経審(経営事項審査)とは?点数や評点の仕組み・申請の流れ解説
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公共工事の入札に参加しようとすると、建設業許可を取得した後に「経審」という言葉に必ず行き当たります。経審とは経営事項審査の略称で、国や地方公共団体が発注する工事を直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない審査です。名前は聞いたことがあっても、何を評価され、どのような点数がつくのかまでは把握していないという経営者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、経審の位置づけと評点の仕組み、総合評定値(P点)の算出方法、申請の流れと必要書類、そして経審の取得が入札参加資格審査にどうつながるのかを整理します。公共工事への参入を検討する際の基礎知識として役立ててください。
公共工事入札について、一般的な情報だけでは見えない視点があります。この動画で実務的なポイントを先に理解することで、記事の内容がより腹落ちしやすくなります。動画を見てから記事を読み進めることをおすすめします。
- 経営事項審査(経審)とは何か、公共工事参入における位置づけ
- 経審の評点を構成する経営規模・経営状況・技術力・社会性等という4つの区分
- 総合評定値(P点)の算出方法と、評点アップにつながる代表的な要素
- 経審の申請の流れ・必要書類・審査基準日と、入札参加資格審査への接続
経営事項審査(経審)とは何か?公共工事参入における位置づけを確認する
経審について理解する前提として、まずはどのような制度で、どの段階の企業が対象になるのかを確認します。
経審の対象となる工事の範囲
経営事項審査は、国・地方公共団体・公共法人が発注する施設または工作物に関する建設工事を、発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査です。対象となるのは、建設工事1件の請負代金額が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事で、この金額に満たない小規模工事や、民間工事のみを行う建設業者には経審は不要とされています。応急的な工事など一部の工事は対象から除外される取り扱いもあります。
建設業許可から入札参加までのどの段階に位置するか
公共工事の入札に参加する流れを整理すると、まず建設業許可を取得し、その後に経審を受け、さらに発注機関ごとの入札参加資格審査を経て、はじめて入札に参加できるようになります。
- 建設業許可を取得する
- 経営事項審査(経審)を受ける
- 発注機関ごとの入札参加資格審査を受ける
- 入札に参加する
経審は、建設業許可の取得と入札参加資格審査の間に位置する、公共工事参入における必須の通過点です。許可さえ取得すれば入札に参加できるわけではなく、経審を受けて初めて次の段階に進める、という順序を押さえておく必要があります。

公共工事に入札する際、入札までに何があるかというと、経審(経営事項審査)の作成ですね。そこで途端に、よく分からないということで行政書士に丸投げするということがよく起きるわけです
このように、経審は建設業許可の取得後すぐに必要になる手続きであるにもかかわらず、内容が分かりにくいという理由で行政書士に依頼を丸ごと任せてしまうケースが少なくありません。経審がどのような仕組みで評価されているかを知っておくことは、依頼する場合であっても、申請内容を自社で把握しておくうえで役立ちます。
経審の評点はどのような仕組みで構成されているか?
経審で通知される点数は、複数の区分に分かれた評点の組み合わせで成り立っています。ここでは評点全体の構成を確認します。
経営規模(X)・経営状況(Y)・技術力(Z)・社会性等(W)という4つの区分
経審の評点は、大きく分けて「経営状況」(Y)と「経営規模等」(経営規模=X、技術力=Z、社会性等=W)という2つの評価から構成され、これらを合算したものが「総合評定値」(P点)として通知されます。
経営規模等評価(X・Z・W)と総合評定値の請求は許可行政庁(国土交通大臣許可なら地方整備局等、知事許可なら都道府県)に対して行い、経営状況の分析(Y)は別途、国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関に申請するという仕組みです。
各区分で評価される具体的な内容
X1は工事種類別の年間平均完成工事高、X2は自己資本の額と利払前税引前償却前利益(2年平均)を数値化したものです。Y(経営状況分析)は「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」という4つの指標をもとに、登録経営状況分析機関が算出します。
Zは技術職員数と元請完成工事高(工事種類別)を数値化したもの、Wはその他社会性等として8項目で構成されています。
| 区分 | 評価される内容 |
|---|---|
| 経営規模(X1) | 工事種類別の年間平均完成工事高 |
| 経営規模(X2) | 自己資本の額と利払前税引前償却前利益(2年平均) |
| 経営状況(Y) | 負債抵抗力、収益性・効率性、財務健全性、絶対的力量という4つの指標をもとに登録経営状況分析機関が算出 |
| 技術力(Z) | 技術職員数と元請完成工事高(工事種類別) |
| 社会性等(W) | その他社会性等として8項目で構成 |



小林さんがおっしゃっているのは、初期段階ではこのY点とW点、ここに注目しましょうということです。ここはコントロールしやすいという趣旨です。
X1・X2は経営の実績数値そのものであるため、短期間での変化は生まれにくい区分です。一方でY点・W点は、決算書の内容や社会性等の取り組み状況によって、比較的短いスパンでも変化を出しやすい区分と位置づけられています。
総合評定値(P点)はどのように算出され、何が評点アップにつながるか?
経審で最終的に通知されるP点は、一定の計算式によって算出されます。ここではP点の算出方法と、評点アップにつながるとされる代表的な要素を整理します。
P点の算出式と区分ごとの配点割合
総合評定値(P点)は、P=0.25×X1+0.15×X2+0.20×Y+0.25×Z+0.15×Wという計算式で算出されるとされています。この式が示すとおり、X1(完成工事高)とZ(技術力)の配点割合が比較的大きく、Y(経営状況)とW(社会性等)がそれに続く構成です。
P点の目安として、平均は700点前後、900点以上は優秀、500点台は改善の余地がある水準として紹介されることがありますが、これは執筆時点で確認できた情報に基づく目安であり、公式な統計として断定できるものではない点に留意してください。
評点アップにつながる代表的な要素
区分ごとに、評点アップにつながるとされる代表的な要素は次のとおりです。
- X1・X2:工事種類別の完成工事高を伸ばす、自己資本額を増強するなど、経営実績そのものを積み上げること
- Y:負債抵抗力・収益性・効率性・財務健全性といった財務指標を、決算書の内容から改善していくこと
- Z:技術職員数の増員や資格取得を進め、元請としての完成工事高を積み上げること
- W:建退共加入や退職金制度の導入、防災協定の締結、ISO認証の取得、建設機械の保有など、社会性等に関する取り組みを増やすこと
なお、経審の審査基準は改正されることがあり、令和8年7月1日施行の改正では、社会保険加入状況に関する評価項目が削除される一方、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言有無が新たな加点項目として加わるなど、W点の内容が見直されています。評点アップの施策を検討する際は、執筆時点の基準であることを踏まえたうえで、最新の審査基準を確認することが大切です。



Y点においてどのようにすればY点が上がるか、ほとんどの経営者が知らないと考えています。これは圧倒的に気づかれていない領域であり、ここにチャレンジすれば効果は非常に高いと思います。
売上を伸ばすことや資格を取得することに意識が向きやすい一方で、決算書の内容そのものを見直すY点の改善は見落とされがちな領域といえます。実績の積み上げに時間がかかる区分だけでなく、決算内容や取り組み状況で動かせる区分にも目を向けることが、評点アップを考えるうえでの一つの視点になります。
経審の申請はどのような流れで進むか?
経審を実際に取得するまでの申請は、大きく2つの段階に分かれています。ここでは申請の流れと必要書類、審査基準日の考え方を整理します。
経営状況分析と経営規模等評価・総合評定値請求という2段階
経審の申請は、(1)登録経営状況分析機関へ経営状況分析を申請して結果通知書を取得し、(2)その結果通知書を添付して許可行政庁へ経営規模等評価申請・総合評定値請求を行う、という2段階で進みます。複数の都道府県で入札に参加する場合でも、経営規模等評価・総合評定値請求の申請先は許可行政庁1箇所で足りるとされています。
- 登録経営状況分析機関へ経営状況分析を申請し、結果通知書を取得する
- 結果通知書を添付して許可行政庁へ経営規模等評価申請・総合評定値請求を行う
- 複数の都道府県で入札に参加する場合でも、経営規模等評価・総合評定値請求の申請先は許可行政庁1箇所で足りるとされている
申請に必要な書類と審査基準日の考え方
経営状況分析の申請には、申請書のほか、建設業許可を確認する書類、財務諸表(貸借対照表・損益計算書・完成工事原価報告書等)、減価償却実施額の確認書類などが必要とされています。経営規模等評価・総合評定値請求の手数料は、通常の申請で8,500円に審査対象業種数×2,500円を加えた金額とされ、別途、経営状況分析機関への分析手数料もかかります。
審査基準日は原則として申請時の直前事業年度終了日(決算日)であり、経審の有効期間は審査基準日から1年7か月間です。継続して公共工事を受注するには、毎年の決算後、有効期間が切れないよう速やかに申請することが目安とされています。
経審は決算日を起点に有効期間が定められているため、決算が確定してから申請までの動きが遅れると、その分だけ入札参加資格の空白期間が生じるリスクがあります。書類の準備を後回しにせず、決算後は速やかに手続きを進める姿勢が、公共工事への参入を継続するうえで重要になります。
経審の取得は入札参加資格審査にどうつながるか?
経審を取得した後、実際に入札へ参加するにはもう一段階の手続きが必要です。ここでは経審と入札参加資格審査の関係を整理します。
入札参加資格審査における経審の位置づけ
経審で通知された総合評定値(P点)は、発注機関(国・都道府県・市町村等)ごとに行われる入札参加資格審査で使用される評価材料の一つです。発注機関は経審の結果を踏まえたうえで、独自の基準に基づいて入札参加資格者名簿への登録や格付け(等級)を行います。
つまり、経審は入札参加資格審査を受けるための前提となる手続きであり、経審を取得すること自体が入札参加を保証するものではなく、その先に発注機関ごとの資格審査という段階が控えている、という構造です。
- 経審で通知された総合評定値(P点)は、発注機関ごとの入札参加資格審査で使用される評価材料の一つ
- 発注機関は経審の結果を踏まえたうえで、独自の基準に基づいて入札参加資格者名簿への登録や格付け(等級)を行う
- 経審を取得すること自体が入札参加を保証するものではなく、その先に発注機関ごとの資格審査という段階がある
取得後に押さえておきたい視点
発注機関ごとの入札参加資格審査の具体的な基準は、発注機関によって異なります。参入を検討する段階では、経審の点数を高めることよりも、まず経審を取得して資格審査の土台に立つことを優先し、点数の改善はその後の経営課題として位置づける、という考え方があります。
経審への理解を公共工事参入にどうつなげるか
ここまで見てきたように、経審は建設業許可の取得後に必ず通過する手続きであり、経営規模・経営状況・技術力・社会性等という複数の区分から算出される総合評定値(P点)を通じて、発注機関ごとの入札参加資格審査へとつながっていきます。
評点の仕組みや申請の流れをあらかじめ理解しておくことは、参入時の手続きをスムーズに進めるだけでなく、参入後にどの区分から評点改善に取り組むかを検討する土台にもなります。
- 経審は建設業許可の取得後に必ず通過する手続きであり、発注機関ごとの入札参加資格審査へつながる
- 評点は経営規模・経営状況・技術力・社会性等という複数の区分から算出され、総合評定値(P点)として通知される
- 評点の仕組みや申請の流れの理解は、参入時の手続きと、参入後にどの区分から評点改善に取り組むかを検討する土台になる
経審や入札参加資格審査という言葉から、公共工事は実績のある大手企業だけが対応できるもの、と受け止められることがあります。ただ、経審の対象となる要件や申請の流れは制度として明確に定められており、要件を満たして手続きを進めれば、会社の規模にかかわらず経審を取得し、入札参加資格審査に臨むことができる仕組みです。



経審は、まずそこまで点数を気にせず取得してしまうものです。取ること自体は結構ですし、むしろ早く取ったほうがよいと考えています。経審の点数がそもそも良いのか悪いのかを考える必要はない、という感覚です。
よくある質問
- 経審(経営事項審査)はどのような企業が受ける必要がありますか?
-
国・地方公共団体・公共法人が発注する工事を、発注者から直接請け負おうとする建設業者が対象です。建設工事1件の請負代金額が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事が対象となり、これに満たない小規模工事のみを行う場合や、民間工事のみを行う場合は経審を受ける必要はないとされています。
- 経審のP点(総合評定値)はどのように決まりますか?
-
P点は、経営規模(X1・X2)・経営状況(Y)・技術力(Z)・社会性等(W)という4つの区分の評点を、それぞれ定められた割合で合算して算出されるとされています。各区分は完成工事高や自己資本額、決算書の内容、技術職員数、社会性等への取り組み状況など、異なる観点から評価される仕組みです。
- 経審の申請にはどのくらいの費用がかかりますか?
-
経営規模等評価・総合評定値請求の手数料は、通常の申請で8,500円に審査対象業種数×2,500円を加えた金額とされています。これとは別に、経営状況分析機関へ支払う分析手数料も必要です。行政書士等へ申請手続きを依頼する場合は、別途その依頼費用が加わります。
- 経審を取得すれば入札に参加できますか?
-
経審の取得だけで入札に参加できるわけではありません。経審の結果を踏まえたうえで、発注機関(国・都道府県・市町村等)ごとに行われる入札参加資格審査を受け、資格者名簿への登録を経て、初めて入札に参加できるようになります。経審は、その入札参加資格審査を受けるための前提となる手続きです。
まとめ
経審(経営事項審査)は、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査であり、建設業許可の取得後、入札参加資格審査を受けるための前提となる手続きです。評点は経営規模(X)・経営状況(Y)・技術力(Z)・社会性等(W)という4つの区分から構成され、これらを合算した総合評定値(P点)が通知されます。
申請は、経営状況分析機関への申請と、許可行政庁への経営規模等評価申請・総合評定値請求という2段階で進み、審査基準日は直前事業年度終了日、有効期間は1年7か月です。継続して公共工事を受注するには、決算後速やかに申請することが目安とされています。
評点アップにつながる要素は区分ごとに異なり、短期間で動かしやすい区分とそうでない区分があるため、どこから着手するかを整理しておくことが重要です。
経審を取得することは、それ自体がゴールではなく、発注機関ごとの入札参加資格審査へ進むための土台です。制度上の仕組みを理解し、手続きを一つずつ進めていくことが、公共工事への参入・受注に向けた着実なステップになります。
- 経審は公共工事を直接請け負う建設業者が必ず受ける審査で、建設業許可と入札参加資格審査の間に位置する
- 評点は経営規模(X)・経営状況(Y)・技術力(Z)・社会性等(W)の4区分から構成され、合算値が総合評定値(P点)になる
- 申請は経営状況分析と経営規模等評価・総合評定値請求の2段階で進み、審査基準日は決算日、有効期間は1年7か月
- 経審の取得は入札参加資格審査を受けるための前提であり、取得後の資格審査で発注機関ごとの参加要件が決まる
より理解を深めていただくために、こちらの解説動画も併せてご確認ください。
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