建設業許可を行政書士に依頼する費用相場は?報酬の目安を大公開


建設業許可を取得する際、行政書士に依頼するとどれくらいの費用がかかるのか気になる経営者は多いのではないでしょうか。建設業許可の費用は、法律で金額が定められた法定手数料と、行政書士に支払う報酬という、性質の異なる2つの要素で構成されています。
本記事では、この2つを分けて整理したうえで、金額を左右する要因を解説します。制度の内容や統計データは今後改定される可能性があるため、執筆時点の情報である点にご留意ください。
公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。
- 建設業許可の新規申請手数料は知事許可9万円、大臣許可は登録免許税15万円である
- 行政書士報酬に公定価格はなく、日本行政書士会連合会の統計では建設業許可申請(法人・新規・知事許可)の平均額は151,341円である
- 費用は許可権者・申請区分・専任技術者の要件証明の難易度によって変動する
- 経営事項審査に関連する手続きの費用は、建設業許可とは別体系で発生する
建設業許可の法定手数料はいくらかかるのか?
建設業許可の法定手数料は、国や都道府県が金額を定めている費用であり、誰が申請しても同じ金額になります。行政書士に依頼するかどうかにかかわらず発生する費用として、まず全体像を押さえておきます。
法定手数料は許可を管轄する行政庁に納める費用であり、行政書士報酬のように事務所ごとに金額が変わることはありません。この点は、建設業許可の費用を考えるうえでの土台になります。
新規申請の法定手数料は許可権者によって異なる
建設業許可の新規申請にかかる法定手数料は、1つの都道府県内のみに営業所を設ける知事許可と、2つ以上の都道府県に営業所を設ける大臣許可とで金額が異なります。
知事許可の新規申請手数料は9万円です。この金額は収入証紙や現金など、都道府県ごとに定められた方法で納付します。
大臣許可の新規申請には登録免許税15万円が必要
大臣許可の新規申請では、都道府県窓口へ支払う「手数料」ではなく、登録免許税として15万円を納付します。日本銀行や郵便局など金融機関を経由して所管の税務署に納め、その領収証書を申請書に添付して提出する仕組みです。
更新申請の手数料は5万円である
建設業許可は5年ごとに更新が必要です。更新申請の手数料は、知事許可・大臣許可のいずれも5万円で共通しています。
業種追加の手数料も5万円が基本になる
取得済みの許可区分(一般または特定)の範囲内で建設業の業種を追加する場合の手数料も、知事許可・大臣許可のいずれも5万円です。
般特同時申請では手数料が2倍になる
一般建設業許可と特定建設業許可を同時に申請する場合(般特同時)は、手数料が単独申請の2倍になります。新規申請では知事許可18万円・大臣許可30万円、業種追加では知事許可・大臣許可とも10万円です。
般特同時申請は該当する会社が限られますが、複数の業種で特定建設業許可が必要になる見込みがある場合は、あらかじめ費用感を把握しておくと資金計画が立てやすくなります。この点は法定手数料の一覧として、次の表で整理しておきます。
| 区分 | 知事許可 | 大臣許可 |
|---|---|---|
| 新規(単独) | 9万円 | 15万円(登録免許税) |
| 更新 | 5万円 | 5万円 |
| 業種追加(単独) | 5万円 | 5万円 |
| 新規(般特同時) | 18万円 | 30万円 |
| 業種追加(般特同時) | 10万円 | 10万円 |
行政書士に依頼する場合の報酬額はどう決まるのか?
法定手数料とは別に、行政書士に依頼する場合はその事務所に支払う報酬が発生します。この報酬は法定手数料と異なり、全国一律の基準があるわけではありません。
依頼する事務所によって金額が変わるからこそ、何を基準に金額感を把握すればよいのかが分かりにくい部分でもあります。ここでは、公的に確認できる統計データをもとに整理します。
行政書士報酬には公定価格がない
行政書士の報酬額について、公定の基準(料金表)は存在しません。行政書士法第10条の2第1項により、行政書士は自ら定めた報酬額を事務所の見やすい場所に掲示する義務を負っていますが、金額自体は各事務所が自由に設定できる仕組みになっています。
かつては報酬の目安となる基準が存在していましたが、独占禁止法上の問題等を背景に廃止され、現在は事務所ごとに自由に定める形に移行した経緯があります。この経緯を知っておくと、事務所によって見積額に幅がある理由が理解しやすくなります。
日本行政書士会連合会が報酬額の統計調査を公表している
行政書士法第10条の2第2項に基づき、日本行政書士会連合会は5年に1度、全国的な報酬額の統計調査を実施しています。日本行政書士会連合会自身も、この統計は実勢の参考値であり、強制力のある料金表ではないとしています。
令和7年度の報酬額統計調査によると、建設業許可申請(法人・新規・知事許可)の報酬額は平均151,341円、最頻値165,000円(回答512件)となっています。ただし個社差が大きく、同じ区分でも最小30,000円から最大365,000円まで幅があります。
区分ごとの目安は、次のとおりです。
- 建設業許可申請(法人・新規・知事許可)平均151,341円/最頻値165,000円
- 建設業許可申請(法人・新規・大臣許可)平均199,972円/最頻値220,000円
- 建設業許可申請(法人・更新・知事許可)平均82,408円/最頻値55,000円
- 建設業許可申請(業種追加)平均80,899円/最頻値88,000円
統計上の平均・最頻値であり、個別の見積もりを保証するものではない点にご留意ください。実際の金額は、依頼する事務所や案件ごとの状況によって、この統計の幅の中でも変動します。
経営事項審査に関連する報酬は独立した体系である
経営事項審査に関連する経営状況分析申請や経営規模等評価申請は、建設業許可とは別の手続きであり、報酬体系も別です。日本行政書士会連合会の統計では、経営状況分析申請の報酬は平均36,623円、経営規模等評価申請及び総合評定値請求申請の報酬は平均72,611円となっています。
建設業許可の費用を検討する段階で、経営事項審査の費用と混同しないよう整理しておくと、その後の資金計画が立てやすくなります。特に公共工事への参入を見据えている場合は、建設業許可の取得費用だけでなく、経営事項審査にかかる費用も合わせて見込んでおく必要があります。
建設業許可の費用を左右する要因は何か?
建設業許可にかかる費用の総額は、法定手数料と行政書士報酬を合計した金額で決まりますが、その内訳は会社ごとの状況によって変わります。何が金額に影響するのかを整理します。
同じ建設業許可の新規申請であっても、会社によって数万円から十数万円の差が生じることがあります。この差がどこから生まれるのかを知っておくと、見積もりを受け取った際の判断材料になります。
許可権者の違い(知事許可か大臣許可か)
営業所を1つの都道府県内のみに設けるか、2つ以上の都道府県に設けるかで、知事許可と大臣許可のどちらが必要になるかが決まります。すでに述べたとおり、新規申請の法定手数料は知事許可9万円・大臣許可15万円(登録免許税)と異なり、行政書士報酬の平均額も大臣許可の方が高い傾向にあります。
複数の都道府県に営業所を展開する予定がある会社は、知事許可より大臣許可を前提に費用感を見積もっておくと、後から想定外の出費に驚くことを避けやすくなります。営業所を1か所から増やす計画がある場合は、この点も踏まえて申請のタイミングを検討する材料になります。
申請区分の違い(新規か更新か業種追加か)
新規申請・更新申請・業種追加のいずれに該当するかによって、法定手数料も行政書士報酬の目安も変わります。日本行政書士会連合会の統計でも、新規申請の報酬額が更新申請より高くなる傾向が見られます。新規申請は経営業務の管理責任者や専任技術者の要件を一から証明する必要があるため、確認する書類の量が更新時より多くなりやすいことが背景にあると考えられます。
専任技術者等の要件証明にかかる難易度
建設業許可の要件のひとつである専任技術者は、保有資格で証明できる場合と、実務経験を積み上げて証明する必要がある場合とがあります。後者は収集すべき書類が多く、確認や整理に手間がかかるため、行政書士報酬が同じ区分内でも幅を持つ一因になっています。
なお、「専任技術者」は令和6年12月13日施行の改正建設業法で「営業所技術者等」(一般建設業は営業所技術者、特定建設業は特定営業所技術者)に名称が変わりました。この記事では、広く使われている「専任技術者」の呼称で説明します。
この他、必要書類をどこまで自社で準備できているかによっても、行政書士に依頼した際の作業量は変わってきます。決算書や実務経験を裏付ける工事契約書等を自社で整理して渡せる場合は、行政書士が一から収集する場合に比べて作業量が抑えられる傾向にあります。金額を左右する主な要因を整理すると、次のようになります。
- 営業所の所在地(知事許可か大臣許可か)
- 申請区分(新規・更新・業種追加のいずれか)
- 一般・特定を同時に申請するかどうか(般特同時)
- 専任技術者等の要件証明の難易度(資格保有か実務経験の証明か)
建設業許可の費用を検討する先に、何を見据えるべきか?
建設業許可の費用は、法定手数料と行政書士報酬を比較検討して完了する話ではありません。許可を取得した先には、公共工事の入札に参加するための経営事項審査(経審)という手続きが控えています。
「自社の規模では公共工事は難しいのではないか」と考える経営者は少なくありません。しかし制度上は、要件を満たせば規模にかかわらず参加できる仕組みになっています。
建設業許可申請そのものをどう進めるかという論点と、その先にある経営事項審査にどう向き合うかという論点は、切り分けて考える視点が参考になります。両者は手続きの性質も、外注のしやすさも異なるためです。
- 建設業許可の申請は外部への依頼と自社対応のどちらを選ぶかという論点
- 経営事項審査は公共工事参入を見据えた自社の体制づくりという論点
- 両者は手続きの性質も外注のしやすさも異なるという整理

建設業許可は行政書士に委託してもよいと思いますが、経審については、自社で早期に対応していくことが必要ではないかと考えます。
建設業許可の申請自体は外部への委託も選択肢となる一方、経営事項審査は自社で早期に体制を作っておくことが、その後の公共工事参入の進めやすさにつながるという整理です。
よくある質問
- 建設業許可の法定手数料は自社で申請しても行政書士に依頼しても同じ金額ですか?
-
はい、法定手数料は国や都道府県が定めた金額であり、自社で申請しても行政書士に依頼しても同じ金額が発生します。行政書士に依頼した場合に追加で発生するのは、法定手数料とは別建ての報酬部分です。
- 更新を忘れて許可の有効期間が切れた場合、費用はどうなりますか?
-
有効期間内に更新申請ができなかった場合、更新ではなく新規の許可取得として手続きをやり直す必要が生じます。その場合、更新手数料(5万円)ではなく、新規申請の手数料(知事許可9万円等)が改めて発生する点に注意が必要です。
- 行政書士報酬の統計には、証明書取得などの実費も含まれていますか?
-
含まれません。日本行政書士会連合会の統計における報酬額は消費税込みの金額ですが、証明書取得費用や交通費などの実費(立替金)は含んでいません。見積もりを受け取る際は、報酬額とは別に実費が発生する場合がある点も踏まえておくと安心です。
- 業種を後から追加する場合、費用はいつ発生しますか?
-
業種追加は既存の許可とは別のタイミングで随時申請できる手続きであり、追加を申請する時点で改めて手数料(単独申請なら知事・大臣とも5万円)と、依頼する場合は行政書士報酬が発生します。新規取得時にまとめて申請する場合とは別に費用がかかる点を踏まえておく必要があります。
まとめ
建設業許可の費用は、国や都道府県が定めた法定手数料と、事務所ごとに異なる行政書士報酬という、性質の異なる2つの要素で構成されています。法定手数料は知事許可か大臣許可か、新規か更新か業種追加かによって機械的に決まり、行政書士報酬は要件証明の難易度等によって幅が生じます。
費用の内訳を理解しておくことは、資金計画を立てるうえでの土台になります。見積もりを受け取った際も、法定手数料と報酬のどちらの部分について確認したいのかを整理しておくと、事務所とのやり取りがスムーズになります。
そのうえで、建設業許可の取得はゴールではなく、経営事項審査や公共工事参入に向けた通過点のひとつとして捉えておくことが、その後の進めやすさにつながります。
- 建設業許可の法定手数料は知事許可9万円・大臣許可15万円(登録免許税)で、更新・業種追加はいずれも5万円である
- 行政書士報酬に公定価格はなく、日本行政書士会連合会の統計では建設業許可申請(法人・新規・知事許可)の平均額は151,341円である
- 金額は許可権者・申請区分・専任技術者の要件証明の難易度によって変わるため、自社の状況に当てはめて確認する
- 建設業許可の取得後に控える経営事項審査の位置づけも踏まえて、費用と体制の計画を立てる
より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。
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