造園工事業で建設業許可を取るには?取得要件と専任技術者まとめ


造園工事業で建設業許可を取得したいものの、どのような工事がこの業種に含まれるのか、また営業所技術者(旧・専任技術者)になれる資格の範囲がよく分からないという経営者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、造園工事業の定義から建設業許可の基本要件、営業所技術者になれるルート、指定建設業として特定建設業許可を取る場合の限定、専任技術者から営業所技術者等への呼称変更の内容までを整理し、公共工事参入への接続点にも触れます。
公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。
- 造園工事業は、庭園・公園・緑地等の苑地を築造し、道路や建築物の屋上等を緑化する工事を担う業種である
- 建設業許可には経営業務の管理体制・営業所技術者・財産的基礎・誠実性という4つの要件がある
- 造園工事業は指定建設業に該当し、特定建設業許可では営業所技術者等を国家資格者等に限定する規定がある
- 令和6年12月13日施行の改正により「専任技術者」の呼称は「営業所技術者等」に変わったが要件自体は変わっていない
造園工事業とはどのような工事を行う建設業許可か?
建設業許可は29種類の業種ごとに区分されており、造園工事業もそのうちの一つです。まず、造園工事業がどのような工事内容を対象にした業種なのかを確認します。
造園工事業の定義にはどのような工事内容が含まれるか?
国土交通省の建設業許可事務ガイドラインでは、造園工事は「整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事」と定義されています。
具体的には、植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事などが例示されており、単に樹木を植えるだけでなく、庭園や公園といった空間そのものを築造する工事全般を含む点が特徴です。
公園設備工事には花壇や噴水などの修景施設、休憩所などの休養施設、遊戯施設、便益施設等の建設工事が含まれ、園路工事は公園内の遊歩道や緑道等を建設する工事を指します。緑地育成工事は樹木・芝生・草花等の植物を育成する工事であり、土壌改良や支柱の設置等を伴って行われるものとされています。
- 植栽工事・地被工事・景石工事・地ごしらえ工事
- 公園設備工事(花壇や噴水などの修景施設、休憩所などの休養施設、遊戯施設、便益施設等の建設工事)
- 広場工事・園路工事(公園内の遊歩道や緑道等を建設する工事)・水景工事
- 屋上等緑化工事
- 緑地育成工事(樹木・芝生・草花等の植物を育成する工事で、土壌改良や支柱の設置等を伴うもの)
造園工事業が公共工事に向いているといえる理由は何か?
造園工事の定義を見ると、庭園・公園・緑地・道路・建築物の屋上等、国や地方公共団体が管理する公共空間に関わる工事内容が定義上多く含まれています。このため造園工事業は、定義の性質からして公共工事との親和性が高い専門工事業の一つといえます。
造園工事業における自治体発注の具体的な比率を示す統計は本記事執筆時点では確認できていませんが、公園設備工事や園路工事のように、そもそも自治体が管理する施設を対象とした工事内容が業種の定義に含まれていること自体が、この業種の特性を示していると考えられます。
造園工事業で建設業許可を取得するにはどの要件を満たす必要があるか?
建設業許可(一般建設業)を受けるには、建設業法第7条に定める4つの要件をすべて満たし、かつ第8条の欠格要件に該当しないことが必要です。これは造園工事業に限らず、全業種に共通する枠組みです。
経営業務の管理体制の要件とはどのようなものか?
経営業務の管理体制については、法人であれば常勤役員1名、個人事業主であれば本人または支配人1名が、建設業に関し経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すると認められる必要があります。これに加えて、健康保険・厚生年金・雇用保険といった適正な社会保険への加入も要件の一つです。
財産的基礎の要件はどのように判断されるか?
財産的基礎の要件は、一般建設業の場合、次のいずれか1つを満たせば足ります。自己資本の額が500万円以上であること、500万円以上の資金を調達する能力を有すると認められること、許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有することのいずれかです。
誠実性の要件はどのように判断されるか?
誠実性の要件は、請負契約の締結や履行に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことを求めるもので、法人の役員等にも適用されます。
欠格要件に該当するのはどのような場合か?
欠格要件(法第8条)には、破産者で復権を得ていない者、拘禁刑以上の刑に処せられその執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者など14項目が列挙されています。役員や使用人がこれに該当する場合、法人・個人事業主とも許可を受けられません。
- 経営業務の管理体制として、常勤役員1名または個人事業主本人が経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すると認められること
- 各営業所に営業所技術者等を専任で配置すること
- 財産的基礎として、自己資本500万円以上・500万円以上の資金調達能力・過去5年間の継続営業実績のいずれか1つを満たすこと
- 誠実性として、請負契約の締結や履行に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと
- 健康保険・厚生年金・雇用保険といった適正な社会保険に加入し、法第8条の欠格要件に該当しないこと
特定建設業許可が必要になるのはどのような場合か?
下請契約の総額が一定額以上になる場合は、一般建設業ではなく特定建設業の許可が必要です。造園工事業を含む建築一式工事以外の業種では、発注者から直接請け負った1件の工事について下請代金の総額が5,000万円以上となる場合が特定建設業の対象です(建築一式工事は8,000万円以上・建設業法施行令第2条、令和7年2月1日施行の現行基準)。
この基準は、監理技術者等の専任が必要となる請負代金の基準(施行令第27条、執筆時点では4,500万円以上・建築一式工事は9,000万円以上)とは別の条文に基づくものであり、金額が近く混同しやすいため、自社がどちらの基準について話しているのかを都度確認することをおすすめします。
造園工事業の営業所技術者になれる資格にはどのようなものがあるか?
各営業所に専任で配置する技術者は、営業所技術者等(旧・専任技術者)と呼ばれます。ここでは、造園工事業で認められる主なルートと、指定建設業としての限定を確認します。
一般建設業の営業所技術者になれるルートにはどのようなものがあるか?
一般建設業の営業所技術者等(法第7条第2号)は、次のいずれかに該当する者とされています。
指定学科を修了し高校卒業後5年以上または大学・高等専門学校卒業後3年以上の実務経験を有する者、許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し10年以上実務の経験を有する者、国土交通大臣が上記と同等以上の知識・技術・技能を有すると認定した者(国家資格者等を含む)のいずれかです。
造園工事業の指定学科にはどのような学科が該当するか?
実務経験の年数を短縮できる指定学科のルート(前述イ)に関連し、造園工事業の指定学科は「土木工学、建築学、都市工学又は林学に関する学科」とされています。この学科を修了していれば、実務経験の必要年数が短縮される仕組みです。
指定建設業として特定建設業許可を取る場合、実務経験ルートは使えるか?
造園工事業は、施工技術の総合性等を考慮して政令で定める「指定建設業」7業種(土木一式工事業・建築一式工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業)の一つに該当します。
指定建設業について特定建設業の許可を受ける場合、営業所技術者等(特定営業所技術者)は国家資格者等または国土交通大臣が同等以上の能力を有すると認定した者に限られ、実務経験10年のみでの充足は認められません(建設業法第15条第2号ただし書)。
つまり、造園工事業で特定建設業許可を取得する場合は、前述イまたはハのルートに該当する者でなければならず、ロの実務経験10年のみでは要件を満たせません。これに対し、一般建設業(法第7条第2号)にはこの限定がなく、実務経験のみ10年以上といったロのルートも利用できます。この違いは、一般建設業から特定建設業へ許可を切り替える際に見落とされやすい点です。
| ルート | 一般建設業(営業所技術者) | 特定建設業(特定営業所技術者) |
|---|---|---|
| イ 指定学科の修了と実務経験(高校卒業後5年以上または大学・高等専門学校卒業後3年以上) | 利用できる | 利用できる |
| ロ 実務経験10年以上のみ | 利用できる | 利用できない |
| ハ 国土交通大臣が同等以上と認定した者(国家資格者等を含む) | 利用できる | 利用できる |
なお、特定建設業の実務経験ルート(法第15条第2号ロ)自体は、指導監督的な実務の経験として請負代金4,500万円以上の工事に関し2年以上の経験を求めるものですが、指定建設業である造園工事業にはこの規定自体が適用されません。
専任技術者から営業所技術者等への呼称変更で何が変わったか?
建設業法の令和6年改正により、令和6年12月13日施行で「専任技術者」の呼称が「営業所技術者等」に変更されました。一般建設業は営業所技術者、特定建設業は特定営業所技術者と呼ばれます。これは呼称の変更であり、営業所技術者等になるための要件そのものは変わっていません。
記事タイトルや検索されやすい呼び方としては「専任技術者」が広く使われていますが、現行の建設業許可事務ガイドラインは本文中で一貫して「営業所技術者等」という呼称を使用しています。書類や行政庁とのやり取りでは、現行の呼称(営業所技術者等)で記載されることを踏まえておくと混乱を避けられます。
- 令和6年12月13日施行の改正で、「専任技術者」の呼称が「営業所技術者等」に変更された
- 一般建設業は営業所技術者、特定建設業は特定営業所技術者と呼ばれる
- 呼称の変更であり、営業所技術者等になるための要件そのものは変わっていない
- 現行の建設業許可事務ガイドラインは、本文中で一貫して営業所技術者等という呼称を使用している
造園工事業の許可は公共工事参入にどうつながるか?
ここまで見てきた造園工事業の定義や取得要件は、単体で完結する手続きではなく、公共工事という受注機会に参入するための土台という位置づけで捉えることができます。公園設備工事や園路工事など、自治体が管理する公共空間に関わる工事内容を定義上多く含む造園工事業は、専門工事業の中でも公共工事との接点を持ちやすい業種の一つです。
指定建設業に該当するため特定建設業許可を目指す場合は営業所技術者等の資格ルートが限定されますが、一般建設業であれば実務経験ルートも含めて選択肢が広く、まずは一般建設業の許可取得から公共工事参入の準備を進めるという進め方も選択肢の一つになります。
- 造園工事業の定義や取得要件は、公共工事という受注機会に参入するための土台という位置づけになる
- 公園設備工事や園路工事など、自治体が管理する公共空間に関わる工事内容を定義上多く含む
- 特定建設業許可を目指す場合は、営業所技術者等の資格ルートが国家資格者等に限定される
- 一般建設業であれば実務経験ルートも含めて選択肢が広く、まずは一般建設業の許可取得から準備を進める進め方もある
造園工事は土木一式工事や建築一式工事のような一式工事ではなく、専門工事業の一つです。専門工事業だからこそ公共工事に参入しにくいのではないか、という受け止め方をされることがあります。しかし、入札参加の要件は工事の内容や金額帯に応じて制度上定められているものであり、専門工事業であること自体が参入の妨げになるとは限りません。
資格の有無は、参入できるかどうかを決める唯一の条件ではありません。

資格がなくても入札できる案件は必ず存在しますので、そういった案件を積極的に探していくべきだと考えます
造園工事業は専門工事業でありながら公共空間に関わる工事内容を多く含む業種であり、資格や許可区分の要件を一つずつ整理しながら、自社に合った参入の進め方を検討していくことが公共工事という事業機会につながっていきます。
よくある質問
- 造園工事業には街路樹の手入れも含まれますか?
-
国土交通省の告示・ガイドラインの例示に「街路樹」という文言自体は明記されていません。植栽工事や緑地育成工事等の定義に含まれ得ると考えられますが、断定的な線引きが必要な場合は許可行政庁に確認することをおすすめします。
- 造園工事業の財産的基礎の要件は他の業種と異なりますか?
-
異なりません。財産的基礎の要件(自己資本500万円以上等)は建設業法第7条第4号に基づく全業種共通の基準であり、造園工事業だけに固有の基準があるわけではありません。
- 造園工事業では、どのくらいの金額の工事から建設業許可が必要になりますか?
-
造園工事業は建築一式工事に該当しないため、1件あたりの請負代金が500万円未満の工事(軽微な建設工事)であれば、建設業許可がなくても施工できます(建設業法施行令第1条の2)。500万円以上の工事を請け負う場合は、建設業許可の取得が必要になります。
- 「専任技術者」という呼び方は現在も使われていますか?
-
令和6年12月13日施行の改正により、法令上の名称は「営業所技術者等」に変更されています。一般建設業は営業所技術者、特定建設業は特定営業所技術者と呼ばれますが、これは呼称の変更であり要件自体に変更はありません。
まとめ
造園工事業は、整地や樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園・公園・緑地等の苑地を築造し、道路や建築物の屋上等を緑化する工事を担う業種です。公園設備工事や園路工事のように、自治体が管理する公共空間に関わる工事内容を定義上多く含んでいます。
建設業許可の取得には、経営業務の管理体制・営業所技術者・財産的基礎・誠実性という4つの要件を満たす必要があります。造園工事業は指定建設業に該当するため、特定建設業許可を取る場合は営業所技術者等が国家資格者等または大臣認定者に限定され、実務経験10年のみによる代替は認められません。
令和6年12月13日施行の改正により「専任技術者」は「営業所技術者等」に呼称が変わりましたが、要件自体に変更はありません。これらの整理は、専門工事業である造園工事業が公共工事という事業機会に参入していくための土台になります。
- 造園工事業は庭園・公園・緑地等の苑地を築造し、道路や建築物の屋上等を緑化する工事を担う業種である
- 建設業許可には経営業務の管理体制・営業所技術者・財産的基礎・誠実性という4つの要件がある
- 指定建設業に該当するため、特定建設業許可では営業所技術者等が国家資格者等に限定される
- 令和6年12月13日施行の改正で呼称は営業所技術者等に変わったが要件自体は変わっていない
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