経審の点数アップに有効な資格とは?技術力(Z点)加点対策を解説

監修情報

水嶋 拓

フロンティアマーケティング株式会社代表取締役。2009年から公共工事コンサルタントとして活動し、450社以上の中小建設会社の経営を支援。2017年に同社を設立し、現在は公共工事研究会も主宰している。著書に『日本一ハードルの低い公共工事の始め方』。

経営事項審査の点数を上げたいとき、社内で最も取り組みやすいのが資格の取得です。売上や自己資本と違って年度をまたぐ積み上げが不要で、合格すればその分が翌期の点数に反映されます。ただし、どの資格を誰に取ってもらえば効率がよいのかは、仕組みを知らないと判断できません。

この記事では、資格がどの評点にどう効くのか、1人の技術者が何点として数えられるのか、そして数えるために満たす必要がある条件を整理します。あわせて、資格取得がZ点以外の評点に波及する仕組みも確認します。資格取得の計画を立てる際の判断材料として役立ててください。

公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。

この記事で分かること
  • 資格が直接効くのは技術力Z点であり、その配点は総合評定値の中で最も大きいこと
  • 1級・2級・実務経験などの区分ごとに、1人が何点として数えられるか
  • 技術職員として数えるための常勤性の要件と、1人につき2業種までという制限
  • 資格取得がW点の加点にも波及する仕組み
目次

経審の点数アップに資格が効くのはどの評点か?

資格の取得はさまざまな場面で役立ちますが、経営事項審査ではどこに反映されるのかを最初に押さえておきます。

資格が直接効くのは技術力Z点

経営事項審査の評点は、経営規模のX1とX2、経営状況のY、技術力のZ、その他の審査項目のWに分かれます。このうち技術者の資格が直接反映されるのがZ点です。

Z点の総合評定値への配分は0.25で、完成工事高を評価するX1と並んで最も大きい配分です。最高点は2,441点、最低点は456点と、5つの評点の中で最も高い上限が設定されています。

Z点は2つの要素を組み合わせて算出される

Z点は、技術職員数の点数と、業種別の年間平均元請完成工事高の点数から求められます。それぞれに割合が定められており、技術職員数の点数に5分の4を掛けたものと、元請完成工事高の点数に5分の1を掛けたものを足し合わせる形です。

この配分から分かるのは、Z点の大部分が技術職員の構成で決まるという点です。元請としての実績を伸ばすには時間がかかりますが、技術職員数の点数は資格の取得と採用で動かせます。

残りの5分の1にあたる元請完成工事高は、発注者から直接請け負った工事の金額です。下請中心の受注が続くとこの部分は伸びないため、公共工事の元請受注はZ点にも直接効いてきます。

  • Z点の総合評定値への配分は0.25で、5つの評点の中で最大の区分の1つ
  • Z点は技術職員数の点数に5分の4、元請完成工事高の点数に5分の1を掛けて合計する
  • 技術職員数の点数はZ点の大部分を占め、資格取得で動かせる
  • Z点は業種ごとに算出されるため、どの業種で加点したいかを決めておく

どの資格が何点として数えられるのか?

技術職員数の点数は、単純な人数ではなく、資格の区分ごとに重みを付けた「技術職員数値」から求められます。区分と重みを確認します。

技術職員の区分と重み

技術職員は6つの区分に分けられ、それぞれ次の数値を掛けて合計したものが技術職員数値になります。

区分重み該当する主な技術者
一級監理受講者61級の国家資格者等で、監理技術者資格者証の交付を受け、監理技術者講習を受講している者
一級技術者51級施工管理技士、技術士、1級建築士など、特定営業所技術者(旧・特定建設業の専任技術者)になれる国家資格を持つ者
監理技術者補佐41級技士補など、監理技術者を補佐する要件を満たす者
基幹技能者・レベル4技能者3登録基幹技能者講習を修了した者、能力評価が最上位とされた建設技能者
二級技術者22級施工管理技士などの2級国家資格者、技能検定1級合格者、レベル3技能者
その他の技術者1実務経験によって主任技術者の要件を満たす者

どの国家資格がどの業種の技術者として認められるかは、業種ごとに定められています。同じ1級施工管理技士でも種目によって対応する業種が異なるため、加点したい業種と資格の組み合わせを確認しておく必要があります。

1級資格は講習の受講で6点区分に上がる

注目したいのは、一級技術者と一級監理受講者の差です。同じ1級の資格を持っていても、監理技術者資格者証の交付を受け、監理技術者講習を受講していれば重みが5から6に上がります。

新しい資格を取得しなくても、すでに1級資格を持つ社員が資格者証と講習を整えるだけで加点につながる場面があります。講習には有効期間があるため、期限切れになっていないかの確認も必要です。

重みが4の監理技術者補佐も見落とされやすい区分です。1級の第一次検定に合格した技士補などが該当し、2級資格者よりも高い重みで数えられます。第二次検定の合格を待たずに加点できる点は、若手が多い会社にとって現実的な選択肢になります。

実務経験だけでも数えられる

資格を持っていない社員でも、実務経験によって主任技術者の要件を満たしていれば「その他の技術者」として1点で数えられます。この区分の存在を把握しておらず、名簿に載せていないケースは少なくありません。

技術職員名簿に記載できる人がいないかを社内で洗い出すだけでも、技術職員数値が変わることがあります。

どの資格から取るかは加点したい業種で決まる

資格を選ぶ際に迷いやすいのが、重みの大きい資格から取るべきか、取りやすい資格から取るべきかという点です。判断の軸になるのは、どの業種で加点したいかです。

技術職員数値は業種ごとに集計されるため、伸ばしたい業種に対応しない資格を取っても、その業種のZ点は動きません。まず入札参加を予定している業種を決め、その業種の技術者として認められる資格を確認する順序になります。

あわせて、現在の技術職員の年齢構成も踏まえておきたいところです。数年内に退職が見込まれる技術者が担っている業種は、資格取得が加点ではなく維持のための施策になります。

技術職員として数えるための条件は何か?

資格を持っているだけでは技術職員として数えられません。雇用の状態や申請できる業種の数に条件が設けられています。

常勤性と6か月を超える恒常的な雇用関係

技術職員として申請できるのは、審査基準日以前に6か月を超える恒常的な雇用関係があり、雇用期間を特に限定することなく常時雇用されている者です。法人の常勤役員、個人事業主本人も含まれます。

つまり、決算日の直前に採用した技術者はその期の審査では数えられません。採用や資格取得の時期は、決算日から逆算して計画する必要があります。

1人につき申請できるのは2業種まで

複数の資格を持つ技術者であっても、技術職員として申請できる建設業の種類は2つまでとされています。この制限があるため、資格を集めるだけでは加点が積み上がりません。

どの技術者をどの業種に割り当てるかは、加点したい業種を決めたうえで判断することになります。3つ目の業種を伸ばしたい場合は、別の技術者を確保する必要があります。

  • 審査基準日以前に6か月を超える恒常的な雇用関係があることが前提になる
  • 雇用期間を限定しない常時雇用であることが求められる
  • 1人の職員が技術職員として申請できるのは2業種まで
  • 継続雇用制度の適用を受けている65歳以下の者は常時雇用とみなされる

資格取得はZ点以外の評点にも影響するのか?

資格や講習への取り組みは、技術力の区分だけで完結しません。その他の審査項目にも波及します。

取り組み反映される区分配点の目安
1級・2級資格の取得技術力Z点の技術職員数値1人あたり重み5または2
監理技術者資格者証の交付と講習の受講技術力Z点の技術職員数値1人あたり重み6
CPD単位の取得その他の審査項目W点最高10点
35歳未満の技術職員の育成確保その他の審査項目W点最高2点

知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況

W点には、技術者が取得したCPD単位や技能者の能力評価の向上を評価する項目があり、最高10点が配点されています。資格取得後の継続的な学習が点数として評価される仕組みです。

CPD単位は、認定団体ごとに定められた数値で換算し、技術者の人数で割った数値が用いられます。1人あたりの上限が設けられているため、一部の技術者だけが多く取得しても頭打ちになります。

若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況

W点には、35歳未満の技術職員の割合や新規に技術職員となった若年者の割合を評価する項目もあります。配点は2点と小さいものの、若手の採用と資格取得が二重に効く構造になっています。

資格取得を計画する際は、誰に取ってもらうかによって波及する項目が変わることを踏まえておくと、施策の優先順位を付けやすくなります。

例えば、受かると思っていた資格者が落ちたときにどうすればいいのか。ここで売上がこれくらい立つと思っていたけれど、これが入らなかったときに、どうやって他でカバーするのか——そうしたプランBを想定しないといけません。経営ですから、プランAだけでうまくいくわけがないでしょう。

資格試験の合否は事前には分かりません。合格を前提に点数を見込んでいると、不合格が生じたときに目標が崩れます。講習の受講や名簿への記載漏れの解消など、自社の判断だけで進められる加点をあわせて用意しておくことが計画の安定につながります。

資格による加点を公共工事の受注にどうつなげるか

ここまで見てきたとおり、資格は技術力Z点に直接反映され、その配分は総合評定値の中で最も大きい区分の1つです。誰がどの資格を取るかによって、加点される業種も変わります。

資格取得を進めるうえで大切なのは、取れる資格から順に取るのではなく、狙う発注機関と等級から逆算して必要な点数を先に決めることです。

  • 資格は技術力Z点に反映され、配分は総合評定値の中で最も大きい区分の1つ
  • 加点したい業種を先に決めることで、取るべき資格が定まる
  • 元請完成工事高もZ点の一部であり、公共工事の元請受注が直接効いてくる
  • 資格取得の計画は、狙う等級から逆算して立てる

ランクというものは単価を上げるビジネスの根幹ですから、ランクが上がれば売上も上がるわけです。そうすると、どの発注者のどのランクにポジショニングしたいのか、そのためにいつまでに経審(経営事項審査)を何点にするのか、それによって最短でこの発注者のCからBに上げる、DからCに上げるといった戦略が連動してくるのです。

公共工事は資格者を多く抱える会社のもの、と受け止められることがあります。ただ、技術職員の評価方法は制度として公開されており、要件を満たせば会社の規模にかかわらず同じ基準で数えられる仕組みです。

よくある質問

社長自身が資格を持っている場合も技術職員に数えられますか?

法人の常勤役員や個人事業主本人も技術職員として数えることができます。ひとり親方や少人数の会社では、経営者自身の資格が技術職員数値の中心になることも珍しくありません。名簿への記載漏れがないか確認してください。

営業所技術者等(旧・専任技術者)と技術職員は同じものですか?

別の制度上の位置づけです。営業所技術者等は建設業許可を維持するために営業所ごとに必要な人で、令和6年12月13日施行の改正で専任技術者から名称が変わりました。技術職員は経営事項審査で技術力を評価する際に数える人を指し、両者が重なることはありますが、求められる要件や人数の考え方は異なります。

資格を取ればすぐに点数へ反映されますか?

評価されるのは審査基準日、つまり直前の決算日時点の状態です。決算日より後に合格した資格はその期の審査には反映されず、翌期の審査で評価されます。試験日と合格発表の時期を決算日から逆算して確認しておく必要があります。

技術者が退職すると点数はどうなりますか?

審査基準日に在籍していない技術者は数えられないため、技術職員数値が下がり、Z点も下がります。1級資格者の退職は重みが5または6の減少となり、影響が大きくなります。人員の入れ替わりが見込まれる場合は、あらかじめ点数への影響を試算しておくことが有効です。

まとめ

経営事項審査で資格が直接反映されるのは技術力Z点です。Z点は技術職員数の点数に5分の4、元請完成工事高の点数に5分の1を掛けて合計する構造で、大部分が技術職員の構成によって決まります。

技術職員は6つの区分に分けられ、一級監理受講者が6、一級技術者が5、監理技術者補佐が4、基幹技能者およびレベル4技能者が3、二級技術者が2、その他の技術者が1という重みで数えられます。実務経験による主任技術者も1として数えられる点は見落とされがちです。

数えるためには、審査基準日以前に6か月を超える恒常的な雇用関係があることが前提となり、1人が申請できるのは2業種までです。資格取得はW点の加点にも波及するため、誰にどの資格を取ってもらうかを含めて計画を立てることが結果につながります。

この記事のまとめ
  • 資格が直接効くのはZ点で、総合評定値への配分は0.25と最も大きい区分の1つ
  • 技術職員は6区分に分かれ、1級は5、監理技術者講習の受講で6として数えられる
  • 審査基準日以前に6か月を超える雇用関係が必要で、1人につき2業種までの制限がある
  • 資格取得はCPD単位や若年技術職員の項目としてW点にも波及する

より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。

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