決算変更届とは?提出期限と必要書類・書き方をわかりやすく

決算変更届とは?提出期限と必要書類・書き方をわかりやすく
監修情報

水嶋 拓

フロンティアマーケティング株式会社代表取締役。2009年から公共工事コンサルタントとして活動し、450社以上の中小建設会社の経営を支援。2017年に同社を設立し、現在は公共工事研究会も主宰している。著書に『日本一ハードルの低い公共工事の始め方』。

決算変更届は、建設業の許可を受けた事業者が、毎事業年度が終わるごとに行政庁へ提出する届出です。根拠は建設業法第11条第2項で、提出期限は事業年度終了後4か月以内と定められています。

この記事では、決算変更届の位置づけ、提出期限、必要書類、作成と提出の進め方、提出しない場合の扱いを、2026年10月執筆時点の法令と行政庁の案内をもとに整理します。あわせて、経営事項審査や公共工事との関わりにも触れます。

公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。

この記事で分かること
  • 決算変更届は建設業法第11条第2項に基づき、許可を受けた建設業者が毎事業年度経過後4か月以内に提出する届出である
  • 提出書類は工事経歴書、直前3年の工事施工金額、財務諸表、納税証明書などで、納税証明書は大臣許可と知事許可で種類が異なる
  • 提出しない場合は建設業法第50条の罰則の対象となるほか、許可の更新や経営事項審査にも影響すると自治体は案内している
  • 公共工事を直接請け負うには経営事項審査が必要で、決算変更届はその前提として求められる
目次

決算変更届とは?制度の位置づけ

決算変更届は、許可を受けたあとも毎年続く届出のひとつです。まず根拠と呼び方を確認し、随時提出する変更届との違いを整理します。

毎事業年度の終了後に提出する届出

建設業法第11条第2項は、許可に係る建設業者に対し、毎事業年度終了の時における工事経歴書などの書類を、毎事業年度経過後4月以内に国土交通大臣または都道府県知事へ提出するよう求めています。許可を受けた建設業者であれば、工事を請け負った年度かどうかにかかわらず、毎事業年度の提出が必要です。

この届出は、決算報告や年度報告などの呼び方でも案内されています。許可は5年ごとに更新が必要ですが(同法第3条第3項)、更新までの間も、毎年、決算の内容と工事の実績を行政庁へ届け出る仕組みです。

決算変更届と変更届は別の届出

許可後の届出には、決算変更届のほかに、事由が生じたときに出す変更届があります。提出する時期と根拠が異なるため、混同しないことが大切です。

項目決算変更届変更届
根拠建設業法第11条第2項(使用人数などの変更は同条第3項)同条第1項、第4項、第5項
提出の時期毎事業年度経過後4か月以内商号、営業所、資本金、役員等などの変更は30日以内。営業所技術者の交代や許可基準を満たさなくなったときなどは2週間以内
提出の契機事業年度が終了するたび変更などの事由が生じたとき

変更届は事由が生じるたびに提出するもので、決算変更届と同時に出すものではありません。期限を過ぎると、それぞれの条文に基づく扱いを受けることになります。

決算変更届の提出期限はいつまで?

提出期限は、事業年度の終了後4か月以内です。決算月によって期限が変わるため、自社の事業年度に合わせて確認します。

事業年度終了後4か月以内に提出する

期限は、毎事業年度経過後4月以内と、建設業法第11条第2項に定められています。茨城県は、3月決算の会社は7月末までに提出するとの例を示しています。

この考え方で決算月ごとの期限を数えると、次のとおりです。

決算月(事業年度の末日)提出期限の目安
3月31日7月31日
6月30日10月31日
9月30日翌年1月31日
12月31日翌年4月30日

上の表は、条文の「4月以内」から数えた計算例です。期限日が閉庁日にあたる場合の扱いや、決算期を変更した場合の取り扱いは、提出先の行政庁の案内で確認してください。

許可の更新時期とは別に毎年期限が来る

許可の更新は、有効期間の満了の日の30日前までに申請書を提出します(建設業法施行規則第5条第1項)。決算変更届の期限は、これとは別に毎事業年度に巡ってきます。

更新の年だけまとめて出すのではなく、更新までの5年間、毎事業年度ごとの提出が必要になる点に注意が必要です。

決算変更届を提出しないとどうなるのか?

提出は法令上の義務であり、出さない場合の扱いも条文に定められています。あわせて、行政庁が案内している更新や経営事項審査への影響も確認します。

建設業法第50条の罰則の対象になる

建設業法第50条第1項第2号は、第11条第1項から第4項までの規定による書類を提出せず、または虚偽の記載をして提出したときは、6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めています。同条第2項は、情状により拘禁刑と罰金を併科できるとしています。

罰則の対象となるのは、提出しなかった場合に限りません。虚偽の記載をして提出した場合も対象に含まれます。

許可の更新や経営事項審査への影響

条文上の罰則のほかに、行政庁は更新や経営事項審査との関係を案内しています。神奈川県の案内では、次のとおりです。

  • 更新の際の確認事項に、決算報告(決算変更届)が漏れなく提出されているかが含まれる
  • 特定建設業の許可では、直前の決算で財産的基礎の要件を満たしているかも確認される
  • 決算変更届を提出しないと、経営事項審査を受けられず、公共工事等に参加できなくなる

取り扱いは行政庁によって異なる可能性があるため、許可を受けた行政庁の案内で最新の内容を確認してください。

決算変更届の内容は、経営事項審査の点数にも関係します。

経審の中にY点というものがあるんですね。これは決算書の数値をもとに算出される点数なんですけど、借入れが大きいとY点が下がるようにできてるんですよ。

決算変更届に必要な書類は?

提出する書類は、建設業法第11条第2項と同法施行規則第10条に定められています。毎事業年度に出す書類と、使用人数などに変更があった年に併せて出す書類に分けて確認します。

毎事業年度に提出する書類

第11条第2項は、第6条第1項第1号と第2号の書類と、国土交通省令で定める書類を挙げています。主な書類は次のとおりです。

書類様式・内容根拠
工事経歴書様式第2号(神奈川県の案内)建設業法第11条第2項、第6条第1項第1号
直前3年の各事業年度における工事施工金額を記載した書面様式第3号(神奈川県の案内)建設業法第11条第2項、第6条第1項第2号
財務諸表会社の区分に応じた別記様式(次の項目で説明)施行規則第10条第1項第1号・第2号
納税証明書許可の区分に応じた税の証明書(後述)施行規則第10条第1項第3号・第4号

財務諸表は会社の区分によって種類が変わる

財務諸表として提出する書類は、施行規則第10条第1項で、会社の区分ごとに定められています。区分と書類は次のとおりです。

  • 株式会社以外の法人は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表(別記様式第15号から第17号の2まで)
  • 小会社である株式会社は、上記に加えて事業報告書
  • 小会社以外の株式会社は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表、附属明細表、事業報告書(別記様式第15号から第17号の3まで)
  • 個人は、貸借対照表と損益計算書(別記様式第18号・第19号)

小会社とは、資本金の額が1億円以下で、最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が200億円以上でない株式会社をいいます(施行規則第4条第1項第8号)。決算書そのものとは別に、建設業法施行規則の様式に沿って作る必要があります。

納税証明書は許可の区分で異なる

納税証明書は、許可を受けている行政庁によって、証明する税の種類が異なります。施行規則第10条第1項の定めは次のとおりです。

許可の区分提出する納税証明書
国土交通大臣の許可法人は法人税、個人は所得税の納付すべき額と納付済額を証する書面
都道府県知事の許可事業税の納付すべき額と納付済額を証する書面

同条第3項は、都道府県知事が、許可を受けている者の同意があったときは、事業税の書面の提出を省略させることができると定めています。実際に省略できるかどうかは、都道府県の運用によります。

使用人数などに変更があった年に併せて届け出る書類

建設業法第11条第3項は、使用人数を記載した書面などの記載事項に変更を生じたときは、毎事業年度経過後4月以内にその旨を書面で届け出るよう求めています。施行規則第10条第2項は、このときの書類として、次の2つを挙げています。

  • 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(施行規則第4条第1項第1号)
  • 法人の場合は定款(同項第6号)

これらは、変更がなかった年には提出する必要がありません。変更の有無を、事業年度の終了時に確認しておくと、提出漏れを防げます。

決算変更届の書き方と提出の進め方

決算変更届の作成は、決算が確定してから始まります。作成の流れと、提出先、電子申請の条件を順に確認します。

作成から提出までの5つの流れ

一般的な流れは、次の5つの段階です。

  1. 事業年度の決算を確定する
  2. 財務諸表を、施行規則で定める別記様式に沿って作成する
  3. 工事経歴書と、直前3年の各事業年度における工事施工金額を記載した書面を作成する
  4. 納税証明書を取得する(大臣許可は法人税、知事許可は事業税)
  5. 許可を受けた行政庁へ提出する

各様式の記入欄ごとの書き方は、提出先の行政庁が手引きや記載例を公表しています。記入の細目は行政庁によって案内の形式が異なるため、本記事では、条文と行政庁の案内で確認できた範囲にとどめています。

提出先は許可を受けた行政庁

提出先は、許可を受けている行政庁です。国土交通省の「許可後の手続き」のページは、次のように案内しています。

許可の区分提出先提出部数
国土交通大臣の許可本店所在地を管轄する地方整備局長等へ直接提出正本1部と副本1部
都道府県知事の許可都道府県知事各行政庁が定める部数

大臣許可の書類は、令和2年4月1日から、本店所在地を管轄する地方整備局等へ直接提出する扱いになっています。知事許可の窓口や部数は都道府県ごとに異なるため、提出先の案内を確認してください。

電子申請にはGビズIDが必要

建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)では、決算変更届の電子申請ができるとされています。沖縄県の案内では、利用にはデジタル庁が所管するGビズIDの取得が必要です。

電子申請の受付開始時期は、自治体によって異なります。沖縄県の例では、システムによる申請の受付は令和5年3月27日に始まり、経営事項審査を伴う決算変更届は令和6年8月1日から受け付けています。茨城県は、窓口のほか、郵送や電子申請でも提出できるとしています。

決算変更届は経営事項審査や公共工事にどうつながるのか?

公共工事のうち政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、経営事項審査を受けなければなりません(建設業法第27条の23第1項)。その審査を受ける前提として、決算変更届の提出が求められると自治体は案内しています。

  • 決算変更届は、毎事業年度の決算と工事の実績を、許可を受けた行政庁に届け出る手続きである
  • 経営事項審査は、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者に求められる審査である
  • 決算変更届が未提出の場合は、経営事項審査を受けられないと自治体は案内している

毎事業年度の決算変更届を提出しておくことは、将来、公共工事に取り組むときの土台になります。許可を受けたあとの毎年の手続きが、公共工事への参加につながる流れを押さえておくと、手続きの意味が分かりやすくなります。

公共工事は大手や実績のある会社のもの、と受け止められることがあります。ただ、入札参加の要件は制度として明確に定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる仕組みです。

公共工事への参入に向けた全体像は、下記で詳しく確認できます。

よくある質問

工事を請け負わなかった事業年度や、赤字の事業年度も、決算変更届は必要なのか?

建設業法第11条第2項は、毎事業年度の提出を求めており、条文には工事の実績や決算の内容による例外は書かれていません。工事がなかった事業年度の工事経歴書の扱いは、提出先の行政庁の手引きで確認してください。

個人事業主も決算変更届を提出するのか?

第11条第2項の対象は許可に係る建設業者で、個人の事業者も含まれます。個人の場合は、施行規則第10条第1項第2号により、別記様式第18号・第19号の貸借対照表と損益計算書を提出します。

特定建設業の場合、決算の内容は許可の更新に影響するのか?

建設業法第15条第3号は、特定建設業の許可の基準として、一定の請負契約を履行するに足りる財産的基礎を有することを求めています。神奈川県の案内では、更新時に、直前の決算で財産的基礎の要件を満たしているかも確認するとされています。

決算変更届は、窓口に行かなくても提出できるのか?

提出方法は行政庁によって異なります。茨城県の案内では、窓口のほか、郵送や電子申請(JCIP)でも提出できます。大臣許可の書類は、本店所在地を管轄する地方整備局長等へ提出するため、提出方法は地方整備局等の案内で確認してください。

まとめ

決算変更届は、建設業法第11条第2項に基づき、許可を受けた建設業者が毎事業年度経過後4か月以内に提出する届出です。工事経歴書、直前3年の工事施工金額、財務諸表、納税証明書などを、許可を受けた行政庁へ提出します。

提出しない場合は、建設業法第50条の罰則の対象となります。更新や経営事項審査にも影響すると自治体は案内しており、公共工事に取り組むうえでも、毎事業年度の提出は土台になります。

本記事の内容は2026年10月執筆時点の情報のため、実際の提出にあたっては、許可を受けた行政庁の最新の案内を確認してください。

この記事のまとめ
  • 決算変更届は毎事業年度の終了後4か月以内に提出し、決算月ごとの期限を事前に確認する
  • 納税証明書は大臣許可が法人税または所得税、知事許可が事業税で、財務諸表は会社の区分で様式が変わる
  • 未提出は罰則の対象となるほか、更新や経営事項審査にも影響するため、毎年の提出を欠かさない
  • 提出先、部数、電子申請の可否は許可を受けた行政庁の案内で最新の内容を確認する

より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。

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