称は「営業所技術者等」に変更されています。一般建設業は営業所技術者、特定建設業は特定営業所技術者と呼ばれますが、これは呼称の変更であり要件自体に変更はありません。

まとめ

解体工事業は、平成28年にとび土工工事業から独立した専門工事業種で、工作物の解体工事を対象とします。500万円以上の解体工事を継続的に受けるには、経営業務の管理体制・営業所技術者・財産的基礎・誠実性の要件を満たした上で許可を取得する必要があります。

解体工事では、許可とは別に、床面積80平方メートル以上の工事で建設リサイクル法の分別解体・再資源化と発注者による届出が関わります。営業所技術者は指定学科修了と実務経験、実務経験のみ10年、または国家資格の保有のいずれかで要件を満たせ、特定建設業では指定建設業ではないため指導監督的実務経験のルートも使えます。

許可取得はそれ自体が目的ではなく、経営事項審査を経て公共工事に参入するための土台です。許可要件の整理と並行して、経審や入札参加までの流れを見据えて準備を進めることが、参入後のスケジュールに影響してきます。

この記事のまとめ
  • 解体工事業は平成28年にとび土工工事業から独立した業種で、工作物の解体を対象とする
  • 床面積80平方メートル以上の解体工事には建設リサイクル法の分別解体・届出が関わる
  • 営業所技術者は指定学科+実務経験、実務経験10年、または国家資格の保有で要件を満たせる
  • 指定建設業ではないため、特定建設業でも指導監督的実務経験のルートで要件を満たせる

より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。

あわせて読みたい

目次