建設業許可申請の流れと費用まとめ!自分で手続きする方法を解説


建設業許可の申請を検討し始めると、何から手をつければよいのか、必要書類や費用はどのくらいかかるのか、整理しきれずに止まってしまう経営者の方もいるのではないでしょうか。申請区分によって条件が変わる部分も多く、全体像の把握が欠かせないテーマです。
この記事では、建設業許可申請の流れや必要書類、法定手数料、自分で手続きする場合の注意点、そして許可取得後に公共工事参入までのステップを整理して解説します。申請の位置づけを押さえることが、この先の準備を進める土台になります。
公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。
- 建設業許可が必要になる工事の範囲と、許可の区分・分類の考え方
- 新規申請で提出する主な法定書類と、自己証明が認められない書類の存在
- 知事許可・大臣許可それぞれの法定手数料の金額
- 許可取得後、経営事項審査(経審)を経て公共工事参入に至るまでの一般的な流れ
建設業許可申請とは?申請までの全体的な流れ
建設業許可は、建設工事の完成を請け負う営業を行う場合に原則として必要になる許可です。公共工事・民間工事のどちらを請け負う場合でも対象になりますが、請負代金が一定額に満たない「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は許可が不要とされています。
軽微な工事の基準は、建築一式工事であれば請負代金1,500万円未満(または木造住宅で延べ面積150平方メートル未満)、建築一式工事以外の工事であれば請負代金500万円未満とされています。この金額を超える工事を請け負う予定がある場合は、許可取得の検討が必要になります。
許可行政庁の区分と一般・特定の分かれ方
建設業許可は、営業所の所在地によって申請先が分かれます。2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合は国土交通大臣許可、1つの都道府県内のみに営業所を設ける場合は都道府県知事許可となります。
加えて、下請契約の規模によっても区分があり、発注者から直接請け負った1件の工事について、下請代金の総額が一定額以上となる下請契約を締結する場合は「特定建設業許可」、それ以外は「一般建設業許可」の対象です。
この下請代金の基準額は、建設業法施行令第2条に基づき、令和7年2月1日施行分では5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)とされています。
似た金額の基準として、施行令第5条の3が定める指導監督的実務経験の対象工事の請負代金(4,500万円)や、施行令第27条が定める監理技術者等の専任が必要な請負代金(4,500万円、建築一式工事は9,000万円)がありますが、いずれも別の条文に基づく別基準であり、混同しないよう注意が必要です。
許可の業種区分は土木一式・建築一式の2つの一式工事と27の専門工事、合計29業種に分かれており、業種ごとに許可を取得する必要があります。
| 区分の観点 | 内容 |
|---|---|
| 許可が不要な軽微な建設工事 | 建築一式工事は請負代金1,500万円未満(木造住宅で延べ面積150平方メートル未満)、建築一式工事以外は請負代金500万円未満 |
| 許可行政庁 | 2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合は国土交通大臣許可、1つの都道府県内のみなら都道府県知事許可 |
| 一般と特定の別 | 直接請け負った1件の工事で下請代金の総額が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)となる下請契約を締結する場合は特定建設業許可、それ以外は一般建設業許可 |
| 業種区分 | 土木一式・建築一式の2つの一式工事と27の専門工事の合計29業種 |
申請から許可までの流れと期間の目安
申請の大まかな流れは、申請書類の作成と提出、行政庁による審査(この間に照会や補正が入ることがあります)、審査結果に応じた通知という順序になります。国土交通大臣許可の場合、許可基準を満たすと判断されれば許可通知書が、満たさなければ拒否通知が、主たる営業所宛てに郵送される運用です。
国土交通大臣許可の標準処理期間は、概ね90日程度とされています(補正に要する期間は含みません)。この日数は関東地方整備局の手引きで示された大臣許可向けの目安であり、知事許可の標準処理期間は自治体ごとに定められています。許可の有効期間は5年間で、満了日の30日前までに更新申請が必要です。許可通知書は、紛失や代表者・所在地の変更があっても再交付されない点にも留意が必要です。
建設業許可申請ではどんな書類が必要になるか?
建設業許可を受けるためには、許可行政庁に対して許可申請書及び添付書類、いわゆる法定書類一式を提出する必要があります。発行日のある書類は、発行から3ヶ月以内のものを提出することが原則です(卒業証明書を除く)。新規申請で必要となる書類は申請区分によって細部が変わりますが、代表的なものを整理すると次のとおりです。
- 建設業許可申請書(様式第1号)、役員等の一覧表、営業所一覧表など基本情報を示す書類
- 工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額、使用人数を示す書類
- 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書、営業所技術者等証明書、実務経験証明書
- 登記されていないことの証明書、身分証明書など、発行から3ヶ月以内の公的書類
- 定款、貸借対照表、損益計算書等の財務関係書類、営業所の外観・内部が確認できる写真
この一覧は代表的な書類であり、様式番号や必要書類の細部は許可区分・都道府県によって異なる場合があります。申請先となる許可行政庁が公表している最新の手引きで個別に確認することが前提になります。
経験を証明する書類は自己証明が認められない
建設業許可申請の書類のなかでも、経営業務の管理責任者等や専任技術者としての経験を確認する資料は、自己証明が原則として認められていません。
法人役員としての経験であれば経験期間分の登記事項証明書等と建設業許可通知書の写しの2点、個人事業主としての経験であれば確定申告書と建設業許可通知書の写しの2点というように、第三者が確認できる資料の提出が求められます。証明者と使用者(経験を積んだ会社)が異なる場合には、閉鎖登記簿謄本等の追加書類が必要になることもあります。
過去に在籍した会社から証明書類の取得協力を得る必要がある点は、自分で申請準備を進める場合に実務上のハードルになりやすいポイントです。実務経験証明書・指導監督的実務経験証明書についても、会社解散等のやむを得ない事情がある場合を除き、自己証明は認められません。
建設業許可申請の費用(法定手数料)はいくらか?
建設業許可の法定手数料は、申請区分と許可行政庁によって金額が異なります。新規申請・更新申請・業種追加申請のそれぞれで手数料が定められており、一般建設業と特定建設業を同時に申請する場合は手数料も加算される仕組みです。まずは代表的な区分の金額を整理します。
| 申請区分 | 都道府県知事許可 | 国土交通大臣許可 |
|---|---|---|
| 新規申請(一般・特定いずれか) | 9万円 | 15万円 |
| 新規申請(一般・特定を同時に申請) | 18万円 | 30万円 |
| 更新申請・業種追加申請 | 5万円 | 5万円 |
更新と業種追加を同時に申請する場合など、複数区分を組み合わせるケースでは手数料の組み合わせがさらに細かくなります。詳細については、申請先の許可行政庁が公表している最新の手引きで確認することが望ましいといえます。
知事許可と大臣許可で納付方法が異なる
知事許可分の手数料は収入証紙等、都道府県が定める方法で納付します。大臣許可分は登録免許税として納付し、許可申請書の所定欄に領収証書(原本)を貼付する形になります。
なお、許可申請を提出後に取り下げる場合や却下となった場合には、納付済みの登録免許税について還付を受けられる手続きが用意されています。ただし更新申請・業種追加申請で納付した手数料(収入印紙分)は還付の対象外です。
財産的基礎の要件も準備段階の論点になる
法定手数料とは別に、許可の要件として「財産的基礎」があり、準備段階でのコストに関わる論点として押さえておく価値があります。一般建設業では自己資本500万円以上、または資金調達能力の保有が求められ、特定建設業ではより厳格に、資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上などの基準が課されます。
手数料そのものとは性質が異なる要件であるため、混同しないよう分けて捉えておくことが大切です。
建設業許可申請を自分で手続きする場合、どんな点に注意が必要か?
建設業許可申請は、必要書類の種類が多く、証明資料の取得に第三者の協力が必要になる場面もあるため、自分で手続きを進める場合は準備の段階で押さえておきたい注意点がいくつかあります。行政書士への依頼を含めた進め方の選択については本記事の対象外としますが、制度上どのような点が実務のハードルになりやすいかを整理します。

2ヶ月程度で取得できます。自分で手続きを進めた場合の話ですが。
この期間感はあくまで個別の対応事例であり、後述する公的な標準処理期間(大臣許可で概ね90日程度)とは前提が異なります。書類収集から提出までのスケジュールを具体的にイメージしておくことが、見通しを立てるうえで役立ちます。
発行日のある書類は取得タイミングに注意が必要
登記されていないことの証明書や身分証明書など、発行日のある法定書類は、申請日前3ヶ月以内に発行されたものを提出する必要があります。書類を先に取得しすぎると有効期限が切れてしまい、再取得の手間が発生します。営業所の実態を確認する写真についても、概ね3ヶ月以内に撮影したものが求められるため、他の書類の準備状況と合わせてタイミングを調整しておくことが大切です。
審査中の照会・補正が処理期間に影響する
提出後の審査では、申請内容に関する照会や補正が行われることがあり、標準処理期間にはこの補正の期間は含まれていません。書類に不備があると、実際に許可が下りるまでの期間はさらに延びる可能性があります。提出前に記載内容や添付書類の漏れを丁寧に確認しておくことが、スケジュールの遅れを防ぐことにつながります。
更新申請は満了日の30日前までに行う必要があるため、余裕をもったスケジュール管理も欠かせません。
- 登記されていないことの証明書や身分証明書など発行日のある法定書類は、申請日前3ヶ月以内に発行されたものを提出する
- 書類を先に取得しすぎると有効期限が切れてしまい、再取得の手間が発生する
- 営業所の実態を確認する写真も、概ね3ヶ月以内に撮影したものが求められる
- 審査中の照会・補正に要する期間は標準処理期間に含まれず、不備があると許可までの期間が延びる可能性がある
- 更新申請は満了日の30日前までに行う必要がある
建設業許可申請の後、公共工事参入までにどんなステップがあるか?
建設業許可の取得は、公共工事参入という流れ全体で見れば入り口にあたります。許可を取得したあとに続くのが、経営事項審査(経審)の受審です。経審は、公共工事を直接請け負おうとする建設業者が受ける必要のある審査で、建設業許可を受けた業種ごとに、経営状況(登録された経営状況分析機関が実施)と経営規模・技術的能力などの客観的事項を数値で評価する制度です。
経審の申請手数料は、経営規模等評価申請が基本額8,100円に業種ごとに2,300円を加算、総合評定値請求が基本額400円に業種ごとに200円を加算する仕組みです。申請先は、大臣許可業者であれば地方整備局長等、都道府県知事許可業者であれば該当する知事となります。
入札参加資格審査申請から入札参加まで
経審を受けたあとは、発注者となる国の機関・都道府県・市区町村等ごとに、入札参加資格審査申請を行い、入札参加資格者名簿への登載を受けて初めて入札に参加できるようになります。この申請時期や様式は発注者ごとに異なり、定期的な受付のタイミングも発注者によって差があるため、参入を目指す発注者が定める最新の公表情報を確認することが前提になります。
- 建設業許可の取得は、公共工事参入という流れ全体で見れば入り口にあたる
- 次に、公共工事を直接請け負おうとする建設業者が受ける経営事項審査を、建設業許可を受けた業種ごとに受審する
- 経営事項審査の申請先は、大臣許可業者であれば地方整備局長等、都道府県知事許可業者であれば該当する知事になる
- その後、発注者となる国の機関・都道府県・市区町村等ごとに入札参加資格審査申請を行う
- 入札参加資格者名簿への登載を受けて、初めて入札に参加できるようになる
建設業許可申請は公共工事参入までの流れの中でどこに位置づけられるか?
ここまで見てきたように、建設業許可申請は、必要書類の準備や法定手数料の納付といった手続き面だけでなく、その後に続く経営事項審査や入札参加資格審査申請までを見据えて進める必要があるテーマです。
申請そのものは公共工事参入という流れの最初の一歩にあたり、この段階でのスケジュール管理や書類準備の丁寧さが、その後の経審受審や入札参加資格の登録をスムーズに進められるかどうかに関わってきます。
- 建設業許可申請は、公共工事参入という流れの最初の一歩にあたる手続きである
- 必要書類の準備や法定手数料の納付といった手続き面だけでなく、その後の経営事項審査や入札参加資格審査申請までを見据えて進める必要がある
- この段階でのスケジュール管理や書類準備の丁寧さが、その後の経審受審や入札参加資格の登録の進めやすさに関わってくる
- 入札参加の要件は制度として明確に定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる
公共工事は大手や実績のある会社のもの、と受け止められることがあります。ただ、入札参加の要件は制度として明確に定められており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず参加できる仕組みです。建設業許可申請という手続きも、制度上のルールに沿って書類を整え、期限内に進めれば足りるものであり、会社の規模によって手続きの性質が変わるものではありません。
よくある質問
- 建設業許可はどんな工事でも必要になりますか?
-
建設工事の完成を請け負う営業を行う場合は原則として許可が必要ですが、請負代金が一定額に満たない「軽微な建設工事」のみを請け負う場合は不要とされています。基準額は建築一式工事とそれ以外の工事で異なるため、請け負う予定の工事内容と照らし合わせて確認することが大切です。
- 申請に必要な書類はどこで確認できますか?
-
代表的な書類は建設業許可申請書や工事経歴書、常勤役員等証明書などですが、様式番号や必要書類の細部は許可区分・都道府県によって異なります。申請先となる許可行政庁が公表している最新の手引きで、個別の要否を確認することが前提になります。
- 法定手数料は申請のたびに同じ金額がかかりますか?
-
いいえ、新規申請・更新申請・業種追加申請で金額が異なり、知事許可か大臣許可かによっても変わります。一般建設業と特定建設業を同時に申請する場合は手数料も加算されるため、申請区分ごとに金額を確認しておく必要があります。
- 法定手数料のほかにも準備しておくべき費用はありますか?
-
はい、法定手数料とは別に「財産的基礎」という要件があります。一般建設業では自己資本500万円以上または資金調達能力の保有、特定建設業では資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上などのより厳格な基準が課されるため、手数料だけでなくこの要件も準備段階で押さえておく必要があります。
まとめ
建設業許可申請は、軽微な工事に該当しない工事を請け負う場合に必要となる手続きで、営業所の所在地や下請代金の規模によって申請区分が分かれます。新規申請では多くの法定書類を揃える必要があり、経験を証明する書類は原則として自己証明が認められない点に注意が必要です。法定手数料は知事許可・大臣許可、申請区分ごとに金額が異なります。
自分で手続きを進める場合は、発行日のある書類の取得タイミングや、審査中の照会・補正が処理期間に影響する点を踏まえたスケジュール管理が欠かせません。許可取得は公共工事参入という流れの入り口であり、この先には経営事項審査の受審、入札参加資格審査申請という手続きが続きます。
制度上の要件は明確に定められており、書類を丁寧に整えて期限内に進めることが、公共工事参入への準備を着実に進める土台になります。
- 建設業許可は軽微な工事(建築一式1,500万円未満・その他500万円未満)を除き原則必要である
- 新規申請では多くの法定書類が必要で、経験を証明する書類は自己証明が認められない
- 法定手数料は知事許可・大臣許可、新規・更新・業種追加で金額が異なる
- 許可取得後は経営事項審査(経審)の受審、入札参加資格審査申請を経て公共工事参入に至る
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